体外受精・胚移植の集大成は胚移植、そして妊娠判定です。もちろん、色々な事情で結果が出ないこともあるし、そこにどんな原因があるのかも千差万別ではあるけれど、ともかく途中経過がどうあれ、最終的な結果が全てと言えば全て。

 

判定陰性なら可能性はないけど、陽性の数値が高かったから必ずうまくいくわけでもないし、数値が低くてもある程度あれば出産まで行くこともあります。

 

ということで、だいぶご無沙汰の更新ですが、今日からシリーズで数回に分けて、妊娠判定とβ-hCGの数値について、数値が低い時の予後、子宮外妊娠の診断について、そして妊娠判定に関する四方山話(よもやまばなし)等をお送りしてまいりたいと思います。

 

ところで。いきなり脱線しますが、移植後の日数の数え方について。医師や患者さんによって、妊娠週数で数える場合と、移植からの日数で数える場合があります。それからとっても不思議なことに、月経開始の場合は月経開始日を1日目とするのですが、排卵日からの日数とか、移植からの日数を数えるときは、排卵当日や移植当日はなぜか0日目として数えることが多いです。この場合、黄体ホルモン開始日を2週0日(2w0d)、移植日を2w5dと表現し、移植日がBT 0、月経予定日は4w0d (BT 9)ということになります。

 

妊娠判定の時期はクリニックによって大きく異なります。当院では、白黒ついた時期に判定しましょうという考え方から、標準の判定日を4w2d (BT 11)で行っています。この時期のβhCGの数値が5未満は陰性、5~20は判定保留、20以上を陽性としていますが、実質的には100くらいないと合格とは言えません。リプロダクションクリニック東京・大阪では、4w2dのβhCGの数値が5未満の方で出産まで至った方はおられませんが、5以上10未満の方でもあきらめずに黄体補充を行った結果無事に出産に至った方が複数おられるというのが上記判定の根拠です。

 

当然のことですが、3w5d (BT 7)の測定値よりも4w2d (BT 11)の測定値の方が数値は高いことになりますので、3w5dなら5未満でも妊娠継続した方はおられるでしょう。判定の数値は、その数値がいつ測定したものであるかが大切です。判定時にいくつ、というだけでなく、移植から何日目でどのくらい、ということまである程度加味して考えないといけません。

 

β-hCGの値は時期や個人差もありますが、ざっと、2日で2倍になり、指数関数的に上昇します。2倍になる時間が2日間である、ということを、doubling timeは2日間である、という風に表現することもあります。ということは、計算上は1日で√2 倍(ルート2倍、2の平方根)になります。√2とは、「2乗すると2になる数」という意味で、例えば√3は、2乗すると3になる数です。

 

√2 = 1.41421356 (ひとよひとよにひとみごろ/一夜一夜に人見頃)、√3 = 1.7320508 (人並みにおごれや)、√4 = 2、√5 = 2.2360679 (富士山麓オウム鳴く)、なんて習いましたね。√2 は、「いよいよ兄さん五郎さん」という覚え方もあります。雑談はさておき、β-hCGは、ざっと1日1.4倍、1週間で最低10倍にはなっていて欲しいところです。

 

では、数値が高い時、低い時は、どうしたらよいのでしょうか、ここからは次回のお楽しみです。続き早く読みたいよ、という方、ぜひ「いいね」をお願いいたします。