N響 午後のクラシック:ミューザ川崎シンフォニーホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日は平日お昼の音楽会。
昨年、プログラム発表の段階で予定をあけていた公演。ただ、予定の指揮者、N.マリナーさんが逝去されたため、一度はパスをするつもりでしたが、元気なモーツァルトを聴かせるコープマンさんなので、1回券のリーズナブルな席で行くことにした次第。

N響 午後のクラシック

15時~
ミューザ川崎シンフォニーホール
 
指揮:トン・コープマン
フルート:カール・ハインツ・シュッツ
ハープ:シャルロッテ・バルツェライト
NHK交響楽団


今日の席はLA1列目。オケの上手斜め後ろの席。ここはホルンの後ろになることが多いので、それほど好まない(下手斜め後ろが好きな)席ですが、今日は予想外にホルンがおとなしかったのは肩透かし。そして、今日のオケ配置は両翼配置でなかったので 無理して正面席を買わずに正解でした。

コープマンさんといえば、1991年にモーツァルトの交響曲全曲演奏会を東京で行い話題になった指揮者。リズミカルで忙しないともとらえられる音楽作りが特長。モーツァルトでは宗教曲で「これは無理!」みたいな演奏を聴いたこともありましたが、交響曲では概ね私の好み。昨年、オルガンのコンサートを聴いたばかり。才能豊富なマエストロの音楽を2年連続で聴くことに。

今日のコンマスは、ライナー・キュッヒルさん。前半は10型、ジュピター交響曲は12型の通常配置。

最初の曲は
🎵モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
最初の金管のファンファーレで身を乗り出すほど。バランスの良い柔らかな響き。
アレグロの主部、弦の刻みが単調にならない。ひとつひとつのフレーズの膨らみと表情の変化が繊細。しっかりとリハがされている。そしてN響とは思えないヴァイオリンの浅い音~ヴィブラートを抑えたからこそ~がなんとも心地好い。特にダウンボウに顕著だった音の膨らみが それは素敵でした。
管楽器が、それはバランス良く 弦楽器に美しい色を加えていきました。とても美しい『魔笛』が聴けました。
まあるいモーツァルトは 鮮烈な演奏が来るという心の準備を一気に崩すものでした。

続いて
🎵モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299
スコアを読んだことの無い作品。でも、実演やFMなどでは度々耳にしており、モーツァルトでは身近な曲。
第1楽章冒頭のソロとともに開始されるところ、斜め後ろでは聴こえ辛いだろうと思っていたらハッキリと聴こえてきました。良かった!
美しいフルートとハープのソロに 穏やかにつけるオケのひなびた音がなかなか。
第2楽章の冒頭、オケの入りがmfくらいで「大きいのでは?」と思っていたら、ハープのソロの直前で大きなディミヌエンドをして 絶妙な呼吸でハープにスッと渡すなど、さすがというばかり。弦楽器のオケの伴奏では、開放弦を惜しみなく使うなど、真っ直ぐな響きが とても落ち着く様相が素敵。
 第3楽章では弦よりも管楽器とソロとの掛け合いが優雅に香りました。
伴奏でも ひとつひとつのフレーズに気を配った丁寧なオケ(コープマンの丁寧な指揮)が光りました。

アンコールは
♪イベール:間奏曲
フランス独特の洒落た音楽が楽しめました。

休憩のあとは
🎵モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
落ち着いたテンポと心地好いリズム。90年代のコープマンさんとは 明らかに違っていました。演奏のスタイルは『魔笛』や協奏曲と同様。細部まで拘った演奏が聴けました。主題を繋ぐフレーズなどでは思いきったppや 反復時に1回目と表情を変えるなどの姿勢が感じられました。
ただフルートがやたら目立って聴こえすぎでした。これは斜め下に直接楽器が見えたせいかもせれませんが、オーボエとフルートが同じリズムで重なる時のみ フルートの鋭い音がまあるく閉じ込められるバランスが面白く聴けました~正面席では普通に聴こえたのでしょう~
第2楽章は弦楽器の響きの美しさとオケ全体を駆け巡る旋律の掛け合いが愉しく聴けました。
第3楽章は明瞭なフレージングでハッキリとした輪郭を持った音楽づくり。
ただちょっぴり生真面目なトリオは単調な感じも。
第4楽章は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの分離をほとんど感じない音作り~ここでは同じリズムで進むことが多いので 通常配置だと仕方ない~は楽器毎よりブロック毎の掛け合いが明瞭~ この楽章では反復前後で耳を傾ける楽器を変えることで 楽しさ2倍になりました。後半は前半を旋律を追いながら、後半は金管を中心に聴こうとしたら
<後半の繰り返し省略>
めちゃ残念!
まぁ、繰り返すと長くなっちゃいますからね。

アンコールは
♪モーツァルト:『アイネ クライネ ナハトムジーク』~第1楽章
提示部を繰り返す、丁寧な演奏。12型のこの曲には大きな編成も気にならない、爽やかな響きは、ヴィブラートを抑えたり開放弦を積極的に使ったりと、自然な響きの音楽づくりだから?
ヴィオラのトリルがめちゃ効果的に決まっていました!

ちょっぴりバランスの悪い席ですが、普段聴こえずらいパートを聴くことができて めちゃ楽しめました。

唯一気になったことは、今日 会場で配布されたプログラム。定期演奏会とは異なり 今日だけの表紙と6頁からなるもの。昨日のNHKホールとも違うのは 今日は冠コンサートだから? で、私が「配慮を!」と思うのは NHK交響楽団のメンバー表。もちろん団員全員の名前が出ていますが、今日 聴きに来ている人は、やっぱり乗っているメンバーの名前が欲しいでしょう。配布プログラムを月毎に作る楽団も多い中、それでも演奏会毎にメンバー表を印刷していたり(日本センチュリー)、その日のメンバー表を別紙で挟み込む(名古屋フィルや新日本フィル)など 丁寧な対応をしているところもあります。今日のように定期演奏会に準ずる公演で単独でプログラムを作るのであれば そこまで配慮して…と思いました。

最後に💻
今日の音楽会、映像配信をするそうです。パソコンから高音質で、きっと私の席よりもバランス良く、聴くことが、もちろん映像つきで、できるとのこと。
Webから無料の視聴専用ソフト
「PrimeSeat」をダウンロードしてインストールして…とのことです 👇