神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会 音楽堂シリーズ第12回 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日も午前中仕事。
お昼過ぎに仕事を上げて、横浜線で桜木町へ。


神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会 音楽堂シリーズ第12回

15時~
神奈川県立音楽堂

指揮:川瀬賢太郎
オーボエ:古山真里江
クラリネット:齋藤雄介
ファゴット:鈴木一成
ホルン:豊田実加


2週連続の神奈川フィル。今日は自宅近くの音楽堂。音楽堂シリーズはハイドンの交響曲を組み入れたプログラミングが私好み。今回はハイドンが有名な作品なので ハイドン以外の作品の興味が先行しての選択。絶妙な選曲!

今日の座席は3列なのに1列目という 前回と同じ席。
14:30~のプレトークは川瀬さん。
吉松さんの選曲理由は「涼しくなりそうだから…」って…
モーツァルトの協奏曲は神奈川フィルの仲間との共演が…。偽作問題かどうかは「五分五分くらいかな…」
ハイドンは「ドイツでは『Mit dem Paukenschlag』と言われており、訳すと『ティンパニの一撃』」と、タイトルのお話。
もう少し今日の聴きどころなども話して欲しかった感じもしましたが…

今日のコンマスは石田様。

最初の曲は
🎵吉松隆:鳥は静かに・・・
弦楽5部のデリケートな曲。冒頭のヴィオラのppから集中!ですが、そのあとのヴァイオリンの入りがその音量とタイミングに合わせきれていなかった感も。ただ 曲が進むにつれ、音がまろやかになりました。
曲は 映画音楽みたいな、映画音楽に使ったらバッチリみたいな、耳に優しい 川瀬さんの言う通り、暑さを忘れさせる夏にピッタリの作品でした。

続いて
🎵モーツァルト:協奏交響曲 変ホ長調 K.297b
偽作疑惑のある作品。今世紀に入って、4~5回聴いているんじゃないの…っていう、偽作疑惑に似つかわしくない プログラムへの乗りっぷり。
ソロ4人の両端にオーボエとクラリネットを置きました。それに対してオケは上手手前にヴィオラを置く通常配置。「ソロとオケの音の並びが違うじゃん!」これならばオケを両翼配置にして欲しかった。
第1楽章のオケの提示部、なんか平坦。少なくとももう少し起伏を持たせた演奏ができないものかと思ってしまう。
ソロが入ってからも その傾向は変わらず。堅実で端正とでも言うべき演奏。ただ 流れるような旋律が敷かれているこの作品、旋律をもっともっと歌わせることができたはず。ソロはクラリネットが積極的に引っ張ってはいたものの、なんか他の方たちが「遠慮しちゃっているの?」と思わせる様。1970年代のレコード録音によく聴かれた『楽譜通りの古典的』な姿。
この作品、昨年、九州交響楽団の定期での『歌いまくった演奏』がまだ頭に残っているのでちょっぴりハードル高めになっちゃいました。
川瀬さんの才気煥発をかなり期待したので、残念レベルに。

休憩後
🎵ハイドン:交響曲第94番 ト長調 Hob.I:94「驚愕」
メインが25分ほどのこの作品1曲というのに ビックリ。なので曲そのものにもビックリを期待しちゃいました。
ここでの川瀬さんの指揮は なかなかアグレッシヴな攻めを見せてはいました。
第1に、ティンパニ。プレトークの意味がここでわかりました。有名な第2楽章のあの一発はもちろん、第1変奏の冒頭のフォルテの一発(反復したから2回)も刺激的な最強音で「ホールにひびが入るのでは?」と思わせる鋭いパンチを効かせました。そして同様のティンパニのパンチが第4楽章、コーダ 233小節のソロ。ここもホールを崩すかのような強烈なもの。ここは2小節のティンパニソロですが、2小節目からはオケが旋律を演奏しはじめるので 2小節まで(オケの音を消すように)強烈に連打させるのは どうにも理解不能。そしてそのあとの249小節からのティンパニのリズム楽器として曲全体にリズムの波を作らなくてはいけないのに、強打だけに集中しちゃってなんか忘れているよう。残念でした。
また川瀬さんに注目したもうひとつの点は、反復時の工夫。今回、反復前と後で積極的に異なる表情をつけていたこと。ただ「なぜそこを、そのパートを、急にfにするの?」など、ちょっぴり疑問に思える無理な?解釈を感じさせる箇所がいくつか気になってしまいました。スコアが頭に入っている私だからこその疑問かもしれません。ベートーヴェンなら両手離しで絶賛したでしょう。川瀬さんのアグレッシヴな演奏、表面は落ち着いたアグレッシヴとは正反対の音ですが、これからの成長を期待です。
そしてもう1点、第1楽章展開部でのヴァイオリンのビブラートを掛けない音など、川瀬さんは ビブラートを掛けない響きを効果的に使っていました。モダンオケですから 私も一律にビブラートを掛けるなとは言いません。ビブラートを掛けたりカットしたりと、その場に応じての音色作りに成功していました。

25分のメインプログラムが終わった時間は、休憩(長めの20分だったのに)を取っているのに16:40前。今日は短い演奏会で 時間当たりにするとお高い演奏会になっちゃうなぁ~(ワーグナーの好きなお友だちから「ワーグナーは時間当たりで安いのだ」と聞かされているので…)と思っていたら、川瀬さんが「もう一度演奏、全曲じゃないけどね!」と言って
♪ビックリ交響曲~第2楽章
8小節終わる前に 川瀬さんがコンマスの石田さんに指揮棒を『無理矢理』渡して指揮台に上げちゃいました。
そのあとはもう小芝居の領域。なんと川瀬さんが袖に下がって引っ張り出してきた背の高いおにーちゃんはなんと、今日降り番、前回の音楽堂シリーズで弾き振りをしたもう一人のコンマス、崎谷さん。
つまり石田様指揮、コンマス崎谷さん。
そのあとも爆笑が散りばめられた小芝居というか、ファン感謝祭みたいな、本当にビックリさせられた『ビックリ交響曲』のアンコールが楽しめました。

めちゃ楽しかったです!
今日の白眉、吉松隆は忘却の彼方に鳥とともに飛んでいっちゃいました。

このノリが出来るなら、いつか『告別交響曲』→シュペルガー『到着交響曲』の流れ(もしくは逆でもいい)をプログラムに入れて欲しいです(N響がプログラム発表したのですが、スイトナーさんが来日不能でプログラムが没になった残念さがいまだに忘れられません)。

暑い1日でしたが 爽やかな気持ちで外に出ると 涼しい風。図書館に借りた本を返却して、ゆっくり散歩をして帰りました。