リプロダクションクリニックには、毎日たくさんの出産報告が届きます。

 

卒業時にお渡しするお葉書、紹介先からの出産報告、胚凍結更新の時に書類と一緒にお手紙を同封していただくこともあるし、メールをいただくこともあります。

 

そうした報告を読んでは、カルテを見返したりデータ入力したりします。初診して1回目の治療で妊娠して風のように卒業されていった、いい意味でほとんど印象がない方もおられるし(それはそれでとってもいいこと)、それはもう本当に苦労されてやっと卒業を迎え、大丈夫かな、心配です、なんて言われて、大丈夫ですよ、私も無事のご出産祈ってます、なんて励まして送り出した方から出産報告が来たりすれば本当にうれしくなります。私たちも意外と患者さんのことを覚えているもので、顔とかしぐさ、治療風景が走馬灯のようによみがえります。そして、あんなに苦労して、外来で泣いてばかりいたのに、今はもうママなんだ、、、どんな顔して赤ちゃん抱っこしてるのかな、と思うと目頭が熱くなります。

 

筆者が産科医として働いている姿は想像できないことと思いますが、筆者も若かりし頃(注:気持ちは今も若い)、産科と不妊外来を併設している病院で勤務していた頃は、自分で治療した赤ちゃんを自分で取り上げたりとか、タイミング合わなくてお産に立ち会えなくても産科病棟回診で抱っこさせてもらって写真撮ったりとかしたものです。掛け持ち可能なほどに治療件数が少なく、また時代も地域も違いますので今はそういうことは難しいことは分かっているのですが、ふと昔を懐かしむこともあります。

 

熱い思いで日々の診療に取り組んでいた頃の初心を忘れず、科学的統計的にみて医学的妥当性の高い、最新かつ質の高い医療を1人1人に合わせて柔軟に提供できるように、そして自分だけではなくそれをチームとしてしっかり実践できるように、1日1日大切に過ごしていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。