小ホールでオペラ~歌劇『こうもり』:みなとみらい 小ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~年末といえば~

冬晴れ、雲ひとつ見つけられない土曜の午後。こんな日は 海の見える美術館でのんびりできたら最高…と思いつつ、出掛けたのは午後。家から徒歩圏。クリスマスの装いの みなとみらい。


小ホールでオペラ~歌劇『こうもり』

14時~
みなとみらい 小ホール
ホール主催、ミラマーレオペラ制作
👗J.Strauss:歌劇『こうもり』(日本語上演)
演出:今井伸昭


この公演の入場料は3000円。
きっとカットを上手く組み合わせた抜粋だろう、と安易な気持ちで行きました。

ホールに入ると、舞台下手にピアノと弦楽器が4人(2Vn,Va,B)。
指揮:杉原直基

分厚いスコアが指揮台に。

序曲がカットなしに演奏。
そうなんです。なんとカット無し。休憩もしっかり2回の3時間の公演だったのです。

序曲のあと、こうもり姿のファルケ(大山大輔)とアイゼンシュタイン(押川浩士)が客席から登場。こうもり博士置き去り事件の場面から開始。
その後 ファルケとイーダ(神田さやか)が、こうもりの復讐の仕掛けの口上を述べて、オペラが開始という、初心者にやさしい舞台づくり。

そしてオペラが開始
第1幕ではアデーレ(鷲尾麻衣)の歌唱と演技が卓越。アデーレを強烈なやんちゃな女中と設定。休暇却下の場では『ぐれちゃうぞ~』って退場。その後キャスターに乗っかって登場とか… 強烈!
そしてファルケとアイゼンシュタインの2人の掛け合いがまた絶妙。
小さいホールなので 声を必要以上に張り上げる必要もないので、台詞はもちろん、歌詞もしっかり聞き取れる。

休憩のあと、第2幕。開始5分前に ロビーにベルを持ったファルケとイーダが 休憩終了の告知に歩く演出。今回 聴衆は、復讐劇のオルロフスキー侯爵家の舞踏会のお客様なんですよ~って設定。ですから 彼らがお席にご案内してくださるってこと。
ロビーから客席内を ゆっくり聴衆とお話をしながらまわって第2幕が開始。

ここでは気難しいオルロフスキー(角田和弘)が、いい味出して舞台を引き締めていました。
その中で 場にそぐわない振る舞いが、水の上をコロコロ転がる油みたいな役で光っていた、アデーレとアイゼンシュタイン。
そんなアイゼンシュタインとフランク(鶴川勝也)のフランス語のやり取り、サバ しめサバ 関サバ… 的、強烈唐変木奇妙奇天烈会話は、やはり爆笑。
歌ではロザリンデ(江口二美)のチャルダッシュが艶やかで卓越。魅了させられました。

第3幕の前のロビーも、ファルケとイーダ、そしてアデーレも加わり、休憩終了の案内。
最初に刑務所にファルケ一行が登場し、刑務所がセットであることを語るところから始まる。
刑務所がセットだという設定は、7月の兵庫芸文の公演もそうであったのですが、そうすると 刑務所長フランクの行動に矛盾。今回もフランクにこうもりの復讐の計画をバラして協力を、とファルケが頼むのが、アデーレとイーダが刑務所に訪問した後ですから。

とは言うものの、気になったのは そこだけ。
第3幕はフロッシュ(松山いくお)の強烈な爆笑の独白から舞台に釘づけ。
またオルロフスキー侯爵が お茶目なキャラに急変したりと、そこかしこに仕掛けや笑いが絶えない
歌では、アデーレのアリアが今日の白眉。素直な発声は私好みのせいもあるけど、3節それぞれの濃厚な表情づけが素晴らしかったです。

舞台は小さく簡素ながら、小道具はしっかり置かれ、観ていて何も不自由を感じないものでした。

今回 光っていたのは 一昨年のケルビーノ、昨年の奥様女中で好演をした、鷲尾麻衣さん。そして声と演技、それぞれ役にぴったりハマっていた大山大輔さん。これから要チェック。

小さなホールでのオペラという贅沢。対料金満足度では今年度一番間違いなし。もちろん嬉しい完売。買うのが遅れた私は前から2列目中央で楽しみました。

12月らしいオペラはやっぱり『こうもり』でしょう。第九やくるみ割りみたいに、年末恒例の舞台作品になればいいのになぁ~。