カイロ団長 洞熊学校を卒業した三人 (ますむら版宮沢賢治童話集)/ますむら ひろし

¥1,260
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【著者】宮沢賢治
【対象年齢】全年齢
前回に引き続き宮沢賢治の作品を紹介します。
今回の内容もまた現代社会に通じるお話です。
洞熊の先生が社会で生きるための知識を教えた三人の生徒が
その後どのような人生をたどるかという内容です。
以下は読書のポイント
【宮沢賢治先生のよくわかる経済学・その一】
まず一人目は赤い手長の蜘蛛です。
学校を卒業したばかりのころは、吐ける糸も少なく、
二銭銅貨くらいの大きさの巣しかつくれない蜘蛛でしたが、
あるときは強引に蚊を捕まえ、あるときはめくらのかげろうをだまして食らい、
だんだんと大きくなっていきます。
やがてメスの蜘蛛と夫婦になり、子供もたくさん生まれて
蜘蛛の人生は充実したかに見えました。
しかしかつての同級生にふとした事で馬鹿にされ、
大きくなって見返してやろうとあちらこちらに巣を作るようになります。
巣にはたくさん獲物がかかりましたが、やがてそれらは腐り、
ついには蜘蛛とその家族も一緒に腐って雨に流れてしまったのでした。
人間に例えれば実業家でしょうか。
その末路は多角経営の失敗か過剰な設備投資による破綻といったところでしょうか。
宮沢賢治の生きた時代は世界大恐慌の起きる少し前だったので、
景気が悪化していました。
不況による倒産も、珍しくは無かったのでしょう。
宮沢賢治は社会の縮図をこのような形で書いているのです。
現在でも世界中で似たようなことが起こっています。
「賢者や歴史に学び、愚者は己の経験に学ぶ」という言葉がありますが、
蜘蛛のように大きくなることしか頭に無かった人々は、
予想されていた破滅を回避できなかったようです。
【宮沢賢治先生のよくわかる経済学・その二】
二人目銀色のなめくじです。
彼のもとには弱った虫たちが訪れます。
なめくじは親切に水や食べ物を与えるのですが、
その後で相撲と称して相手を投げ飛ばし、殺して食べてしまいます。
またあるときはヘビにかまれたトカゲがやってきます。
なめくじはこれも手当てと称して食べてしまい、どんどん大きくなります。
あるときカエルがやってきて、なめくじに相撲を取ろうと誘います。
なめくじはカエルを食ってやろうと快く応じるのですが、
カエルのまいた塩によって溶けてしまうのでした。
最初相手を援助すると見せて、最終的に自分の利益をきっちりいただくなめくじですが、
まるで銀行の貸し剥がしのようです。
やはりこういった構図は今も昔も変わらないのでしょうか。
そうしてみるとカエルがまいた塩は何に相当するのでしょう?
【宮沢賢治先生のよくわかる宗教学】
三人目は顔を洗わない狸です。
彼は山猫大明神様を崇拝し、日々念仏を唱えています。
彼のもとには、ウサギや狼が入信してくるのですが、
狸はなまねこなまねこと念仏を唱えながら、山猫様の思し召しとして
彼らの体をかじっていき、ついには丸ごと食べてしまいます。
しかし、狼の持ってきたもみまで丸呑みした狸は、
胃の中で伸びた稲によって最期には破裂してしまうのでした。
児童文学は星の数ほどありますが、
カルトの危険性をここまでストレートに書いた作品は私の知るかぎりでは2つです。
一つはこの作品で、もう一つはナルニア国物語の最終巻です。
子供向け作品だからといって、内容は子供だましではなく真摯な批判精神が貫かれているのは、
宮沢賢治が教育者でもあったからでしょうか。
ちなみに、この作品は、最初「蜘蛛となめくじと狸」という題で発表されましたが
その後、三人が学校に通う話が追加されて、「洞熊学校を卒業した三人」となりました。
宮沢賢治は社会問題の原点を教育に見たのかもしれません。

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【著者】宮沢賢治
【対象年齢】全年齢
前回に引き続き宮沢賢治の作品を紹介します。
今回の内容もまた現代社会に通じるお話です。
洞熊の先生が社会で生きるための知識を教えた三人の生徒が
その後どのような人生をたどるかという内容です。
以下は読書のポイント
【宮沢賢治先生のよくわかる経済学・その一】
まず一人目は赤い手長の蜘蛛です。
学校を卒業したばかりのころは、吐ける糸も少なく、
二銭銅貨くらいの大きさの巣しかつくれない蜘蛛でしたが、
あるときは強引に蚊を捕まえ、あるときはめくらのかげろうをだまして食らい、
だんだんと大きくなっていきます。
やがてメスの蜘蛛と夫婦になり、子供もたくさん生まれて
蜘蛛の人生は充実したかに見えました。
しかしかつての同級生にふとした事で馬鹿にされ、
大きくなって見返してやろうとあちらこちらに巣を作るようになります。
巣にはたくさん獲物がかかりましたが、やがてそれらは腐り、
ついには蜘蛛とその家族も一緒に腐って雨に流れてしまったのでした。
人間に例えれば実業家でしょうか。
その末路は多角経営の失敗か過剰な設備投資による破綻といったところでしょうか。
宮沢賢治の生きた時代は世界大恐慌の起きる少し前だったので、
景気が悪化していました。
不況による倒産も、珍しくは無かったのでしょう。
宮沢賢治は社会の縮図をこのような形で書いているのです。
現在でも世界中で似たようなことが起こっています。
「賢者や歴史に学び、愚者は己の経験に学ぶ」という言葉がありますが、
蜘蛛のように大きくなることしか頭に無かった人々は、
予想されていた破滅を回避できなかったようです。
【宮沢賢治先生のよくわかる経済学・その二】
二人目銀色のなめくじです。
彼のもとには弱った虫たちが訪れます。
なめくじは親切に水や食べ物を与えるのですが、
その後で相撲と称して相手を投げ飛ばし、殺して食べてしまいます。
またあるときはヘビにかまれたトカゲがやってきます。
なめくじはこれも手当てと称して食べてしまい、どんどん大きくなります。
あるときカエルがやってきて、なめくじに相撲を取ろうと誘います。
なめくじはカエルを食ってやろうと快く応じるのですが、
カエルのまいた塩によって溶けてしまうのでした。
最初相手を援助すると見せて、最終的に自分の利益をきっちりいただくなめくじですが、
まるで銀行の貸し剥がしのようです。
やはりこういった構図は今も昔も変わらないのでしょうか。
そうしてみるとカエルがまいた塩は何に相当するのでしょう?
【宮沢賢治先生のよくわかる宗教学】
三人目は顔を洗わない狸です。
彼は山猫大明神様を崇拝し、日々念仏を唱えています。
彼のもとには、ウサギや狼が入信してくるのですが、
狸はなまねこなまねこと念仏を唱えながら、山猫様の思し召しとして
彼らの体をかじっていき、ついには丸ごと食べてしまいます。
しかし、狼の持ってきたもみまで丸呑みした狸は、
胃の中で伸びた稲によって最期には破裂してしまうのでした。
児童文学は星の数ほどありますが、
カルトの危険性をここまでストレートに書いた作品は私の知るかぎりでは2つです。
一つはこの作品で、もう一つはナルニア国物語の最終巻です。
子供向け作品だからといって、内容は子供だましではなく真摯な批判精神が貫かれているのは、
宮沢賢治が教育者でもあったからでしょうか。
ちなみに、この作品は、最初「蜘蛛となめくじと狸」という題で発表されましたが
その後、三人が学校に通う話が追加されて、「洞熊学校を卒業した三人」となりました。
宮沢賢治は社会問題の原点を教育に見たのかもしれません。