東京都が、18歳から39歳までの女性を対象に卵子凍結にかかる費用の助成を開始します。

 

卵子凍結時に20万円、その後の更新費用に対して2万円×最大5年間助成するというものです。都道府県が卵子凍結の助成をすることには賛否もあることでしょう。時々こうした助成に対して出費だけに着目して、他に使うことがあるだろうみたいに言う方いますが、ちょっと近視眼的ではないかと思います。


東京都の目線からすれば、これだけのために引っ越す方は少ないにせよ、東京都のこうした姿勢に共感して東京都に移住する女性が増えたり、更新費用の助成目当てで5年間引き続き東京に住んでくれれば、住民税や消費税等が東京都に入ってきますし(消費税10%のうち7.8%が国、2.2%が地方の取り分です)。


1回限りだし年齢制限もあるので、皆さんが想像するより対象は少ないと思います。卵子の利用率の問題もありますから、この助成金事業単独で有効な少子化対策になるかと言えば、単独では残念ながらそこまでの効果はないでしょう。しかし東京都の打ち出すその他の少子化に対する東京都の取り組みと合わせて、東京都は少子化対策に真剣に取り組んでいますよという姿勢や魅力がアピールでき、東京都に住んでもいいかなという方がさらに増える可能性は十分あります。


実際、ヤフートップニュースにも載ったし、まんまとクリニックの公式ブログでも取り上げられたわけですよね(東京都の思う壺です。別にいいけど)。SNSでも話題になるだろうし、宣伝広告費だと考えれば安いもんです。その結果、東京都で結婚し、子育てまでしてくれれば、うまくすればかなりの黒字になる可能性すらあります。実際には、どのくらい収支になるのか何とも言えませんが、東京都としても、このくらいの計算はしているはずだと思うし、行政というものがそのくらい計算高くあって欲しいとも思います。


 

ところで、卵子凍結を希望する女性の大半はシングルであると考えられますが、将来のパートナーと出会うのは平均的には少し先ということになると思われます。パートナーと出会っても最初から卵子を使う方は少数派で、おそらく最初は自然妊娠を目指すことが多いと思います。こうした背景から凍結した卵子を実際に使う方の割合は必ずしも多くないと言われていますが、それでも卵子凍結が将来の妊娠に備える選択肢の1つであることは間違いありません。

 

様々な意見はあるでしょうが、現代においては様々な形のライフプランがあり、また各個人には様々な希望や事情があり、自治体もそうしたものに対応していく必要がありますので、東京都に限らず、こうした助成は今後も増えて来るのではないかと思います。


手続きや具体的な対象等に関する案内はこちらから

 

なお卵子凍結ではなく不妊治療に関しても東京都や各区が独自の助成を行っています。他の自治体とは税収が段違いに多いということもあるでしょうけれども、東京都、結構がんばっています。また港区・文京区は自費での不妊治療に対する助成が出ます。

 

東京都>不妊検査等助成(一般不妊検査・治療)

不妊検査等助成事業の概要 東京都福祉局 (tokyo.lg.jp)

 

東京都>不育症検査助成

不育症検査助成事業の概要 東京都福祉局 (tokyo.lg.jp)

 

東京都>保険診療の体外受精に付随する先進医療に関する助成

東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業の概要 東京都福祉局 

 

東京都港区、文京区は、自費での体外受精の助成金事業も引き続き行っています。

港区ホームページ/港区特定不妊治療費(先進医療、自由診療)助成金

文京区 不妊治療費(先進医療)の一部助成について【令和4年度から】