エルヴィオ ソーヌス 第5回演奏会J.S.バッハ「クリスマス・オラトリオ」 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

今日も冬晴れ☀
12時過ぎに多摩川を渡れば、すこし霞んではいるものの、南アルプスの白い嶺は今日も見えました。そして上野へ。

東京文化会館で
13時30分~
エルヴィオ ソーヌス 第5回演奏会

🎵J.S.バッハ「クリスマス・オラトリオ」全曲



アマチュア合唱団ですが、ソリストとオケが下記のように古楽の精鋭が集まっていますから、足が向いてしまいます。
この団体の公演に行くのは2回目。前回は忘れもしない、2011年3月9日でした。天地創造をピリオド楽器で!とあり 駆けつけた次第。それ以来になります。

今日の布陣は
指揮、カウンターテノール:青木洋也
ソプラノ:澤江衣里
テノール、福音史家:中嶋克彦
バリトン:加耒徹
管弦楽・合唱:エルヴィオ・ソーヌス
 
★管弦楽メンバー
コンサートミストレス 大西律子
フルート1 前田りり子
フルート2 菅きよみ
オーボエ1 三宮正満
オーボエ2 星 春海
オーボエ・ダ・カッチャ1 森 綾香 
オーボエ・ダ・カッチャ2 尾崎温子
ファゴット 鈴木 禎
トランペット1 斎藤秀範 
トランペット2 大西敏幸
トランペット3 村田綾子 
ティンパニー 村本寛太郎 
ホルン1 下田 太郎
ホルン2 小川 正毅 
ヴァイオリン1 大久保幸子、鍋谷里香
ヴァイオリン2 高橋真二、須賀麻里、関口敦子
ヴィオラ 上田美佐子、小林瑞葉
チェロ  西沢央子、十代田光子
コントラバス 西澤誠治
オルガン 山縣万里
 
合唱は前回と同じく、男女比が極端に違う アマチュアならではの悩みを抱えた状態。今回も6:4:1:1の割合。そして驚いたのはその配置。男声を舞台上手 古楽配置での管楽器の後方(モダンオケのコントラバスの位置)に離して置いたこと。そして女声を舞台正面に!

私の席は今回 1階上手側のサイド席の内側。男声合唱が聴こえてこない!まあ、低音楽器のひとつと考えて聴けばいい、と前向き発想で楽しむことに…

今日はクリスマスオラトリオ全曲ですから、休憩15分を含めて3時間半を超える公演。

前半は降誕節の第1部~第3部
冒頭の元気いっぱいの合唱にトランペットの華やかさで 掴みはOK!
今回は歌詞が舞台後方にスライドで映し出されたので、プログラムを見る必要もなく 客席側も静か。
第1部で最も印象に残ったのは アルトのアリア。指揮の青木さんが振り向いて 歌い始めると、その伸びのある豊かな声がホールいっぱいに響きわたりました。もちろん声量もですが、安定した美しい声にビックリ!

続く第2部では 私の大好きなアルトのアリア、Schlafe,…でまたまた圧巻の歌唱を青木さんが聴かせてくれました。冒頭の部分では 器楽の前奏と一体となった中から 浮かび上がってくる瞬間の天国的な美しさは 今日の白眉でした。しかし ここでの一番の功績は青木さんとユニゾンで動いたフラウトトラヴェルソの前田さん。後光がさしているような効果が絶品。フルートの音と感じさせないレベルで歌に寄り添い 歌の色に艶を終止与え続けていました。舞台上で音が出来上がって客席に飛んできていました。
幸せな時間でした。

第3部では、ソプラノとバスの二重唱が光りました。普段は前方で聴く機会が多いためか、ここで指揮者をはさんでの歌唱だったのですが、見事に響いて、共鳴したふくよかな温かい歌が聴けました。

15分の短い休憩。公園のお店まで出て 肉まんで空腹補充。

ここで私の席の斜め前に ほぼ1列空いている列があったので、1階正面上手側ブロック最後列に移動。すると、男声が前半と比較にならないくらい聴こえてきました。

新年のための第4部。この曲をクリスマスに何度も聴いている 夙川の教会では、省略されることが多く 実演では久し振り! やっぱり印象的な曲は エコーのついたソプラノのアリア。合唱から1名がステージ袖近くで歌いました。オーボエも前半でお役御免になった オーボエ ダ カッチャの奏者が舞台裏で吹いた様。ただ、オーボエのエコーに比べて ソプラノのエコーは完全に舞台に隠れてではなかったため、エコーというよりppって感じに聴こえてしまったのが残念でした。
そしてもう1曲、2つのヴァイオリンとテノールのアリア。テノールのアリアというより、テノールと2つのヴァイオリンの協奏曲って感じでした。大西さんしなやかな音が格別でした。

第5部も新年後の曲。
バスのアリアでは決然とした歌唱にオーボエの積極的かつ豊かな表情との掛け合いが協奏曲っぽく仕上がっていたのが印象的。
そんな中、小さな演出で効果を挙げたのが 三重唱。またまた青木さんが歌うのですが、曲が始まるや オケと他のソリストを置いて 合唱の前まで下がり歌い始めました。それはソプラノとテノールの問いかけに答えるのがカウンターテノールだからなのですが、指揮をしないで下がってしまったのにはビックリです。もちろん、古楽のプロですから息はピッタリ、前に進みながら答えていった動きが 演奏会らしさがみられた今回の舞台で、効果てきめんでした!また、そこでの大西さんのソロヴァイオリンのやわらかい音の立ち上がりと安定した細かい音での表情づくりが素敵すぎました。

顕現節を歌う第6部
ソプラノのアリアが美しかったです。が、やはりそれを支えて輝かせていたのはオーボエのソロ。続くテノールのアリアでは 2本ともオーボエ ダモーレに持ちかえてのソロは 渋くかつ 感情豊かで素晴らしかったです。
最後のレチタティーボでソロの4人が語る部分での4人の響きが聴けましたが、声の質がまとまっており、四重唱が置かれていないのが 何とも残念って感じでした。

合唱団の定期演奏会でしたが、案の定、古楽オケとソリストの歌唱に大満足の公演になりました。
特にオーボエの三宮さんの活躍(主張)は凄すぎ!
前田さんの目立たないように彩りを加える優しさは感涙もの!
大西さんの温かな音色としなやかな音づくり。
安定した通奏低音は山縣さんと西沢さん。
ソリストも素直な澄んだ声が 良かったです。
唯一、福音史家を分けて欲しかったかな、ですが、それを言えば、指揮者とアルトも分けて!になりますね。そうすると青木さんの声が聴けなくなるから、前言撤回!

帰りに品川から京急に乗ったら、ちょうど日が沈んだあとの夕焼け。西に 雲ひとつない赤い空をバックに 富士山と丹沢山地、そして丹沢に同化した南アルプスのシルエットがくっきり。自然の美しさに目が奪われました🌇