新日本フィルハーモニー交響楽団トパーズ<トリフォニー・シリーズ> | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日から3連休。本当なら北海道の大雪山に行きたかったのですが、外せない音楽会があったので、『少し』おとなしくする3連休にしました。

お友だちと御茶ノ水のCD屋さんで待ち合わせ。錦糸町に移動をして昼食。
そして外せなかった音楽会に。

新日本フィルハーモニー交響楽団
トパーズ<トリフォニー・シリーズ>

指揮:上岡敏之
ピアノ:アンヌ・ケフェレック

14時~
すみだトリフォニーホール


今日は1階6列中央やや下手の、ソロのピアノの鍵盤が見える位置。
お友だちはそれぞれ2階と3階と みなバラバラでそれぞれの位置へ移動。

北海道を振ってまでこちらに来たのは、上岡さんが古典派、モーツァルトを演奏。そしてラ フォル ジュルネでお馴染みの お気に入りのピアニスト、ケフェレックさんがモーツァルトを弾くという!
これはもう外せません。

前半はそのモーツァルトを2曲。今日は両曲ともスコア片手に聴きました。
🎵モーツァルト:交響曲第33番 変ロ長調 K.319
驚きの演奏が聴けました。
第1楽章冒頭を上岡さん、大きく振って開始。見ていて『テンポは?』ってなる。やはりちょっぴり乱れはあるものの、それは想定内? オケ全体のアンサンブルを留意させるため? そこから紡ぎ出される音のふんわりとした柔らかさに絶句でした。こんなモーツァルトってあり? 繊細でふんわりしたfは音量的にはモダンオケではmpレベル。上昇音型でディミヌエンドさせたりという上岡さん独特の解釈が、古典派音楽では新鮮に輝きました。
第2楽章でもひとつひとつのフレーズ毎にしっかりとコントロールができていて、聴いていてビックリの連続。私の今日の白眉はなんとも地味なこの楽章でした。
メヌエットは明るく真っ直ぐ。速めのテンポで駆け抜けました。冒頭の『シ~シシシシー』のフレーズ。ポルタメントを掛けるのでは… と期待をしたのですが、ダカーポ後は繰り返しをせずの直球勝負。マーラーのような濃厚な表現を期待したのですが、それはなし。終演後、上岡さんに訊いたところ、「この時代にはまだその奏法はなかったから。冒険はしたくないし…」 と否定的ではない言葉がありました。是非とも冒険を期待したいものです。トリオでは、最後の4小節をオーボエではなく第1ヴァイオリンを聴かせたのが ユニークかつ新鮮な驚きでした。
第4楽章は軽快なリズムで駆け抜ける爽やかな音づくり。反復を前後半省略したのは、同じソナタ形式の第1、第2楽章に反復記号が無いため、それに合わせたのか…と。これも訊いたところ、「反復すると長くなる(つまりバランスの問題)、それと ロンド形式として表現したかった!」とのこと。あとの説得力は強いものがありました。

上岡さんの演奏会の中でも とても印象に残るものとなりました。以前、モーツァルトの交響曲34番でも 目から鱗の連続で興奮したのに続き、上岡さんのモーツァルトは本当に愉しいです。
ただ 日本人に多い、こうあるべき主義の方が聴くと『モーツァルトではない!』等の感想が出てきそう。多様なモーツァルトを楽しむことができる方には、しなやかでシルクのような肌触りの化粧をされたモーツァルトに、ビックリかつ驚きとなって届いた様です。

続いて私的には今日のメイン
🎵モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K.595
ここでも繊細なモーツァルトが顔を出しました。そしてこの作品、3つの楽章を間を置かずに連続して演奏しました。
オケの前奏から温かい音楽。ピアノのソロが入った瞬間、田園風景の中に 突然2階建てのモダンな家が現れた様に感じました。それくらい前奏が抑えられていました。しかしその対比はすぐさま溶け合い、同じ風景となっていくあたりは、どちらもさすがのひとこと。
そんな中、展開部のミノーレになった瞬間のピアノの翳りはそれは鮮やかでした。
第2楽章ではケフェレックさんの即興がおしゃれでした。再現部の1フレーズ目を楽譜通りに弾いたあと、2フレーズ目から右手の装飾が華麗に加わりました。また、左手のリズムも細かく刻むなど、積極的な表現が光りました。
またこの楽章では 冒頭の主題、『ミーファミファソミーファソラ…』の2小節目の『ミーファソラ』の『ミー』を長めに取り、そのあと音を完全に消してから『ファソラ』と弾き分けるのにはビックリでした。長めに取るのはわかるのですが 切るのにはちょっぴり抵抗を感じてしまいました。
有名な第3楽章は 軽快で爽やか。ケフェレックさんはアインガングを挿入して、華やかさをプラスした 明るい田園の風景に仕上げました。

大きな拍手に応えて、アンコール。
♪ヘンデル:メヌエット
小学生のピアノ発表会で弾かれるような可愛い曲。それを 本当に慈しむように ひとつひとつ丁寧に織り上げていきました。心が入った演奏は 作品の難易度などとは関係なく、素敵に変身!

後半は
🎵ブラームス(シェーンベルク編):ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 op.25(管弦楽版)
この曲は実演でのみ聴いていますが、前回は10年以上前の仙台フィルの定期。それを含めて過去3回は聴いている作品。
今回、驚きの新鮮さで聴くことができました。前回までは 第4楽章以外はパットしない作品だ…という印象だったのですが、上岡さんの演奏からは、第1、第2楽章からはブラームスの渋さの中からの温かさに惹き付けられました。第3楽章では シェーンベルクの煌めくばかりの美しいオーケストレーションに魅了。幽玄で研きこまれた音楽にビックリの発見でした。
そして以前から耳に残っていた スラブの民族音楽そのものの第4楽章。上岡さんは派手にそして鋭い舞踊を見せてくれました。沸き立つようなリズムがそれまでと一変。喝采のフィナーレとなりました。

今日もアンコールがありました。
♪ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
1拍振りというめちゃ速いテンポ。破綻せずアンコールらしく肩の力が抜けた 大きな演奏が気持ちよかったです。

終演後、今日もサイン会。
ケフェレックさんは持参した2枚のCDでしたが、上岡さんのCDはすべてサイン済みなので 今日はモーツァルトの交響曲のスコアに大きなサインをいただくことができました。



さぁ 連休、お出掛けだぁ~
少しもおとなしくできていないかな?