芥川龍之介全集〈5〉 (ちくま文庫)
【著者】芥川龍之介
【対象年齢】中学生・高校生
芥川龍之介は「仙人」という同じ題の短編小説を2作書いてます。
片方は日本が舞台の寓話的な物語で、もう片方は中国が舞台です。
今回取りあげるのは中国が舞台になっている方の「仙人」です。
有名な「羅生門」と対照的な話なので読み比べても面白いでしょう。
以下は読書のポイント
【あらすじ】
北支那に、見世物師の李小二という男がいました。
李はネズミの曲芸を見せてお金を稼いでいましたが、
日々の生活は貧しいものでした。
ある日、李は雨に降られて道端にある廟(死者の霊祭った建物)に入ります。
そこには、みすぼらしい老人が既に雨宿りをしていました。
老人ととりとめもない話をする李でしたが、汚い身なりの老人を前にして
優越感を抱くと同時に、後ろめたさも抱き始めます。
そこで、李は自分の生活の苦しさをやや大げさに話しました。
ところがそれを聞いた老人は、李の同情を見透かして笑い、
自分が李の生活苦を助けてやろうと言って、仙人の術でお金を出してみせるのでした。
【相対的な幸せ】
物語前半では、李の貧しい生活の辛さが書かれています。
ただ貧しいだけでなく、李自身の体のおとろえもあり、暗い未来を予想させるのですが、
それにもかかわらず、李は自分よりもみすぼらしい老人に対して優越感を抱くのです。
老人は老人で、仙人となって人生の苦しみから解放されたものの、
人間の生活が懐かしくなり、わざと貧しい生活をしていました。
物語は老人が残した次の言葉で結ばれています。
人生に苦あり、以って楽しむべし。人間死するあり、以って生くるを知る。
死苦共に脱して甚、無聊なり。仙人は若かず、凡人の死苦あるに。
貧しい者はより貧しい者を見て、自分のほうが多少は幸せなのだと思い、
一方苦しみとは無縁な者は、自ら苦しみを味わうことで幸せを感じようとする。
ちょっと皮肉な構図ですね。
「勝ち組」「負け組」などという言葉がここ何年か流行りましたが、
それはつまり、自分の生活に幸せを見出せる人がそれだけ少なくなったからなのでしょう。
【著者】芥川龍之介
【対象年齢】中学生・高校生
芥川龍之介は「仙人」という同じ題の短編小説を2作書いてます。
片方は日本が舞台の寓話的な物語で、もう片方は中国が舞台です。
今回取りあげるのは中国が舞台になっている方の「仙人」です。
有名な「羅生門」と対照的な話なので読み比べても面白いでしょう。
以下は読書のポイント
【あらすじ】
北支那に、見世物師の李小二という男がいました。
李はネズミの曲芸を見せてお金を稼いでいましたが、
日々の生活は貧しいものでした。
ある日、李は雨に降られて道端にある廟(死者の霊祭った建物)に入ります。
そこには、みすぼらしい老人が既に雨宿りをしていました。
老人ととりとめもない話をする李でしたが、汚い身なりの老人を前にして
優越感を抱くと同時に、後ろめたさも抱き始めます。
そこで、李は自分の生活の苦しさをやや大げさに話しました。
ところがそれを聞いた老人は、李の同情を見透かして笑い、
自分が李の生活苦を助けてやろうと言って、仙人の術でお金を出してみせるのでした。
【相対的な幸せ】
物語前半では、李の貧しい生活の辛さが書かれています。
ただ貧しいだけでなく、李自身の体のおとろえもあり、暗い未来を予想させるのですが、
それにもかかわらず、李は自分よりもみすぼらしい老人に対して優越感を抱くのです。
老人は老人で、仙人となって人生の苦しみから解放されたものの、
人間の生活が懐かしくなり、わざと貧しい生活をしていました。
物語は老人が残した次の言葉で結ばれています。
人生に苦あり、以って楽しむべし。人間死するあり、以って生くるを知る。
死苦共に脱して甚、無聊なり。仙人は若かず、凡人の死苦あるに。
貧しい者はより貧しい者を見て、自分のほうが多少は幸せなのだと思い、
一方苦しみとは無縁な者は、自ら苦しみを味わうことで幸せを感じようとする。
ちょっと皮肉な構図ですね。
「勝ち組」「負け組」などという言葉がここ何年か流行りましたが、
それはつまり、自分の生活に幸せを見出せる人がそれだけ少なくなったからなのでしょう。