文学フリマへの道! -23ページ目

文学フリマへの道!

ここでは同人誌作成までの日々と、各メンバーの好きなことを記事にしていこうと考えています(´・ω・`)
文学だとかマンガだとかアニメだとかゲームだとか音楽だとか

最近漫然と残り時間を消費している淡夏(仮名)です。
まあ、これはこれでありなのではと開きなおってみれば、陰キャラライフもなかなか楽しいものですね。

さて、今回紹介するのは紅玉いづきさんの『サエズリ図書館のワルツさん』。
『青春離婚』に続き紅玉さんの小説紹介は二作目です。にわかってやつですね、はい。
では、以下ネタバレ感想。


“「だって、みんな、本を愛していらっしゃるのでしょう?」”

戦争が起こり、紙の本が貴重なものになってしまった未来。
そんな時代にも、たくさんの人に本を届けるサエズリ図書館で繰り広げられる、司書のワルツさんと本を求めた様々な人々のお話。

第一話は、仕事がうまくいかず、何となく色んなことに嫌気ささしていたカミオさんの話。

第二話は、教師として、一児の親としてうまく娘と接することのできないコトウさんの話。

第三話は、本好きの祖父が残した本を求めてやってきた、本なんて大嫌いなモリヤさんの話。

そして第四話は、盗まれた本を取り戻す中、亡くなった父との思い出を回想するワルツさんの話。

どれもこれも、素朴で、ほんのりと温かいお話となっております。
合う人には合うと思います。


ただ、戦前やその後の社会情勢などの情報は断片的にしか紹介されず、本自体の価値がどのようになってるのかを捉えにくい。
読む前は「活字離れが加速したのかな」と思っていたら、そもそも紙を大量に生産されるほどの余裕が国にないという状況。
くどい解説を入れると作品の空気が壊れてしまうので、無理に戦前などの設定を作る必要はなかったのかも。

けれど、全くの無駄かというとそうではないと思う。
紅玉さんもあとがきで触れているけれど、ここでの“戦争”は“3.11”のイメージで、本が作れないというのはあの頃の出版業界にあった危機感と通ずるものがあるのだろうし。

災害や戦争が起こると、確かに本どころじゃなくなる。
本などの娯楽は、物質的な面が充足しなければ愉しむ余裕はなくなるだろうし。

それでも本はあった方が良いと思うんですけどね。
本や、その物語や登場人物に救われる人はいるのだし。
空想だって、充分人生の栄養になると思うんですよね。
読書体験だって、立派な経験。
ただの暇つぶしだとは絶対に思いませんね。

――閑話休題。

そのような話とは方向性が違いますが、『サエズリ図書館』は“本”への愛で溢れています。
内容だけが全てではなく、その紙に触れていた人々の記録や歴史をひっくるめて“本”と呼ぶことができるのではないでしょうか。
それが、同作のテーマだと思います。

本を読む時、ただ中の情報をインプットするだけではなく、その時に感じていた気持ちや思い出も大切にできると、きっと読書も、幸せな体験へと変わって行きます。

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最近現実逃避ばかりで何もできていない淡夏(仮名)です。
現実逃避の一環に、久々に作品紹介でも。


今回取り上げるのは『Fate/stay night』で有名なゲーム会社“TYPE-MOON”のゲーム『魔法使いの夜』
ちなみに勘違いされやすいのですが、これに関してはもはや18禁ではないばかりかギャルゲーと呼べるかすら怪しい代物になっております
そこのところを勘違いして、くれぐれも「どうせエロゲww」なんて的外れも良いところな偏見を持たないように。
※以下信者の独り語り注意。


“坂の上のお屋敷には、二人の魔女が住んでいる―――”


唐突に言うと、蒼崎青子は魔法使い見習いである。
その修行のため、青子は「魔女」と呼ばれる久遠時有珠の屋敷に暮らしながら魔術を学んでいる。

日常生活で青子は高校にも通っており、その勝気で気丈な性格のためか生徒会長もこなしている。
そんな青子のもとに一人の転校生がやってくる。

彼の名は静希草十郎。
草十郎は電気も通らない山からやってきており、魔術という異端の世界に身を置く青子達でさえも驚愕するほどの世間知らずであった。

そんな草十郎を面倒に思いながらもお節介を焼く青子だが、ある日青子は過ちを犯す。
草十郎に魔術行使の現場を目撃されてしまったのだ。

魔術師のルールでは、魔術の存在は秘匿されなければならない。
もし、何かの手違いで魔術の存在が一般人に露見してしまったのならば、その時は目撃者を殺してでも神秘を守らなければいけないのだ。

あまり気乗りすることではないのだが、青子は草十郎を殺すための行動に出るのだが……。


というのがおおまかな粗筋で、まあ色々あって青子、有珠、草十郎の三人は共同生活を始めることになります。
そうして物語中盤までは、三人の不思議で慎ましやかな日常が描かれるわけですが。

もうね、この日常が愛おしくて堪らない。

日常とは言っても、いわゆる“空気系”のようなゆるふわ萌えギャグが続くものではありません。
子供ではないけれど、大人でもない。
本当は気持ちのままに生きたいがために、がんじがらめの中で不器用にもがく少年少女の生活。
『魔法使いの夜』で描かれるのは、そんな誰もが体験する日常の尊さだと思います。

そりゃあ、魔術だの殺しだのと物騒な単語が飛び交う非日常的な世界観だけれど、だからこそありきたりなものの中に本当の幸せがある。
このテーマ自体は、ライターである奈須きのこの他の作品(『月姫』、『空の境界』、『Fate/stay night』)の中でも散々繰り返されてきましたが、『魔法使いの夜』が一番ストレートにそれを描けている気がします。

愛が溢れ過ぎてうまく紹介できません(汗)が、上記を読んで興味を持たれた方は、是非一度プレイしてみてください。
選択肢もないビジュアルノベルなので、割と気楽にプレイできると思います。
そして、これが本当にノベルゲーなのかと驚くほどの演出を楽しんでみてください。
巷では駄作のように言われることのある作品ですが、決してそんなことはないと断言できます

とびっきり爽やかな読了感をお約束しますよ。


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Mです。
今回は、村上隆『創造力なき日本』について。
アートをビジネスと考える現代美術アーティスト、村上隆氏による新書なのですが、これは完全にビジネス書でしたひらめき電球

村上隆といえば、その作風が日本のオタク・カルチャーを取り入れたもので、海外で高い評価を受けているのですが、「パクり」だとか「いいとこどり」などと批判されることも多いようです。
Twitterでも批判されているツイートを自らが公式にリツイートしたり、なかなか癖のあるオジサンです。(゚Д゚)

しかし、その実績は2003年のルイ・ヴィトンとのコラボレーションや、2010年のフランスはヴェルサイユ宮殿での個展と2012年のカタールはドーハでの個展、歌手のゆずやアメリカのカニエ・ウェストのジャケットデザインなど、世界的に活躍されてます。

そんな村上隆氏ですが、若手アーティストの育成も積極的に行っているといいます。
GEISAIというアートイベントを主催したり、カイカイキキという会社を設立し、アーティストのマネジメント、ギャラリー、ショップを運営したりしているとか。


そのなかで村上隆氏が考える「仕事」というものについて書かれたのがこの『想像力なき日本』でした。
読むまで僕は、アイデアの発想法だとかセンスの磨き方とかについて書いているのかと思っていたのですが、
中身はまぁその真逆でした…あせる

おもしろかったのは、彼は運営している会社カイカイキキに新しく入ったスタッフにまず『アーティストは、社会のヒエラルキーの中では最下層に位置する存在である。その自覚がなければ、この世界ではやっていけない』と言うそうです。
そして、ペインティングのレッスンの前に挨拶のレッスンを行うそうです。「挨拶も満足にできない人間は組織の中で生き残っていくことも、アートの世界で生き残っていくことも絶対に出来ません。」だとか…

その他にもさまざまな経験に基づく「仕事」への考えが本書では書かれていました。
読んでみて、華やかだと想像していたアートの世界が実にビジネス的なんだなという風に感じられました。
(もちろん、アート=ビジネスととらえる筆者が執筆したものだからなのですが…)

でも、ここに書かれていたことは人として至極当たり前なこととも思われます。
組織の在り方人との付き合い方などについて考える人にはお勧めの1冊です。



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