新日本フィルハーモニー交響楽団 ~ルビー と マリエッラ・デヴィーア新進歌手公開オーディション | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日はお休みを取って、お昼の音楽会へ。


新日本フィルハーモニー交響楽団 ♯10 ルビー <アフタヌーン コンサート・シリーズ> 

14時~
すみだトリフォニーホール

指揮:上岡敏之
ピアノ:カティア・ブニアティシヴィリ


ルビーのシリーズは土曜の定期会員ですが、明日はオペラの公演を入れたので、振り替え。

今日は、協奏曲は超有名曲ですが、管弦楽曲は極めて地味。『死の島』といえはベックリンの絵画で有名。ドイツロマン派の絵画を軸としたプログラムの組み方の巧みさはなかなか。集客を心配するも、ピアニストの人気か8割以上の入り。

振り替えで割り当てられた座席は11列目の左ブロック。協奏曲で指揮者がしっかり見える位置。

最初の曲は
🎵ラフマニノフ:交響詩「死の島」 op.29
ベックリンの『死の島』は展覧会で観て印象にしっかりと残った、忘れられない絵画。それを題材にした、作品。ちなみにベックリンの『死の島』は複数あるということ。
音楽の方はかなり昔に1度実演で聴いたことのある曲。
厚い、それでいて澄んだ弦の音が、絵画の雰囲気を醸し出していました。そこに挟まれる管楽器の直線的な音は、具象の、島に向かう船や島の廃墟を思わせる。
苦手なラフマニノフの管弦楽曲でしたが、オーケストラの寒色系のパレットに散らばる音を楽しむことができました。

続いてブニアテシヴィリさんのピアノで
🎵チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23
この頃、良く名前を耳にするようになったピアニスト。もちろん私は初めて実演に接しました。
冒頭のホルンがとてもゆっくりと入ったので、「じっくり巨匠系の演奏かな」と思いきや、そのあとのピアノが弾むリズムの聴き慣れたテンポで来るじゃないですか!「えっ、上岡さんとブニアテシヴィリさん、方向性が違ったまま…」と危惧するも、そのあとは、緩急自在のピアノと、それにピシッと合わせたオケ。冒頭のホルンは緩だったのね…と納得。ピアノのカデンツァでは、それはじっくりと歌い、『間』の美しさを感じつつ、弱音の美しさが沁みました。
第2楽章もしっとりとした演奏。オケのたゆとうような温かな演奏が本当に綺麗。
そして第3楽章。これはもう、驚異的な駆け足で踊りまくるような演奏。ピアノの溜めるところから一気に雪崩のごとく音が崩壊し一気に押し出される、その圧力に圧倒。ただ、そこでのピアノが乱暴にならず、繊細さすら持っていました。
私的にはちょっぴり走りすぎの感じもしましたが、上岡さんのブニアテシヴィリさんの呼吸と指を見ながらのオケを完璧に引き連れてのサポートは、見事でした!

ブニアテシヴィリさんのアンコールは
🎵シューベルト(リスト):セレナード
とっても繊細でひとつひとつの音が水の玉のようにキラキラと輝いていました。絶品✨

後半は
🎵レーガー:ベックリンによる4つの音詩 op.128
実演では初めて聴く作品。
4つの楽章が、すべてベックリンの絵画を題材にしたもの。そのうち第3楽章が『死の島』です。
まず『ヴァイオリンを弾く隠者』というタイトルの第1楽章ではソロヴァイオリンが活躍しますが、それを引き立てるかのような オケの音の繊細さが見事でした。
『波間の戯れ』の第2楽章も同様。浅い音の揺れ動く幻想的な音のオケは、前半のラフマニノフやチャイコフスキーとは大違い!レーガーがこんな音楽を書くとはビックリ!
『死の島』の第3楽章。ラフマニノフは絵画全体を捉えた音楽ならば、こちらは、絵画のひとつひとつのパーツを説明していくような感じ。絵画を描く様子を見るようにも…
第4楽章の『バッカナール』は最後の楽章に相応しい明るい音楽。

今日は後半が演奏時間の短いプログラムだったので、アンコールを期待すると、まさかの音楽!
🎵ワーグナー:『神々の黄昏』~ジークフリートの葬送行進曲
冒頭の低弦が出た瞬間、「ワーグナーだ!」「名演になるかも」と、私の頭の中にビビビと来ました。ワーグナー初心者の私の感想は、凄かった!そして最高でした!5時間のオペラは寝ちゃうけど、これなら私にも十分に楽しめることがわかりました。

終演後、上岡さん待ちの前に ロビーで行われたブニアテシヴィリさんのサイン会。CDもないし遠くから眺めていたら、皆さん一緒に写真を撮ったりと、ブニアテシヴィリさんが一人一人にとっても丁寧な対応をされていました。いつもの上岡さん仲間のお友達が「プログラムにも気軽にサインに応じてる」と報告にきたので、それならば一番最後で迷惑にならなければ お礼の言葉をかけてくるか…と、プログラムを持っていけば、握手に写真にと、まさに『神対応』。単純な私はいっぺんにファンになってしまいました。CD買えば良かった!
お友達からは「鼻の下が◯倍になっていたぞー」と。



サイン会のあとは、今日は楽屋口にまわって上岡さんとちょっぴりお話。チャイコフスキーの冒頭のテンポの変化については、「チャイコフスキーの音楽はバレエだ!冒頭をあのテンポにすると、ピアノの入りの熱量が倍になるから…」と。そしてブニアテシヴィリさんは、初めて合わせた瞬間に、「合うピアニストだ」と。
次回はぜひともチャイコフスキーの第2番の協奏曲を演奏して欲しいです。


17時半前に錦糸町から新百合ヶ丘へ。

 
文化庁委託事業平成29年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業
マリエッラ・デヴィーア 新進歌手公開オーディション

19時~
テアトロ・ジーリオ・ショウワ

「芸術団体との連携を通じたオペラ人材育成~新進歌手の歌唱機会の創出及びコレペティトゥア育成」
を目的とした事業。具体的には以下の通り。
『オペラ歌手がプロフェッショナルとして本格的な舞台公演で活動できるようになるまでには長い時間を要し、大学・大学院やオペラ団体・劇場等が設置する研修機関等を修了した後にも継続して研鑽を積む必要があります。本学では、これらプロフェッショナルを目指す若手オペラ歌手に最も必要とされる、さらなる研鑽の場と発表の機会を提供し、ひいては我が国の音楽文化、芸術振興と普及の貢献につながる事業としてオーディションを開催いたします。』

声楽講師、審査員:マリエッラ・デヴィーア
コレペティトゥア講師:アンジェロ・ミケーレ・エッリーコ

出演:コレペティトゥア育成オーディション合格者およびワークショップ受講者

講習を受けたピアニスト3人による伴奏で、ソプラノ9名、メゾソプラノ1名、テノール1名の計11名がオーディションを受けました。
イタリアオペラのアリア中心でしたが、モーツァルトを歌った方も。イタリアオペラは私にとっては新鮮な領域。肩肘張らずに、音楽に揺られて楽しめました。

歌手の皆さんは、すでにオペラ舞台の経験のある方もいたりと、将来 どこかの舞台で会えるといいなぁ~って思いながら、レベルの高い歌唱が楽しめました。

今日は夜まで時間を無駄なく使えました。