はいどん楽遊会 その二十二 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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暖かかった首都圏。コート無しで身軽ではありましたが、私の鼻と目は大変な騒ぎ。薬を飲んでくれば良かったと気がついたのは、多摩川を渡ってから。

今日のお出かけは

はいどん楽遊会 その二十二

17時~
雑司谷拝鈍亭

楽遊会弦楽四重奏団
ヴァイオリン:若松夏美、竹嶋祐子
ヴィオラ:成田 寛
チェロ:鈴木秀美


いつもの拝鈍亭でございます。

まずは太陽四重奏曲集から
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調 作品20-4 Hob.III:34
アレグロの第1楽章はpで開始されるとても柔らかな曲。ハイドンらしいソナタ形式の構成はとても充実したもの。若松さんのちょっぴりビブラートをかけたりしながらの和紙のような肌触りの音色がピッタリでした。
ニ短調の二重変奏曲の第2楽章。鈴木さんの堂々としたチェロのソロが印象的。ここはガット弦の響きを満喫できました。
ジプシー風と題されたメヌエットは3拍子に聴こえないリズムで開始。聴いている者を混乱に招く仕掛けが楽しい。
チェロが主役のトリオは3拍子がはっきりして ホッと一息。おふざけの音楽の表現は この団体はピカイチ!
プレストの終楽章はスケルツァンドとも標記された、超快速のおどけた愉しさ満載の曲。その素早い中に、fとpの激しい切り換えや楽器と巧妙な対話が組み込まれている。初期の作品の様に終楽章は第1ヴァイオリンが旋律で他のパートが刻みで終わるなどの単純さとは無縁の完成度。
地味なこの作品の愉しさを存分に聴かせる好演でした。

ここでの鈴木さんのお話は
「弦楽四重奏曲全曲に向けて、演奏しやすい作品を選んでいると、だんだん難しい作品ばかりが残ってくる…  で、今回は嬰ヘ短調の作品。嬰へ長調だと♯が6つ。古楽の演奏家には大学のソルフェージュの復習みたいで…。間違えても寛容に…」

その地味ながら難しい
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 嬰へ短調 作品50-4 Hob.III:47
厳しいアレグロの第1楽章。しかし第2主題では温かな風を感じるように長調に傾くあたりの色合いが絶妙。この微妙なマーブリングのような色の変化が最後まで。ガット弦のビブラートを抑えた響きがこの曲にはピッタリでした。
変奏曲のアンダンテの第2楽章。
2つ目のイ短調の主題はチェロが牽引。鈴木さんの堂々たる音楽に他が乗ってくる感じが いい。
メヌエットの第3楽章が ♯6つの嬰へ長調!耳ではとても柔らかで優しい音楽なんですが、弾くのは大変なんですね。途中で半音の進行! 聴くと弾くとは大違いらしいということを肝に銘じて楽しみました。難しいとは感じない 素敵な曲の仕上がりでした。トリオは嬰ヘ短調。♯3つですが、暗さもそれほどでなく、ちょっぴり中途半端に聴こえたのは私だけ?
フーガと記された第4楽章。チェロから順に4つの楽器が掛け合いを繰り返して音楽を作っていきました。その中で合いの手を入れつつ曲を作っていたのは やはり鈴木さん。
地味なこの作品のユニークさをしっかりと聴かせてくれました。

休憩のあとは有名な
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ短調 作品76-2 Hob.III:76 「五度」
タイトルの5度の下降音型の主題の第1楽章。ソナタ形式ですが、5度音型を軸に組み立てられた第2主題が朧気なのが特徴的。緊張感あふれる楽章は、ベートーヴェンの運命の先取りともいえるつくり。ビブラートの無い峻厳な音にピッタリの楽章でした。
またも5度が…という第2楽章。でもここでは温かなニ長調の主題で、ホッと一息。ここでは内声の第2ヴァイオリンとヴィオラの響きが音楽を豊かに肉づけしていました。
完璧なカノン。中央ヨーロッパの民族舞踊そのものの第3楽章。表記はメヌエットですがね… トリオは絶対に踊れない… 途中で拍子がわからなくなる😱 このような曲は独壇場。メヌエットでのチェロの対旋律の主張がなかなかの幅を効かせていたのが 鈴木さんらしい。
第4楽章はソナタ形式で緊張感みなぎる短調の音楽で締める、と思いきや、第1ヴァイオリンの同じ指を指定した ポルタメント的効果を狙った、ハイドンらしいおふざけが楽しい。
この渋いプログラムの演奏会をハイドンらしい 真面目な顔してふざけたことをやっちゃう曲で締める組み方は、ハイドンを知り尽くした鈴木さんらしい絶妙なプログラミングですね。

今日は満員の拝鈍亭。開演前に椅子を運び入れたりと 係りの方は大変そうでした。
この先、どうなるのか心配!