新日本フィルハーモニー交響楽団 ♯586 トパーズ<トリフォニー・シリーズ>(2日目) | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

今日はお昼に神保町へ。
古書の青空市で ジャストミートの本を見つけたりと、誘惑に耐えながら、やっぱり散財。背中がずっしり。
久しぶりの有名カレー店でお昼のあと、御茶ノ水から錦糸町へ。


新日本フィルハーモニー交響楽団 ♯586 トパーズ<トリフォニー・シリーズ>

14時~
すみだトリフォニーホール


指揮:上岡 敏之
ヴァイオリン:豊嶋泰嗣(ソロ・コンサートマスター)

今日は自由に選択できるセット券なので、前から3列目左ブロックの内側寄りの席。指揮者を斜め後ろから、指示の様子もしっかりと見れる位置。

今日のコンサートマスターは、仙台フィルのコンマス就任時から聴いている西江辰郎さん。

前半は2曲。最初は
🎵シューベルト:交響曲第5番 変ロ長調 D485
シューベルト 初期の交響曲の中では 最も演奏される作品。私は第3番の方が親しんでいますが…
最初のフレーズが出た瞬間、その無重力状態のようなフワッとした音楽に魅了されました。
第1楽章の羽毛のひと欠片が空気中を漂うような音楽は第2楽章にもそのまま。上岡さんの作るフレージングの美しさ。音が上昇しきって そこでひとつのピークを持たせるのではなく、そのひとつ先の下降する音まで続けることで、とっても柔らかな音に仕上げていく感じ。
さすがに第3楽章はリズミカルに行くと思いきや、角の取れた、温かな面取りをした音楽に 言うことなし。
第4楽章も同様。聴いたことのないような、洗練された輝きをもつシューベルトの音楽が展開されました。

上岡さんのシューベルトは、今まで実演で聴いた作品のすべてにナンバー1となっています。その中で今日の演奏は自分のオケだけあって、上岡さんの音楽に最も近づいたスタイルで聴くことができました。

続いて豊嶋さんのヴァイオリンで
🎵バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番  BB117/Sz.112
難解プログラムが今日は真ん中に置かれました。バルトークはピアノ協奏曲などは大好きで、管弦楽曲も全般的に苦手な意識は無いのですが、これは別格。メニューインのCDを持ってはいますが、なかなかお友達になれない作品。今日、この機会に…と思っていたのですが、やっぱりハードルが高いようでした。
冒頭のハープの入りから集中はできたのですが、ヴァイオリンのソロがどうにも訳わからない状況。オケの伴奏が(特に弦のppが)きわめてきれいでしたが、それらを私の頭の中で発展させることができませんでした。豊嶋さんの凛としたニス塗りの木工品を見るような音楽は「緻密だなぁ」のところで終わってしまいました。

つまり「勉強不足でごめんなさい」でした。

後半は
🎵シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 op.38 「春」
協奏曲の方が親しんでいる私にも、しっかり「知ってる」と言える作品。
冒頭のファンファーレから柔らか。そしてそのあと、弦楽器が一気になだれこんだところの響き(弦楽器と管楽器のバランス)がとても新鮮。
アレグロの主部、あの有名な主題、繰り返されるたびに 柔らかなアーティキュレーションが微妙に変化させながら(角を取りながら)繰り返されていく。絶妙の極み! 
その後も細部までしっかりと手を加えた演奏が繰り広げられていく。
第2楽章も温かく、優しい音楽づくり。
第3楽章は 耳にはちょっぴり遅め?と感じることもありましたが、そんな中、トリオでのヴィオラを存分に歌わす多重的な表現にハッとさせられました。
第4楽章も丁寧 かつ繊細な音楽。そして旋律をこれでもかと歌わせる、美しさの極限に向かって行くような音楽。そして最後は 音を隙間なく埋めていくような感じは、寺社の安定した建築技法を見る様。それは春になって、野原や里山の草木が隙間なくきわめてきっちりと葉っぱが芽吹くような初春の風景が感じられました。

今日はアンコールつき
🎵ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調~第4楽章
シューベルト~シューマンの流れるような旋律がここでも! ただ本プログラムと圧倒的に異なったのは、そのテンポ。このベートーヴェンのテンポのめちゃ速いこと!
圧巻。ホールを興奮の坩堝にさせました。

シューベルト、シューマン、(ベートーヴェン)ともにソナタ形式の楽章での反復は省略されましたが、最初に微に入り細を穿つような上岡さんの演奏では、反復の必然性を消してしまいました。

終演後、事務局の方とお話をしていたところ、ベートーヴェンのこのテンポ、上岡さんは「普通でしょ」と涼しい顔だったそう。
あれが普通だって…←聴いた方なら「えーっ!」ですよね。

その後 今日はサイン会。一番最後に上岡さんとお話させていた時に、周りにいた方たちとともに、今日のシューマンのテンポやアーティキュレーションが如何に楽譜通りであるのかを、ご自身のメトロノームやお友達の持ってきたスコアを開いてのミニ講義もしてくださいました。


満月の今日は2017年度の最後の日。
このあと、今年度の音楽会の総括の日記を書きますね。