少年少女ファーブル昆虫記 (1)/ファーブル

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【著者】ジャン・アンリ・ファーブル
【対象年齢】全年齢

ファーブル昆虫記特集第一弾はフンコロガシの話です。
フンコロガシの研究は、ファーブルの研究の中でも有名なものの一つです。
ファーブルの科学に対する向き合い方がよく現われています。

以下は読書のポイント。

【ファーブルという研究者】
自然科学の研究者には大きく分けて二つのタイプがいます。
まず大胆な仮説を立て、実験による検証でその証拠を固めていく研究者と
実験や観察で積み上げたデータをもとに学説を唱える研究者です。
アインシュタインのような研究者は前者に分類できるでしょう。
ファーブルは後者のタイプです。
どちらのタイプが優れているということはありません。
いろいろなタイプの研究者がいるからこそ
間違いがあった場合にそれを正すことができるのです。

【ファーブルとダーウィン】
ファーブルとダーウィンは友人であり、手紙のやり取りで研究についての意見交換をしていました。
友人とはいえそこは科学者同士、意見の相違についてははっきり物を言います。
ファーブルは生物の進化についてダーウィンとはやや異なる考えをもっており、
昆虫記にもたびたびその話が出てきます。

【進化論ブーム】
ファーブルが昆虫記を執筆していた当時は、ダーウィンの進化論が大ブームとなっていました。
進化論は生物学を大きく進歩させましたが、その一方でブームに便乗した怪しげな学説も多かったのです。
悪名高き優生学も、こうしたブームの中から生まれてしまいました。
ファーブルはこうした怪しげな学説には懐疑的な立場をとることが多かったようです。

【フンコロガシと用不用説】
進化論ブームが生んだ学説の一つに「用不用説」というものがあります。
これは「よく使う器官は発達し、使わない器官は退化する」というものです。
ライオンが鋭い爪と牙を持っていたり、馬が長い足を持っていたりすることを考えると
正しいように思えます。しかし、ファーブルはこの説には異を唱えました。
ヒジリオオフンコロガシ(スカラベ)の成虫は、
前足の先端部分(ふ節)が生まれつき欠けています。
フンコロガシは足を使って動物のフンを球にするので、
用不用説によれば、これは発達の結果ということになります。
ところが先端部分が欠けているのは前足だけで、中足や後足にはふ節は残っているのです。
用不用説が正しいなら、中足や後足のふ節も欠けるはずではないのか
というのがファーブルの主張です。
その後、他の研究者による検証実験も行われ、現在では用不用説は誤りであったとされています。