ツエねずみ (宮沢賢治どうわえほん)/宮沢 賢治

¥1,680
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【著者】宮沢賢治
【対象年齢】全年齢
今回は、日本の代表的な童話作家である宮沢賢治の作品です。
世間一般では、ヒューマニズムやエコロジーといった観点から評価されている宮沢賢治ですが、
その作品を見ると、実は鋭い社会風刺を含んだものがいくつもあります。
ファンタジーという物語の形式は、普通に書けば生々しくなってしまうような
風刺やブラックユーモアでも、読者を楽しませる物語に変えることができます。
この「ツェねずみ」も例外ではありません。
以下は読書のポイント
【逆恨みと賠償請求】
物語の主人公は「ツェ」という名のねずみです。
このねずみ、何か嫌な事が起こるとそれを誰かのせいにして、
ひたすらに謝罪と賠償を請求しています。
おっと間違えました。ツェねずみは謝罪なんか一切受け取りません。
ただひたすら「まどうてください(つぐなってください)」のくり返しです。
なんともリアルな話です。
子供の失敗やごく小さな問題の場合、謝ることで丸くおさまることが多いですが、
社会人になって大きなトラブルに直面すると
謝罪=賠償の約束 といった位置付けになってしまうこともあります。
しかも、ツェねずみは相手に非がない場合でも無理やりこじつけて
ひたすら「まどうてください」をくり返すのです。
悪質なクレーマーという言葉がぴったりです。
【壊れていく交友関係】
そんなわけで、ツェねずみとつき合った動物は次々に彼から離れていきます。
友人のいなくなったツェねずみは、今度は柱やバケツ、ちりとりといった物たちとつき合いますが
ここでもまた同じようなトラブルをくり返すのです。
最後に残った彼の友達はなんと「ねずみとり」でした。
はたしてねずみとねずみとりの友情は成立するのでしょうか?
【つぐなうということ】
つぐなうという行為は、本来トラブルを治めるためのものです。
そのため、問題の原因解決はまた別にあることが多いのです。
ところが、つぐないが問題の解決になると誤解すると
当人に悪意がなくてもツェねずみのような破滅につながることになります。
最近の日本では、医療訴訟の増加によって、救急医療を志望する医者が減っている
という問題があるそうですが、これなんかも典型的な例ではないでしょうか。
裁判そのものを行いやすくするための制度改革も行われていますが、
その改革が新たな問題を増やす可能性があることも、
我々は肝に銘じておく必要があるでしょう。
宮沢賢治の有名な詩「雨ニモマケズ」では次のような下りがあります。
北ニケンクワ(ケンカ)ヤソショウ(訴訟)ガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
彼の問題意識は、単なる平和主義で片付けられるものではないとは思いませんか?

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【著者】宮沢賢治
【対象年齢】全年齢
今回は、日本の代表的な童話作家である宮沢賢治の作品です。
世間一般では、ヒューマニズムやエコロジーといった観点から評価されている宮沢賢治ですが、
その作品を見ると、実は鋭い社会風刺を含んだものがいくつもあります。
ファンタジーという物語の形式は、普通に書けば生々しくなってしまうような
風刺やブラックユーモアでも、読者を楽しませる物語に変えることができます。
この「ツェねずみ」も例外ではありません。
以下は読書のポイント
【逆恨みと賠償請求】
物語の主人公は「ツェ」という名のねずみです。
このねずみ、何か嫌な事が起こるとそれを誰かのせいにして、
ひたすらに謝罪と賠償を請求しています。
おっと間違えました。ツェねずみは謝罪なんか一切受け取りません。
ただひたすら「まどうてください(つぐなってください)」のくり返しです。
なんともリアルな話です。
子供の失敗やごく小さな問題の場合、謝ることで丸くおさまることが多いですが、
社会人になって大きなトラブルに直面すると
謝罪=賠償の約束 といった位置付けになってしまうこともあります。
しかも、ツェねずみは相手に非がない場合でも無理やりこじつけて
ひたすら「まどうてください」をくり返すのです。
悪質なクレーマーという言葉がぴったりです。
【壊れていく交友関係】
そんなわけで、ツェねずみとつき合った動物は次々に彼から離れていきます。
友人のいなくなったツェねずみは、今度は柱やバケツ、ちりとりといった物たちとつき合いますが
ここでもまた同じようなトラブルをくり返すのです。
最後に残った彼の友達はなんと「ねずみとり」でした。
はたしてねずみとねずみとりの友情は成立するのでしょうか?
【つぐなうということ】
つぐなうという行為は、本来トラブルを治めるためのものです。
そのため、問題の原因解決はまた別にあることが多いのです。
ところが、つぐないが問題の解決になると誤解すると
当人に悪意がなくてもツェねずみのような破滅につながることになります。
最近の日本では、医療訴訟の増加によって、救急医療を志望する医者が減っている
という問題があるそうですが、これなんかも典型的な例ではないでしょうか。
裁判そのものを行いやすくするための制度改革も行われていますが、
その改革が新たな問題を増やす可能性があることも、
我々は肝に銘じておく必要があるでしょう。
宮沢賢治の有名な詩「雨ニモマケズ」では次のような下りがあります。
北ニケンクワ(ケンカ)ヤソショウ(訴訟)ガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
彼の問題意識は、単なる平和主義で片付けられるものではないとは思いませんか?