久しぶりにブログ書きます。
こないだ面白いな~と思った漫画があるので、それの話を。
これです。
『魔法使いの嫁①』ヤマザキコレ
異形のものを見聞きする能力があり、人から疎まれて生きてきた少女チセは、身寄りをなくし、ついには競売にかけられてしまう。
そんな彼女の「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」としての素質に目をつけ、競り落としたのが、骨頭の魔法使いエリアス。
今となっては珍しい「本物の魔法使い」エリアスに弟子として、そして花嫁としてヒトならざるものの世界に招き入れられたことで、チセの中で止まっていた時が動きだす…
という感じの話です。
これ、ネットとかにもすごい広告が出ていて、こないだここのブログ見てたらその時にも下にこの本の画像が出てきてびっくりしたんですけど、イメージとしてそういうところに出てる広告って失礼ですけど大抵しょうもないじゃないですか。
エロ広告とか。
で、この本の煽り方も、「異形の魔法使いに突然嫁にされてしまった」っていうところをバーンと強調してるんですけど、なんというか、あまり内容にそぐわないような…
もしくは、やっとそういうネット広告が正しく使われ始めたんだと言えるのかも知れません。
目指せエロ広告撲滅。
そういうわけで、この本を読み終わっての感想が、思った以上にクラシックで安定感のある、しっとりした作品だなということでした。
あとがきで著者が海外の児童文学っぽい話が描きたかったと言っているんですが、まさしくそんな感じです。
すごく雰囲気がある。
舞台はイギリス。
英国(ブリテン)、あるいはイングランドと表記されるその地では、魔女や魔法使いが生活に根付いており、町では魔女が工房を開いていたり、家には家付き妖精がいたり、風の妖精は可愛いけど邪悪な面を持っていたり…
また、「空気の精(エアリエル)」、「新婚旅行(ハニームーン)」、「魔法機構(マギウス・クラフト)」、「石切蜂(ジェムズ・ビー)」とか、なんだかお洒落な二つ名みたいなのがたくさん出てくるのもいいですね。
こういう雰囲気が好きな人はとりあえず買いだと思います。
話としては、「本格異類婚姻幻想譚」という触れ込みですが、1巻の段階ではどちらかと言うと異世界に迷い込んで、そこの住人との交流で自己を回復していくハイ・ファンタジーの色合いが濃いめです。
嫁とは言っても、イベントとしては弟子扱いの方が強いですね。
断片的にしか明かされていませんが、明らかに迫害を受けてきたであろうチセが、魔法使いたちの世界で受け入れられていくのを見るとほっこりします。
さらにこの作品の中で心地いいと感じるのが、そういう環境に取り込まれてもなおチセの中で後ろ向きな意識というか、沈みたがる気質というか、そういうものが保たれているところ。
急に前向きになるのではなくて、積極的に反抗するのでもなくて、どことなく負の方向に惹かれるような憂鬱な性質を持ちつつ異世界ライフにゆっくり適応しようとしていくところが、いいなーって思いました。
今後の展開としては、異界で様々な体験をする中でチセがどういう自我を目覚めさせていくのかということと、エリアスの正体・真意が気になりますね。
異世界ライフにおいてチセの拠り所となっている骨頭の魔法使いエリアスですが、どうも完全な善の存在ではないような仄めかしがあったり、正体もいまいち掴めなかったりで、もしかしたらチセと対立する可能性もあるのでは…と考えるとドキドキします。
世界観がしっかりしているのでどう転んでもそれなりに楽しめそうではありますが、大化けするかどうかは終り方次第かなという感じです。
ちょっと大人しいかなと思う部分もありますが、最初期のブレイドの、「賢者の長き不在」とか「R2」とか「その向こうの向こう側」とかやってた頃の雰囲気っぽくて、個人的にはかなり好きです。
相手が明らかに異類って分かっている異類婚姻譚の楽しさって、本質的な交流不可能性の中に奇跡的に見出される可能性にあると思います。
本来は交わらない世界の存在だったもの同士が奇跡のように心を通わせ、恋愛を通じて――この場合の恋愛というのは一つの話の型で、相手の人格を認めて受け入れるということの表現だと考えるのですが、それによって新たな価値観の世界に引っ張り上げられるというのは、本当に素敵だな~と、わくわくします。
このまほよめも続刊が楽しみです。
それでは。
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