大阪フィルハーモニー交響楽団 第520回定期演奏会 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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朝イチの飛行機で伊丹へ🛫
台風が近づいているとは思えない空と澄んだ空気の横浜でしたが、飛行機で西に飛ぶと、静岡県に入るや、平地は雲で真っ白に。


伊丹空港に着くと、もやっとした暖かい空気に包まれました。空港内でテレビを見たあと、バスで天王寺へ。マクドで朝食のあと、今日は無意味に梅田を往復したり、床屋に行って、スマートボール(この頃は土日は混んでゆっくりできないので)で避暑をしたりと、バタバタ。たこ焼きお昼のあと、今日はそのまま旅館で一休み。

夕食をお友達と待ち合わせて食べたあと、中之島へ。


大阪フィルハーモニー交響楽団 第520回定期演奏会

19時~
フェスティバルホール


指揮とチェンバロ:大植英次
ヴァイオリン:イェウン・チェ
女声合唱:大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指導:福島章恭)
コンマス:田野倉雅秋

今日の大阪フィルは 名曲ど真ん中を組み合わせた、前半と後半の関係性は、もしかして太陽系と、公転という、天体つながり? ということは自然科学系の夏休みプログラム?
私のこのコンサートの目的は、自然科学の探究ではなく大植さん。

今日の座席は1階6列だけど、オケピを舞台に使用するので、実際の1列。その左ブロックの一番内側のB席。
指揮者を真横から見れるような位置。思ったより舞台が低くて、舞台までの距離もあったのは幸い。
今日は音のことを書いていきますが、もちろん その席で聴いた音についてです。

前半は
🎵ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」作品8-1~4
チェロ以外は立っての演奏。
ソロ-8-8-6-3-1-チェンバロの編成。
大編成の60~70年代を彷彿とさせる音が聴けるのかと思っていたのですが、いい意味でひっくり返されました。
完璧だったのが、ソロヴァイオリンに過不足ないバランスでつけたオーケストラ。ソロとチェロソロ、チェンバロの三重奏のところでは、とてもアグレッシブな丁々発止さながらの音楽が聴けました。それに対してヴァイオリンソロのところでは、オケが一歩下がっての温かな眼差しを感じる絶妙なバランス。第1ヴァイオリンがリピエノとともに弾くところでは、チェさんは真後ろ、第1ヴァイオリンの方を向いて、しっかりと音を溶け込ませていました。これは大植さんのヴィヴァルディにしては大袈裟にも感じられる指揮に引っ張られた成果でしょう。
そんなチェさんの音づくりは、かなり個性的。旋律を思い切りレガートに作ったと思いきや、切れキレの鋭さを対比させたり、フレーズの間を個性的に取ったり、テンポの変化をつけたり、そしてビブラートを掛けない渋い音で攻めるかと思いきや、厚いニスを塗ったかのようなキラキラのビブラートを掛けたりと、それはもう縦横無尽。
そこでのオケとの呼吸はといえば、フレージングは完璧。しかし、間に関しては、チェさんに完全に寄り添うスタイルの大植さんの指揮が、しっかりコントロールしたいと思われる大植さん、ここでもオケにしっかりとキューを出すのですが、そこはチェさんが引っ張った方がいいのでは… チェさんは大植さん見えていなのだから… なので、どうしてもずれちゃうところが ちょっぴりお茶目…でしょうか? テンポの変化では 音のバランスのようにピッタリ決めた大植さん。それに対し ビブラートではオケは全体的に控え目で ソロとの音色の対比が際立ちました。
モダン楽器のヴィヴァルディ、古楽の語法を加味させるも、モダン楽器の長所も存分に使った演奏が楽しめました。日本の教育の中では このようなスタイルに、方向性が見えないとか、ちゃんと勉強しきれてない、とか言われそうだなぁ~と思ったのは私だけ?
そんな私はオケのポンティチェロのがキンキンと逆立った音が聴けたのが嬉しかったです。

ソロヴァイオリンに寄り添う 完全サポートの演奏が聴けました!

後半は
🎵ホルスト:組曲「惑星」 作品32
こちらは大植さん100%の音楽。第1ヴァイオリンは16の大編成。そして私の席はというと、2台のハープが至近だったので その点ではユニークなバランスで聴くことができました。
大植さんの個性的な惑星、とても大きなデフォルメが愉しかったです。
例えば、火星の冒頭。昨年の京都で衝撃のティンパニ強打で開始され めちゃ驚いた演奏でしたが、今日は完璧なハーモニーで開始。安心して聴いていたら、なんとゴーダでティンパニ炸裂! ブッ飛びました。
金星ではホルンが見事。1回1回、音色を変えて効果を出していました。特に3回目(弦の入る直前の)温かく柔らかな響きが絶品でした。ただ、木管の音を強めに聴かせていたのは 想定外。はっきりと空に光る金星らしい音にはなっていましたが、静かな曲として(の対比)は弱く感じられました。
木星では中間部の英国国教会の聖歌になっている(日本ではジュピターとして歌われる)ところを、大植さんは大きくテンポを落としたり、後半、突然pにしたりと、なかなか個性的。そしてしっかりと主張する。
土星も後半、警鐘のところを存分に鳴らしたりと、静かな音楽という印象を覆すようなまとめ方。
木管を存分に(気持ち良く?)吹かせた天王星。ここではpのところが欲しかったくらい。
そして終曲の海王星。ハープが近かったことと、後半の合唱が 舞台袖のドアを開けた向こうにしっかり見えた(直接音が届いた)ことだけではないと思いますが、とてもメリハリのある音楽は、ちょっぴり新鮮。

大植さんの 惑星 は、私の好みとは少し合わないところもありましたが、それくらいはっきりと大植さんの音楽を描いた大阪フィルは、見事。大植さんの指揮の通りの音は(見て)聴いていて、とても気持ち良いものでした。

大植さんと大阪フィル、良い音楽を作っていますね。大植さん、首都圏でも聴きたい~ 
この個性的な音づくりは上岡さんとの共通項と感じるのは私だけ? 神奈川フィルあたりで呼んで欲しいと思うのですが…