カペラ・アウローラ・クニタチ 演奏会:浜離宮朝日ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~世界初演~

カペラ・アウローラ・クニタチ 演奏会
『ハイドン没後200記念 ウィーン古典派の発達』

19時~
浜離宮朝日ホール

指揮:前田昭雄
カペラ・アウローラ・クニタチ


この楽団は、国立音大所蔵の18世紀の楽器を使用した特別編成のオーケストラ。

前田さんはシューマン研究の第一人者で、今はウィーン古典派の研究者。指揮は専門外の様。ちょっぴりハラハラでした。

前半の副題は
『前古典派の曙光~ハイドンの出発』

🎵M.G.モン:交響曲 二長調
前古典派にしてはしっかりとしたソナタ形式の第1楽章。ヴィオラ抜きの薄いオーケストレーションのハズなのに、第2ヴァイオリンが第1ヴァイオリンと離れて動くので、意外と充実した響きになっていました。
アンダンテの第2楽章もかわいらしい。
ただ第3楽章は、オペラの序曲みたいに ほとんど展開されずに、あっという間に終わりました。

次は
🎵G.C.ヴァーゲンザイル:祝典アリア『天に生まれ』
ソプラノ:小泉恵子
この作品は指揮者の前田さんがウィーンの国立図書館で手書きパート譜を発見、蘇らせた、今日が復活世界初演の曲。
典型的なABAの、ダカーポアリアの作品。明るい太陽が燦々と降り注ぐようなAの部分は、堂々とした立派なつくり。これがヴァーゲンザイルか、って思うくらい。素晴らしい作品を、適度にビブラートをきかせた美しい歌唱で、ホール全体を共鳴させました。
短調の短いBの部分は 前古典派に戻ってましたが…
文句なしに今日の白眉。
ぜひとも皆さんに聴いてもらいたい。

🎵F.J.Haydn:交響曲第1番 二長調
マンハイムの打ち上げ花火の第1楽章の冒頭は、いつ聴いても気持ちよい。
速い楽章の提示部のみ反復のコンパクトな演奏。他の交響曲も同様。
一般の聴衆対象で、反復でソロを生かしたりしないのであれば、これで十分。

後半は『ハイドンパワー 目覚めから全開へ』
🎵F.J.Haydn:交響曲第6番 ニ長調『朝』
ソロ楽器がたくさん活躍する、聴いて、実演を見て、本当に楽しめる曲。
日の出の第1楽章の序奏はF.J.Haydnの描写音楽の最も初期の作品。本当に美しい。
第2楽章は前後にアダージョが、アンダンテを挟むかたちで作られています。このアダージョの最初はドレミファソラシドと、最後はドシラソファミレドと弦楽器が演奏します。私は F.J.Haydnは午前中の音楽のレッスンを パロディ的に描写したと考えています。アンダンテもソロのあと 合奏が繰り返すところが先生と生徒みたいです。
本当に聴いていて、笑顔になれる素敵な作品です。

🎵F.J.Haydn:カンタータ『ああ 私の胸は騒ぎ』Hob 24a-追加4
メゾソプラノ:秋葉京子
これは何!私の知らない作品じゃん!ってプログラムを見たら、原曲はF.J.Haydnのオペラ。大規模なレチタティーボとアリアを後年、カンタータとして勝手に出版したとのこと。
「報いられた真心」からのこの曲。ダイナミックで、低音がお腹に響く。音域の広い歌手には歌い甲斐のある作品。
秋葉さんが表情豊かな、充実した歌唱を聴かせてくれました。

最後は
交響曲第83番 ト短調『めんどり』
後年 あだ名が第三者によってつけられた作品ですが、所々に見られるおどけた表情や、ふざけた仕掛けは、F.J.Haydnのお茶目さ炸裂。
しかし 今日は派手な表情づけをせずに F.J.Haydnの音楽を真っ向うから紹介、っていう感じでした。

今日は古楽器使用でしたが、本体がそうであっても、弦は現代のスチール弦を使ってました。弦楽器は現代楽器の奏者たちでしたから顎あてやエンドピンも使用。本当に古楽器の音色を出していたのは管楽器のみでした。

今日はNHKが録画していたので、いつか放映すると思います。ヴァーゲンザイルが一番の聴きどころ。ぜひ 世界にはこの様な曲が埋もれていることに驚いてください。