新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会♯591 ジェイド :サントリーホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日は仕事を早めに切り上げて、小田急線から千代田線で都内へ。


新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会♯591 ジェイド <サントリーホール・シリーズ>

19時~
サントリーホール

指揮:アンドリュー・リットン
新日本フィルハーモニー交響楽団


今日のコンマスは 豊嶋泰嗣さん。
ファゴットトップは河村幹子さん。
ヴィオラが上手手前の通常配置。

座席は、ちょっぴり節約!と ショスタコーヴィチでの指揮の捌き方を見たかったこともあり、P席(4列上手ブロック)。

前半は
🎵ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 op.93
第1ヴァイオリン14の 大きな編成。
センチュリー響とOLC定期で聴いたばかりの第8番。続く時は面白いように同じ曲が続くもんです。

第1楽章、弦の豊かな響きをメインに押し出すようなバランスで、P席の私の耳に慣れるのに提示部の1回目の時間が必要でした。14型の弦を存分に弾かせる響きは、黒土の軟らかな畑の土壌の様。畑の中から若々しい木管や金管の芽が出てくる風景。そんな豊かな弦の響きにどっぷり浸る中、提示部から展開部に移るときの両ヴァイオリンの譜めくりのタイミングで興ざめ。fでもフカフカの響きの弦(ヴァイオリン)の中にいると、突然、一斉に半分の奏者が譜めくりをしたものだから、音が急にか細くなり、それは踏み固められた土のように変わってしまったのが、残念。今日 気になったのはこの箇所だけでしたが、譜めくりのタイミング、ワンフレーズの譜を譜面に貼っておいて そのタイミングをプルトごとにずらす工夫も考えて欲しかったです。
続く 熱く燃えて欲しい展開部ですが、リットンさんの描く音楽は、弦の無理のない音でバランスを整えた響きからははみ出さないもの。
第2楽章では特にそのバランス感覚の良さが際立った印象がありました。
第3楽章も安定路線。そんな中、ホルンがちょっぴり安定路線から外れ気味だったのが、残念。ナチュラルホルンのOLCの方が 決まっていたので 特にそこのところが…
第4楽章も 過激さとは正反対の 音の流れを綺麗に繋いだ音楽づくり。
オーソドックスのど真ん中の様な演奏のように思えました(あくまでもP席なので、つまり本当の指揮者の意図が届いているとは限りません!)。
最後に、リットンさんが最後の音のあと、ちょっぴり、音がホールから消えるまで、音を手で支えていましたが、そこまで聴衆みんなが拍手を待てたのが とっても嬉しかったです。

ちなみに、オーソドックスって面白みに欠けて…と あまり好きではないかのように捉えられがちですが、ベートーヴェンの交響曲第5番の私の実演ナンバー1が オーソドックスの極致。LFJで聴いた オルトナー指揮の台北交響楽団の演奏ですから…

休憩のあとは
🎵ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ハ短調 op.43
16型の大編成。
もちろん 今日、聴きに来たのはもちろんこちら。今世紀に入って 少なくとも4回の実演に接している、ショスタコーヴィチの交響曲の中で 私が最も好きな曲。
長大な第1楽章。ここでもリットンさんは弦主体のバランスの良い音作り。時に異質な音として発する木管楽器の叫びも 決してあさっての方向から来るものではなく、弦楽器の森の中で生活している鳥の囀りの様。
そのあとの様々な主題とその展開の面白さは、リットンさんの真正面からの演奏で より明確に耳に届きました。
特に再現部の第1主題をファゴットのソロが歌いながら バックにホルンが絡むところの美しさ(ここって第7ホルンと第8ホルンなんですね。ベートーヴェンのホルンの数倍上手かったエキストラさん!)。
そして第1楽章最後のp(pp)も 極限まで小さな音で…ではなく、mpくらいのはっきりしたところで 明確に閉じるあたり。初めて聴いた人にはわかりやすいスタイルかも。

第2楽章も同様。弦の温かな音色から、さまざまなショスタコーヴィチの百面相が楽しめました。
最後の打楽器もppにこだわるようなことなく、明確なリズムを最後までしっかり聴かせるスタイル。聴き慣れた人には もっと大胆に…と言われるかもですが、楽器の掛け合いの妙はわかりやすくなっていました。

第3(終)楽章も 冒頭のラルゴでは 弦が豊かな響きをホールに満たして始まりました。
アレグロになったあとも、特に弦と金管の穏やかな響きの融和が印象的。ワルツ風のリズムのところも とってもわかりやすく明快に聴こえてきました。そして後半、第2ヴァイオリンが弱音器をつけて歌うところの美しさは絶品。
最後、チェレスタとヴァイオリンが地上と天空と交信をしているような空虚なところ。本来なら音がホールから方向の異なる宇宙に飛び出して行くかのように飛ばしたいところ、リットンさんはホールの天井付近で音がすーっと収束するかのようにもっていったのがユニーク、否、わかりやすい音楽作りと感じました。
なので、拍手までの時間はこの曲にしては短め。でもそれは、リットンさんの音の流れがホールに継続する最後まで しっかり全員で聴くことはできました。宇宙まで追わなくてもよいので わかりやすかったってことで…

今まで実演で聴いたショスタコーヴィチの第4交響曲で、最も「つまらなかった」けど、最も「わかりやすく」て「スコアを見ているかのようなショスタコーヴィチの巧みさのわかる」堂々とした演奏でした。
そしてリットンさんの指揮ですが「新日本フィルの皆さん、よくぞしっかり間違えずに出れましたね」という、音楽のスタイルとはちょっぴり違う指揮の姿も 楽しめました!

終演後、ホールから出ようとすると、スタッフが何かを配布している。手渡されたのは 絵はがき。とっても温かなメッセージの入ったプレゼント。


新日本フィル、さらに好きになっちゃいそう。