ロジェストヴェンスキー&読売日本交響楽団 特別演奏会:3日目 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~奇術師 再度~

今朝は食事を超軽く。
11時に新宿でお友達と待ち合わせの後、バイキングに入っての 首脳会議。お腹をいっぱいにしたあとは、パフェを前にしての作戦会議。
2つの会議を無事終えて 向かった先は、池袋。

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー&読売日本交響楽団
チャイコフスキー 後期交響曲チクルス:3日目 

15時~
東京芸術劇場

指揮:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
読売日本交響楽団


前半は
🎵P.I.Tchaikovsky:ヴァイオリン協奏曲 二長調
ヴァイオリン:サーシャ・ロジェストヴェンスキー 

サーシャさんは、指揮のロジェストヴェンスキーさんの息子さん。実はご子息の演奏には あまり良い印象はないのですが…

今日のこの演奏も、一昨日と同様、地に足をしっかりつけた きっちりとしたもの。
テンポは全体を通してゆっくり。第3楽章の中間部で 一気にテンポを上げただけ。
演奏も1音1音 きっちりと演奏するものの、流れるような流麗さは失われ、それを補う魅力があったか と言えば…

休憩のあとは
🎵P.I.Tchaikovsky:交響曲第6番 ロ短調『悲愴』 
数え切れない程、実演を聴いている曲。
冒頭の弦楽器の音のふくよかさにびっくり。そこにファゴットが表情豊かに入ってくる。すごい緊張感。その緊張は 第4楽章、音が消えた5秒後まで保たれました。

第1楽章、弦の主題の音、16分音符の1つ1つがはっきり聴こえる。テンポは遅め。
有名なたくさんのfがついた展開部。ffのレベルの音で、なにしろバランスが良く、すべての楽器の音が聴こえるくらいの透明度がある。こんな演奏 聴いたことがない。
展開部の最後の弦楽器が強奏の部分は、拍節感が完全に消え、浮遊状態。そこにロジェストヴェンスキーさんが合図を与えながら旋律が入ってくる様相。その雰囲気たるや 幽玄 そのもの。
圧巻の第1楽章でした。

第2楽章では、弦楽器の音色(ヴィオラの渋さが抜群)の違いが明らかに。優雅さとは ちょっぴり離れ気味のつくりは新鮮でした。

圧巻は第3楽章。すべての楽器が安定して音が出せるテンポ。1つ1つの音が 明確なフレージングの輪郭で甦ってくる。どんなに強奏になっても バランスを崩すような金管の吼えはない。指揮者がしっかりと統率している。しかし左手を脱力して下ろしていることもたびたび。見事なオーケストラのドライブ姿を見ることができました。最後の最後でアッチェレランドかけたのは、ロジェストヴェンスキーさんの閃きか。オケがすぐについていけないあたりの動揺が 見ていて妙に嬉しく思えたのは、ロジェストヴェンスキーさんの指揮だからでしょう。

そしてまったくの休みを置かずに入った第4楽章。耽美的とは正反対の しっかりした演奏。やはり弦楽器主体の音楽づくり。豊かな弦の音がホールを満たしました。
最後の静かに音が閉じる部分、ピンと張り詰めた中、コントラバスの本当に小さなピチカートが鳴ったあと、5秒以上の静寂。ロジェストヴェンスキーさんの手を下ろす音が会場に響いたあと、大喝采に包まれました。

『悲愴』というよりタイトル本来の『激情』っていう感じにピッタリの 素晴らしい演奏が聴けました。

今日もまた 持参したCDにサインをもらって有頂天で帰りました。