久しぶりの鉄道シリーズ。
先日、鶴見駅の近くの踏切で人身事故があり、京浜東北線が全線運休していました(どうでもいいですけど、東京は普通に人身事故と表現しますが、JR西は、「電車がお客様と接触」みたいなマイルドな表現しますね。関西の読者の方が違和感あるかも知れないので念のため)。
まあこれだけであればよく話なのですが、東海道線(上野東京ライン)が「一部区間運休」となっていて、横浜品川間が運休となっています。あれ、上野東京ラインが東京上野間で運転見合わせして宇都宮線・高崎線と東海道線が直通中止して全部上野で折り返し、というのがよくあるパターンなんだけど、横浜品川間が運休って、品川折り返しは何とかできそうな気もするが、横浜に折り返し設備なんてあったっけ。
と思っていたら、どうやら、東京から品川に向かった東海道線は、品川から横須賀線に転線して武蔵小杉経由で横浜に向かって、また東海道線に戻るということをしていたらしい。武蔵小杉は横須賀線、湘南新宿ライン、埼京・相鉄線しか通らないはずなんだけど、上野東京ラインまで混ざったのか。よく、ダイヤに余裕あったな。
というのは、横須賀線は閉塞区間が長いと言われているのです。「閉塞」というのは、長い線路を、一定区間ごとに区切った１区間のことなんですが、１つの区間(閉塞)の中には電車が1つしか存在してはいけないというルールで信号が作動しています。スゴロクで１マスにコマ１つしかいちゃいけない、みたいなイメージです。これだと、電車は理論的には絶対にぶつかることはないわけです。例えば中央線とか京浜東北線は10両編成(200m)なので閉塞間隔も短くていいのですが、横須賀線は15両編成もあって300mもあるほか、そもそも品川～横浜間の横須賀線って正式名称は東海道貨物線(通称品鶴線)であり、もともとは貨物線ですので、以前より減ったものの長い長い貨物列車もここを通るので閉塞間隔が長めに設定されています。そうすると、電車の間隔も必然的に広がるため、電車を詰めにくく、高頻度ダイヤを組みにくいんですよね。
横須賀線ってあんまり電車来ないイメージですが、ただでさえ横須賀線、湘南新宿ラインのほか最近は埼京・相鉄線も走るようになった品鶴線に、本来川崎経由の東海道線もバンバン通してしまおうというのだから、なかなかの荒業です。それでもJRだけで完結すればいいですが、それほど多く走ってはいないものの、埼京・相鉄線も走っていますから、他社線にもダイヤの乱れが波及する(鶴見で京浜東北線が人身事故だったのに海老名とか湘南台でダイヤ乱れるみたいな)ので、あんまり無茶しているとも思えません。何とか無理やりダイヤ組みなおして突貫で走らせたんでしょう。
地理関係よく分からない方はこちらを。
東海道貨物線は小田原まであるのですが、今年の５月に、東海道線上り列車が大船の手前で間違って貨物線に進入してしまったという事件がらいました。すぐ気づいて一時停止したので、バックできないこともなかったのですが、それをすると信号とか踏切とか何もかもがくるってしまうので安易にバックもできず、そのまま大船・戸塚・横浜・川崎には全て止まれず、とりあえず貨物線をそのまま走って止まることができる最も手前の駅が武蔵小杉だったので、武蔵小杉に止めて平謝り、みたいなことがありました。乗客は大迷惑だったでしょうけど、鉄な方々は歓喜だったでしょうねえ。ちなみに横須賀線は武蔵小杉を出たあと鶴見からは横須賀線専用の線路を走ります。一方東海道貨物線は、鶴見から先、羽沢横浜国大駅方面に向かいます。羽沢横浜国大は、なんでJRがあんな駅作ったんだと謎に思った方もおられるでしょうけれども、もともと貨物線上なので、あまりコストはかかっていないのです。
電車は、閉塞という基本をもとにATCとかATSといった自動列車制御装置でコントロールされていますので、意図的に警報を切るようなことがない限り、よほどの不注意であっても理論的には電車どうしがぶつかることはあり得ないとは言え、行先もバラバラだし、次どこ行きがくるんだとか、そういうのも指令が現場に情報おろさなきゃいけないし、結構大変ですよね。
もはや武蔵小杉は、日吉とか小竹向原もびっくりの(←分かる人にしか分からない表現ですが)カオスだったのではないかと思います。
こういう突貫ダイヤが得意なのは京急で、「逝っとけダイヤ」と言われています。運転士も知らないところで突然行先が変わるとか、突然運転打ち切って急に折り返しとか、さっきまで快特だったのに急に普通に変わったりとか、もうめっちゃくちゃのようです。よほど運転指令が優秀？なのでしょう。
JRは、とりあえず電車止めちゃって、落ち着いたらゆっくり回復させるのんびり屋さんであることが多いのですが、今回は珍しく柔軟な対応したなって感じです。
ということで、今日はこのあたりで。