全ての白血病患者を完治させる事が出来ない以上は、完治した人間にも不安定不確定要素がありながらの治癒であったという事だ。

科学は白血病の全てを知り得ていないのだから、治らなかったかもしれないし、治した力も抗がん剤だけとも限らない。


とすれば、私の治癒の場合は抗がん剤以外で何があったのかという事をしばしば考える。


とても感覚的精神的な事で、当然後付けに過ぎないのだが、ただ一つ思い当たるのは「抗わなかったこと」だろうか…。
(特別抗うモチベーションもなかったのが実際のところだが笑)

抗うとかえって事態を悪化させる事は病気に限らず多くの事象に当てはまるが、私の場合なるようにしかならないという半ば諦め捨てた感情こそがストレスやプレッシャーを軽減させ、体内で起こる生化学的な反応に良好な環境をもたらしたのかもしれない。


災難に逢う時節は災難に逢うがよく候
死ぬ時節には死ぬがよく候
これはこれ災難をのがるる妙法にて候


江戸時代の禅僧、大愚良寛和尚の言葉。

これは端的に言ってしまえば「どうしようもない現実をあるがままに受け入れる事でずっと続く“苦”から解放されなさい」という解釈なので、私の当時の諦観とは少し趣が異なるのだが、結果として同じ事となった。


「私は絶対に死ぬわけにはいかない!死にたくない!!絶対に治す!!」

と強く思いながら白血病と真っ向勝負していても治ったのかもしれない。
それは誰にも分からない。


ただ私が私の闘病から完治までの因果を考察した時に今一番しっくりきているのは「抗がん剤と抗わなかった(抗えなかった)心持ち」である。