適度な湿り気のあと、涼しくなればいいですが…
傘無しで都内へ移動。
第7回読響アンサンブル・シリーズ
19時30分~
よみうり大手町ホール
《下野竜也のハイドン》
読売日本交響楽団
指揮:下野 竜也
チェロ:上村 文乃
6-6-4-4-2のヴィオラを下手に置いた両翼配置。端っこ席じゃなければ楽しさ10倍だったかも
最初は
ハイドン:王立音楽家協会のための行進曲 変ホ長調
後期の曲ですが、滅多に取り上げられないなんとも珍しい曲を選んだものだと、感心しちゃいます。今日来た目的はこの曲!
ティンパニ奏者がひとり最初に入ってチューニング。バロックティンパニだから先に入って…と思っていたら、突然、行進曲のリズムを叩き出して、それに合わせてオーケストラが入場!という趣向。なかなかやります!
そのリズムのまま、指揮者無しで行進曲を開始。旋律を聴かせる 流麗な行進曲。トリオが織ら終わると扉が開いて、読売の旗を持った下野さんが入場。舞台からの階段を降りて客席の中を行進。最後に指揮台のところで音楽を締めて、終了。
やっぱりハイドンはこうでなきゃ
続いて私的にメインはこちら!
ハイドン:チェロ協奏曲 第1番 ハ長調
この曲はハイドンで最も多くの演奏を(CDを含め)聴いているであろう作品。今日は敢えてスコアを持たずに聴くことにしました。
4-2-2-2-1の小さな編成になりました。
第1楽章は速めのテンポですが、リズムが滑るようなことはなく、とても安定した演奏。
上村さんのチェロはリズムを際立たせた 端正な音楽づくり。正確なリズムと音作りは見事でした。そして大きな歌を堂々と奏でました。その中ではちょっとした装飾もそうですが、ポルタメントなどをこっそりと使い 音楽に艶を与えているなど 考えられた演奏が聴けました。
唯一、この楽章では高音のA弦の高音域でビブラートをかけた時に 音の揺れが大きく装飾の域を超える不安定さを生じたのが残念。ビブラートは同じ揺らし方でも音の揺れが弦が短くなれば大きくなるので ちょっぴり配慮て欲しかったです。
オケも第1ヴァイオリンでピッチが怪しいところがあったりと、練習がちょっぴり不足なのかな…って感じもしました。
そんな中、カデンツァは『ひばり』の主題が組み入れられるお洒落な自作。私はそのオリジナリティ溢れる仕掛けに魅了されました。
美しい第2楽章は上村さんが存分に歌いました。オケは完璧なまでの伴奏。展開部後半、チェロがppでささやけば、それを支えるオケpppの薄い氷が張りつめた池の様な繊細さ。
カデンツァでの絹のような滑らかなチェロの音色は素敵すぎました!
快活な第3楽章も 速めのテンポでも とても安定した演奏。技巧より歌を大切にした演奏、開放弦の音の豊かさに ハッとさせられる瞬間が、とても心地良かったです。
アンコールのバッハの無伴奏の快速演奏にも驚きましたが、すぐにその音楽に引き込まれ その音楽に酔ってしまったのは まるで魔法にかかった様でした。
上村さん、初めて聴きましたが、一筋縄ではいかない魅力が感じられました❇
休憩を挟んで最後に
ハイドン:交響曲 第101番 ニ長調「時計」
元の6型の編成に戻っての演奏。
ハイドンで3指に入る有名な曲。昔々、音楽の鑑賞教材にも選ばれていた作品。今日はオイレンブルク版のスコアを持参。ザロモンセットの12曲の中で、私はよく聴くとはいえない部類の作品。
小さな編成でも 小さなホールなので、ダイナミックに鳴り響きました。
この曲では第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンとの掛け合いが多く、私の席では第2ヴァイオリンが聴こえずらかった、それにも増してヴィオラ、ですが、華やかな対話を作っていました。
下野さんの音楽は、プレトークでもしゃべっていたのですが、ハイドンの音楽の面白さは 意外性とベートーヴェンに近い音楽。
交響曲でその通りの演奏を聴かせてくれました。
小さなホールで とても大きな演奏が聴けました