室内楽ホールdeオペラ~林美智子の『フィガロ』!:第一生命ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

カーリングの世界選手権の中継を、昨夜の中国戦のみならず、未明のロシア戦まで見たものだから、完全な睡眠不足。朝食のあと、もうひと眠い。月曜日の井上さんの話じゃないけど、ハイドンの交響曲の『朝』の第2楽章をやってしまいました。

そして起きてビックリ。横浜に湿った雪がドカドカ降っている❄️テレビも都心の雪の話。
東北と北海道での生活(滞在)が通算10年を超える私は、もちろんフードを被って傘なしでお出かけ。


ウィークエンドコンサート 2017 - 2018 
室内楽ホールdeオペラ~林美智子の『フィガロ』!


HPの紹介文は
『メゾソプラノ林美智子のセルフプロデュースによるモーツァルトの傑作オペラ『フィガロの結婚』。最高のキャスティングによるアンサンブルのみで構成された、とびきり愉しいモーツァルトの世界!

現役のオペラ歌手がプロデュースするオペラの醍醐味を堪能!
人が集まってドラマが動く
重唱を美しく聞かせるアンサンブル・オペラ』 

14時~
第一生命ホール

🎵モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』

ケルビーノ、バルバリーナ&日本語台詞台本・構成・演出:林美智子(メゾソプラノ)
アルマヴィーヴァ伯爵:加耒 徹(バリトン)
伯爵夫人:澤畑恵美(ソプラノ)
フィガロ:黒田博(バリトン)
スザンナ:鵜木絵里(ソプラノ)
バルトロ:池田直樹(バス・バリトン)
マルチェリーナ:竹本節子(メゾソプラノ)
ドン・バジリオ/ドン・クルツィオ:望月哲也(テノール)
アントニオ:晴 雅彦(バリトン)
河原忠之(ピアノ)

アンサンブルを中心とした抜粋版。
ピアノの伴奏でアリアは完全にカットされているので、劇中心の進行と思って行けば、不満なし!つまり劇が進行する、アンサンブルを楽しむ舞台。

今日はちょっぴりチケット購入が出遅れたので、前から3列目のど真ん中。歌なので、本当は5~10列目くらいがベストだったのですが、舞台の中央線に近いところを優先したので…


照明が落とされると、ケルビーノとアントニオが中央通路に出て来て、これから起こる出来事の口上を述べる件から始まりました。前ブロック、それも前寄りの私の席からは 身体を反転させて観ないとダメ。今回のこの演出のフィガロを観るベストの位置は、中央通路後ろブロックの前寄りでした。

序曲と第1幕から〈以下、演奏された曲目〉
舞台には椅子が6つ。あとはピアノだけ。それが『置いてあるもの』。字幕は舞台後方に普通の(学会の研究発表などで使う)スクリーン。

序曲
《第1幕》
〈小二重唱〉「5…10…20…」
〈小二重唱〉「もし夜中に奥様がお呼びになれば」
〈小二重唱〉「どうぞお先に、まばゆい奥様」
〈三重唱〉「何だと!すぐ行って」
ピアノによる序曲のあと、すぐに二重唱から劇が開始。歌は原語ですが、その間は日本語のセリフで舞台を繋ぐので、とても観やすい。歌もその中でストーリーが動きますが、大きな字幕が効果的。映画を観るのと同じ感覚でした。
演出面では、スザンナのところに ケルビーノと伯爵が来るところ。ケルビーノがどう隠れるのかと思いきや、椅子の隣に椅子に化けて、さらに伯爵に座られる!という面白さ。そのあと、ケルビーノに加えて伯爵も隠れる場面は、2人が並んで椅子になりました。めちゃ、ウケました。
そのあとの三重唱のあとは、すぐにケルビーノの追放が決まり、即 幕。劇重視なので とてもスピーディー。
ここで1回目の休憩。

そのあとは
《第2幕》
〈三重唱〉「スザンナ、出ておいで」
〈小二重唱〉「開けて、早く開けて」
〈フィナーレ〉「この悪たれ小僧、早く出てこい」
ここでのポイントは やはり伯爵が夫人の部屋に来る場面。ここではケルビーノが隠れるところがピアノの下。続いてスザンナもピアノの下に隠れて…と。
このあとのドタバタは元のオペラとほとんど同じ。
ここで2度目の休憩。

次は 2つの幕をまとめて上演
《第3幕》
〈六重唱〉「この抱擁でわかっておくれ」
〈小二重唱《手紙の二重唱》〉「そよ風に寄せて」
〈フィナーレ〉「行進曲だ・・・さあ行きましょう」
《第4幕》
〈フィナーレ〉「そっと近づいてってやろう」
第3幕は私のツボに嵌まるところが2箇所。
1つ目は冒頭の今回、歌はカットされた「SiとNon」の二重唱のところ。スザンナと伯爵を椅子に座らせて、なんとその後ろに、舞台上手と下手から登場した河原さん←ピアニスト!と晴さんが 本来歌う2人の後ろで二重唱の歌詞を 言葉と大袈裟な演技。それをロボットのように林さんと加耒さんが同じ動きをしていく。それにしても『大柄』な河原さんの演技の巧いこと!めちゃ笑わせてくれました。
続く親子発覚の場面。フィガロが「腕に入れられた変な刺青がその証拠…」と言って 腕を出すと そこには『変』と! 前方席から順に大爆笑。ちょっぴり確認するまでに時間がかかったみたい。
次の手紙の二重唱では、極端に会話的に歌われたのが良かったです。今日は歌つきの劇を観ているのですから!
そして2つ目のツボは婚礼の場面。花娘がなんと林さんと晴さん!伯爵と夫人の前に出て歌うところが私のツボ。それに輪をかけたのが、林さんが婚礼を待って椅子に座る鵜木さんの手を取って、一緒に伯爵の前で、それは珍妙な踊りをしながら歌うところ。実はこの場で 伯爵に例の手紙を渡すので、鵜木さんを前に出すのは必要な演出だったのですが、その前までは、もう腹が捩れそう… 爆笑でした。
続く踊りの場面、伯爵が手紙を読んでいる時にフィガロにスザンナがそれを邪魔するように踊る姿が、下手な盆踊りみたいで、それにつられてマルチェリーナとバルトロの2人も盆踊りになるあたり、もうめちゃ面白すぎでした。

第4幕への移行はバルトロの口上で繋いで、逢い引きの場面に。歌はケルビーノが余計なことをする場面から。
舞台がとても明るいままだったのは、私には抵抗がありました。光を1/3程度に減光しても良かったのでは…と。
幕切れ、伯爵が謝ったあと、大団円のアンサンブルの本当に最後のところ、演技した人を椅子の前後に並ばせて幕(消灯)でしたが、そこになんとピアニストの河原さんも入りました。
最後の音楽、つまりピアノはどうしたのか?
ですよね~
なんと、ピアノを弾きながら席を立ったのですが、そこに座ったのは、
なんと、
譜めくりの方。
なんの違和感もなく、プレストの速いテンポの曲を弾きながら入れ替わっていたのです。神業!

めちゃ、楽しめました!

小さなホールなので、歌唱での甲乙を感じられない、とても充実した歌が堪能できました。
個人的には スザンナの鵜木さんの真っ直ぐな発声がめちゃ好み。もちろん伯爵の加耒さんは古楽寄りですので理想の声。それにバルトロの池田さんの低音の魅力は半端なし。

演技では瞬時の喜怒哀楽の変化をしっかり出せるスザンナの鵜木さんが頭ひとつ出ていました。その目力がもの凄かったです。
あとは先にも書きましたが、ピアノの河原さんと晴さん。存在感、質・量ともに、ありすぎでした。

林さんプロデュースの『フィガロ』、今回は池田直樹さんが出られるということで決めましたが、行って正解。
これだけ演劇的な演出を 完璧な歌唱で聴けたのが大収穫でした。

なお この公演。カーテンコールからは撮影自由。椅子のところで撮影用のポーズを決めたりして、とっても舞台の上と下の距離感を感じさせない アットホームな公演でした。私も3列目で写真、撮らせていただきました。





帰りには、雪が雨に変わって 傘なしを後悔しましたが、変わらずの寒さもあり 一気に帰宅。帰りの電車がいつにもなく空いていたのは、雪のせいだったのかも。

今夜もカーリングの応援をしてから休みます🎌