ゲルハルト・ボッセ メモリアルコンサート:東京文化会館 小ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~メモリアル~

今日も北側の高気圧の圏内なのに 蒸し暑い首都圏。午前中、神保町界隈を歩いたあとお昼を食べて、上野へ。

『ゲルハルト・ボッセ メモリアルコンサート』
~日本各地でボッセに出会い 薫陶を受け 交流を深めた音楽家たちが一堂に会し ボッセに捧げる演奏会~

15時~
東京文化会館小ホール


第1部はボッセ先生の故郷、ライプチヒにちなんだ選曲と、ボッセ先生が創立したゲヴァントハウス・バッハ管のスタイルを再現。
コンサートマスターは、ボッセ先生時代の新日本フィルのコンサートマスターで、後に東京藝大で教鞭をとった際に ボッセ先生の指導を受けた松原 勝也。
メンバーはみなどこかで顔をみている、準ソリスト級ばかり。
🎵F.Mendelssohn:弦楽オーケストラの交響曲第12番 ト短調
6-6-4-3-2
素晴らしい合奏に驚き。
フーガと題された第1楽章は、パート毎のメリハリがあり、生気溌剌。
第2楽章は 低弦楽器がほとんど休んだ曲でしたが、響きに薄さはなく とても美しかったです。

続いて
🎵J.Sebastian Bach:2つのヴァイオリンの協奏曲 二短調
ヴァイオリンは玉井 菜採と甲斐 摩耶。
4-4-3-2-1と編成を縮小。
現代楽器でもしっかりした構築で、温かな音楽作りが素晴らしかった。ボッセ先生の精神がしっかり生きた演奏。
第1楽章の立体感、第2楽章の叙情的な美しさが印象的でした。

合奏能力の素晴らしさが生きた演奏でした。

休憩を挟んで
第2部は、ボッセ先生の最も愛した作曲家。F.J.Haydnと、亡くなった時に演奏をして欲しいと言っていたという、W.A.Mozartの作品。
🎵F.J.Haydn:弦楽三重奏曲第25番 ハ長調 Hob.V:C3
景山 誠治と景山 裕子のヴァイオリン、河野 文昭のチェロ。
ここでこれほど珍しい曲が聴けるとは。明るく素敵な4楽章の曲。
ただ トップの景山誠治さんの音がひとり堅く、速すぎるようなテンポで、雑に感じられるような時も。またビブラートが余りに大きく、様式云々以前の演奏だったのが残念。第2ヴァイオリンとチェロがまあるく優しい音色だっただけに、なおさらでした。

🎵W.A.Mozart:弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516
岡山 潔と服部 芳子のヴァイオリン、佐々木 亮と川崎 和憲のヴィオラ、河野 文昭のチェロ
バランスの良い秀演。
久しぶりに岡山さんの音を聴きました。読響で定期会員だった時に コンサートマスターでしたから、懐かしさ一入。
陰翳の強い曲をしっかりまとめあげました。
それにしても 川崎さんや河野と豪華過ぎます。

2回目の休憩のあとは
第3部、ボッセ先生が見いだした若手の演奏会。
コンサートマスターは 神戸市室内合奏団の白井 圭。
🎵F.Schubert:ヴァイオリンと弦楽オーケストラのロンド イ長調
ヴァイオリン:郷古 廉
4-4-3-2-1
最初の入りの細やかな表情から 惹きこまれました。
郷古さんのヴァイオリンは、まず 音色が極めて美しい。そして丁寧。古典的端正さを保ちながら 1つ1つのフレーズをどのようにしたいかという意志疎通がしっかりできている。大きな表情づけの箇所でも 合奏とピッタリ合ってました。
最後のロンド主題の入りで、テンポをぐっと落としてくるあたりは 熟練の演奏家と言いたいくらい。
会場の拍手の大きさは今日一番でした。

そして最後は
🎵L.van Beethoven:交響曲第2番 二長調
指揮:石川 星太郎
ボッセ先生が賞賛し、神戸でボッセ先生の代役として成功を収めた若手。
8か9型。舞台上が混雑していてよくわからなかった。それに管楽器が乗ったので 舞台がギュウギュウ。新日本フィルのメンバーが半数。
第1楽章は序奏から元気いっぱい。弦楽器の強弱のメリハリがしっかりと揃っていて 綺麗。これは主部に入ってから さらに顕著。ダイナミックな生気溢れる演奏が素晴らしい。
第2楽章は一転、ゆったりとしたロマンティックな表情がいい。
第3楽章は一般より遅いテンポ。弦楽器がすべての音をしっかり弾けるテンポ。無理やり突っ走るより このような演奏が私好み。
それに対して 第4楽章は速めで、弦楽器がくるくる表情を変えていくのが楽しめました。
全体的に若々しく 生き生きした、そしてコントラストのはっきりしたわかりやすい演奏でした。ただ 管楽器群が、弦楽器のメリハリのある演奏に比べて、一本調子の感じが否めませんでした。
私の座席(前から2列目真ん中)の影響か、それとも重鎮が並んだ管楽器セクションにまで 意図が通じなかったかはわかりませんが、石川さんは これからも要チェックの指揮者です。

ロビーにはボッセ先生の写真がいっぱい。
懐かしい指揮の姿が浮かんできました。
ボッセ先生、最後の演奏会になった 一昨年12月9日の神戸の F.J.Haydnを昨日のように記憶しています。
その時の日記は↓
 https://ameblo.jp/repun-berg/entry-12573230894.html