こんにちは、生殖心理カウンセラーの菅谷典恵です。
妊娠は努力だけではどうにもならない部分があることはなんとなくお感じのことと思います。頭の中ではわかってる、でも心の中で納得がいっているかというと、うーん、いろいろ複雑すぎてきれいごとではすまないですよね。人生は平等ではないし、決して美談ではないです。
治療をしながらも常にうまくいかなかったことを想定の範囲に入れている、たまに妙な心境になります。何のためにこんな大変な思いをして時間とお金を費やしているのか?
子どもが産まれてきてくれれば全部解決するかはわからないけれど、嘘のように気分が変わり、再来年の年賀状に子どもの写真を入れているかもしれない。障害のある子どもが産まれて苦労する自分も想像している気がする。子どもが産まれなかった自分も見える気がする。
もし、もし子供を持つ夢が叶わなかったら?この悲しい気持ちってずっと続くんだろうか?子どもを見かけるたびに、幸せそうな親子を見るたびに胸がちくっとするのだろうか?
答えは「No」だと思います。
もちろん悲しい気持ちをすっかり忘れてしまうことはなかなかないでしょう。しかし、私たちの気持ちは日々変化しています。今のままの気持ちがずーっと続くこともありません。
生きていれば色々なことに遭遇します。望んでいない事態に巻き込まれ苦しむこともあります。絶望してもう生きる気力が残っていないのではないかと打ちひしがれることもあります。しかし、私たちはまた生き続けられます。それは心も新陳代謝しているからです。昨日の悲しみと一週間後の悲しみは違います。絶えず変化し続けています。しかも、いつが最も悲しくていつが最も幸せなのかも、後になってみないとわかりません。
心には回復力があります。自然災害や愛する人やを失うなど、想像を絶するような悲しみに際したことがある方も少なくないと思います。その悲しみは心の中で生き続けていますが、形が流動的に変わり決して当時と同じではないですよね。
ああ治療がんばったな、一生懸命向き合った私はすてきだったなとか、何であんなに一生懸命続けられたんだろうとか色々と思い返すこともあるかもしれません。それも含めて自分の人生です。ご自分の人生は常に肯定してあげてください。考え抜いて選んだ道に誤りはありません。
諦める日が来たとしても、そういえば私は子どもがほしかったんだなと、と距離を置いて思える日が来ます。その時の自分には、今の自分が知らない経験もたくさん積み上がっていることでしょう。
と、ネガティブな思いに焦点を当ててみましたが、あまり先のことを心配せずにぜひ今できる精一杯のことをしてみてください。
同様の不安を抱えながら治療された方々がたくさん卒業されています。過剰に禁欲的になる必要もないと思います。
その時々のベストを選択していく、この連続ですよね。
妊活中もご自分の人生を楽しみを見つけていただき、いろいろ考えていきましょう。心の新陳代謝を活発にしてくれると思います。