コロナ禍で患者層が流動的になりがちですが、一時期減っていた第2子希望のご来院が最近また増えてきたように思います。こうした場合、どの程度のオプション検査をやり直したらよいか、迷うことになります。当院の標準的な着床関連オプション検査である、ビタミンD、銅亜鉛検査、耐糖能(HOMA-R)、甲状腺、慢性子宮内膜炎(BCE)検査、子宮収縮検査(エコー動画)、着床の窓(ERPeak)検査、不育症採血です。

 

食生活の変化等で体質が変化して数値が変動しやすいのが銅亜鉛検査と甲状腺で、値段も高くないので、これは第1子妊娠時に検査したかどうかにかかわらず、最初から再検査しておいたほうがよいでしょう(当院の場合、甲状腺TSHは、第2子治療再開基本採血セットに入っています)。

 

慢性子宮内膜炎は1子の時に陽性で治療して陰性化した場合と、第1子の時に未検査あるいは最初から陰性の場合の場合とありますが、前者の場合は最初から再検査しておくのがお勧め、後者の場合は、残りの胚の数に余裕があれば1~2回移植して陰性続きなら検査するくらいで大丈夫ですが、流産や出産を契機にした陽性化が時々ありますので、残りの胚の数が少ない場合は相談です。妊娠中や産後に子宮内感染を起こした可能性がある場合は最初から検査しておいたほうが安心です。

 

ERPeak検査は、出産を契機にずれる可能性が少しだけあるため、残りの胚の数に余裕があれば1~2回移植して陰性続きなら検査するくらいで大丈夫ですが、残りの胚の数が少ない場合は相談です。ただし、産後にずれる「ことがある」というだけで、ずれる「ことが多い」というわけではないので、経済的あるいは日程的な制約がある場合は無理をする必要まではありません。

 

耐糖能、第1子の時に異常値だった場合と、妊娠糖尿病になってしまった場合は調べておいた方がよいです。子宮収縮検査は第1子の時と基本的には同じ方針で大丈夫です。

 

不育症採血は、流産歴がなく第1子の時も検査していないなら、とりあえずは考えなくてよいですが、第1子の時に不育症採血をして異常値があった、あるいは不育症治療を実際行ったという場合は、不育症採血の再検が考慮されます。以前に異常値が出た部分だけ検査することもできます。ただし、結局のところ、多くの場合はヘパリン自己注射するかどうかというだけなので、第1子時にヘパリン自己注射をしていたので第2子の時の不育症検査の結果にかかわらずどのみちヘパリン自己注射はするつもりだ、という場合はすでに方針が決まっているので無理に再検査しなくても大丈夫です(妊娠後にも再検はあります)。様々な考え方ができるので、個別にご相談となります。

 

子宮鏡は、当院の場合は1年程度たっていれば原則として移植周期にこちらで再検計画を立てますので、第2子治療再開の際の最初の移植周期で検査しますが、移植周期に入る前に事前に実施しておきたい方は、その旨を医師にご相談ください。

 

 

採卵、ERPeak検査、BCE検査、エコー動画検査、子宮鏡検査で同一周期(同じ日とは限らない)に実施可能なのは以下の組み合わせです。

 

採卵周期:BCE、エコー動画、子宮鏡

ERPeak検査周期:BCE、エコー動画、子宮鏡

採卵とERPeak検査は同一周期には実施不可

 

個別の様々な状況で上記の方針通りになるとは限りませんが、目安として参考にしていただければと思います。