みなさん、こんばんは。

第①回は出血の種類について、第②回は、採卵周期中の出血についてお話ししてきました。今回は、採卵周期開始についてお話しします。

 

通常は、採卵周期開始は月経3日目くらいから開始することが多いのですが、これはどうしてでしょうか。

月経3日目ごろのホルモン値のことを「基礎値」と言うなど、婦人科分野では月経3日目が1つのベースになっています。月経中のLH、FSH、E2、P4の値がいわゆるホルモンバランスのベースとなっているのは、月経1日目だと、その出血が不正出血か月経の始まりなのか分かりにくいことや、月経1日目だと、まだE2やP4が下がりきらないことがよくあること、逆に、5日目くらいになると早い方だと卵胞が育ち始まってしまうことなどが理由となっています。

 

では、採卵周期の開始は月経何日目に行かなければならないのでしょうか、3日目が一番よいのでしょうか。自然周期は3日目から観察スタートとなり、低刺激も同様がよいと思われますが、刺激周期の場合は別です。

 

2012年ごろから徐々に、「ランダムスタート法」が広まり始め、月経の3日目からでも、6日目からでも10日目からでも14日目からでも、なんなら排卵後である21日目でも月経直前の28日目でも、いつから排卵誘発を開始しても卵子の質は全く変わらないということが知られています。つまり、月経の出血と卵子・卵胞発育は全く独立したものであり、採卵周期中に出血することは、まだ卵胞発育していない1つの症状とはなりますが、それ以上のものではありません。

 

新鮮胚移植をするのでなければ、採卵周期中の出血については、何も気にする必要はないのです。当院にもよく「採卵周期中だが出血したが問題はないのでしょうか」というお電話をいただくこともあるのですが、質問に答える私たち医師は、ほとんどの場合、「様子を見てください」と返事をすることになります。診察時に一応ご報告はいただければと思いますが、あわてたりする必要はありません。

 

さて、以上3回にわたって、採卵周期中の出血について特集してきました。

 

このブログはあくまでも公式ブログとしての立場を貫き、専門的な内容の論文紹介などは行いませんが、通院中の皆さんどなたも知って置いて頂きたいこと内容について、簡単すぎず難しすぎず、かゆいところに手が届く内容、をモットーに今後も特集していきたいと思います。

 

皆さんの理解が深まることで、私たちがより充実した説明を提供できることが目的ですので、こういうことを教えてほしいというリクエストがあれば、コメントもしくはメッセージでぜひお寄せ下さい。

 

それでは、次回をお楽しみに!

リプロダクションクリニック東京