モーツァルト・アカデミー・トウキョウ:毎年レクイエム 第9回 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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12月とは思えない暖かな1日。
今日はギリギリまで悩んだ演奏会に行くことができました。今日は行きたい音楽会が重なりました。ひとつは無料の演奏会だったので そちらを優先と考えたのですが、開演時間が30分早く かつ 仕事場から遠いので、電車に乗った段階で諦め。開演の遅いこちらを選択。

モーツァルト・アカデミー・トウキョウ
『毎年レクイエム』第9回


19時~
トッパンホール

MATヴォーカルアンサンブル~ソロ兼任
Soprani:大塚恵美子、金成佳枝、神山直子、田中結香、名倉亜矢子、本宮廉子
Alti:奥村泰憲、輿石まりあ、髙橋和真、北條加奈、横町あゆみ
Tenori:大野彰展、金井隆之、沼田臣矢、真木喜規、吉田宏
Bassi:浦野智行、小家一彦、小藤洋平、淡野太郎、山形明朗

MAT チェンバーオーケストラ (オリジナル楽器使用)
コンサートマスター:大西律子
ヴァイオリン:大久保幸子、門倉佑希子、小池吾郎、高橋真二、関口敦子 
ヴィオラ:上田美佐子、小林瑞葉
チェロ:伊藤恵以子、十代田光子
コントラバス:角谷朋紀 
バセットホルン:大友幸太郎、戸田竜太郎
ファゴット:鈴木禎 、長谷川太郎
トランペット:大貫ひろし、中村孝志、中村肇、宮下宣子
ティンパニ:鈴木力
サックバット:武田美生、生稲加奈代、生稲雅威
オルガン:渡部 聡

指揮:坂本 徹

HPの紹介文には
『作曲後200年以上経ってなお、尽きせぬ興味、謎、そして感動を与えてくれるモーツァルトのレクイエム。何度演奏してもその魅力、興味は語り尽くせません。
今年はモーツァルト作品に多大な影響を与えたと言われるミヒャエル・ハイドンの畢竟の名作、レクイエムMH155を前半に取り上げます。この作品、今年6月の10周年記念演奏会でも取り上げました。お客様の声に「もう一度聞きたい」、メンバーの「もう一度やりたい」の声の元、短期間での再演に踏み切りました。
モーツァルトのレクイエムが、また一層新鮮に響くものと思われます。』

毎年12月5日のモーツァルトの命日を中心に企画されている、シリーズ。プロの演奏家を中心に編成されたオリジナル楽器のオケと合唱の音楽会です。前回行ったのは、新大久保の淀橋教会でした。今回は普通のホールなのがちょっぴり残念。
当日券でしたが 前から5列目の真ん中という文句なしの席が取れました。
並びは下手から上手にヴァイオリンからチェロ、コントラバス(ミヒャエルの作品はヴィオラ無し)。下手後ろにトランペット、上手後ろにサックバット。声楽陣も上手からソプラノからバスという並び。

前半は、私の目的ともいうべき曲。
🎵ヨハン・ミヒャエル・ハイドン:レクイエム ハ短調 MH 155, 1771
1771年12月に亡くなった、ジギスムント2世の葬儀のために ミヒャエルが依頼されて書いた作品。この大司教はモーツァルトにとっても恩人にあたり、翌1月2日の演奏会では、モーツァルト父子がヴァイオリンで参加したとの記録のある、モーツァルトを語る上で重要な作品。ハイドンの弟のミヒャエルは、宗教曲では古典派屈指の作曲家ですが、その最高峰といわれているのが、このレクィエム。
今日は日本の古楽の実力者による素晴らしい公演となりました。
冒頭、入祭唱のオケの音から魅了。ヴァイオリンの繊細な刻みが生き生き。
声楽は少数精鋭で、指揮に対する反応がしっかり、かつ、バランスがとてもいい。
穏やかなミヒャエルの 大司教を悼む音楽を、小細工なしの素直な音で聴くことができました。

休憩後がほとんどの方のお目当て
🎵W.A.モーツァルト:レクイエム ニ短調 K. 626(ジュスマイヤー版)
オイレンベルクのミニチュアスコア持参、といっても 自宅で開いた記憶もなく、ついでに モーツァルトのレクィエムのCDは全集として購入したセットくらいしか無い。きっとCDより実演の方で耳にしている作品。
ページをめくる毎に段組みがマチマチのスコアに翻弄されながら 楽しみました。
冒頭のファゴットの大きめのバランスでの発見はスコアの力が大きかったです。
それに続くモーツァルトの厳しすぎる音楽をオケが見事に演じました。
『不思議なラッパ』での浦野さんのバスと、それに続く真木さんのテノールは圧巻。舞台が一気に引き締まりました。
後半、ジュスマイヤーの優しさあふれる音楽は、オリジナル楽器と素直な発声の小振りの合唱がピッタリ。モーツァルトよりハイドンに近い作風(特にベネディクトゥス)は、前半の緊張を強いる音楽とは対照的。ジュスマイヤーのほのぼのとした音楽は この編成が最大。それ以上の編成だと音楽が負けちゃう と 感じました。
最後、音が消えると同時に 場を壊すような『ソロの拍手』をしたオヤジ、殺してやろうかと思いました。ちょっぴり知っていることを自慢したかったのでしょう。困った輩です。そうなるのは 好きでチケットを買って来るのではない人が多い公演だからでしょう。

今日は3人のレクィエムを聴きました。真剣に作ったミヒャエルの作品は、ちょっぴり古風で祭壇の上の ちょっぴり近づき難い作品。
モーツァルトは本当に無駄の無い、というより 一瞬に あまりに多くのことを詰めこんだ 息抜きの瞬間すら与えてくれない作品。
それに対して ジュスマイヤーは 庶民の目線で、だれにでもすぐにわかるような歌を通して温かく紡がれた作品。
今日は ジュスマイヤーに癒されました。

今から225年前までモーツァルトは生きていた、って こちらはどうにも想像すら及ばない私でした。

最後に 坂本さん率いるMATは立派なプロ。地味すぎるプログラミングで集客活動が大変かもしれませんが、古典派の未知の宗教曲を紹介する役割は大きい団体です。一番のプロらしさは料金設定でわかりますが、それは20~25%カットにして欲しい。ミヒャエル ハイドンなのに今日の演奏会の次点候補で 当日券で行ったというのは、そこですから。そうして本当に行きたくてチケットを買う人を増やして欲しいと感じました。