月とサイダー | 宗慶二オフィシャルブログ~とある現代文講師の日常

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大学入試予備校
現代文講師

河合塾→東進→登録者35万人YouTube予備校『ただよび』校長→online塾bridge+校長(←いまここ)

鬱屈した日常を、少しだけ斜に視ることで、風を吹かせられたら…
と思います。

受験勉強の箸休めに、どうぞ。




雲間から綺麗な満月が見えた昨夜🌕✨✨

みんなはどこで夏の夜空を見ていたのでしょうか。









夏の月って、なぜか冷えた炭酸飲料が似合う気がします。僕が頂いているのは生ビールですが🍺✨ほんとはサイダーあたりが爽やかでぴったりする感じがします(笑)












たとえ居場所が違ってもキミと僕が目にしていた月の顔はまったく同じです。月は地球に向けて常に同じ面しか見せないからです。これは月の自転周期と、月が地球の周りを回る公転周期がほぼ等しいために起こる現象で不思議と言えば不思議ですね。







つまりこういうことです。

地球は太陽の周囲を3651/4日で1年に1回ぐるり一回りしている。その上1日に1回くるりとスピンしてもいる。キミのいる場所が宇宙論的な座標系でどの位置なのか分からないけれど、その地点を仮にx点だとしたら、このx点が宇宙に描く軌道は相当複雑なものになりそうだよね。ぐるぐると螺旋状を描く軌道が大きく太陽の周りを回る。ところで月は地球の衛星なので地球の周期軌道をさらに複雑にしたような図形を描いているはずだ。それでもずっと同じ距離を保って正対したまま、さきほどの恐ろしく複雑な周期軌道上を寸分の狂いもなく、宇宙空間を移動し続けていることになる。想像を絶するほど壮大な闇の広がりのなかで宇宙論的な社交ダンスをし続ける2人のように。ずっと向き合ったまま。









ふーこれってなに?例えてみるなら遊園地によくあるコーヒーカップ。あれを信じられないくらい巨大にしたようなもの想像するといいのか(笑)








でもさ。少しさみしいのはずっと向き合ったままでいるのに、これより近づくことはないということ。いや正確にはむしろ少しずつ遠ざかってる。毎年数センチずつ。






なんでそんなことになるのかと言うと、これは地球の自転速度が少しずつ遅くなってるから。地球の自転速度が遅くなるとなんで月が遠ざかるのかというと・・・まあここのあたりは『角運動量の保存則』という概念を理解している必要があるのであえてここでは踏み込みまないことにしましょう。









どうだろう。ずっと向き合ったままなのに、近づくことがないとなると、ついついロマンティックな妄想に駆られたりしませんか。













たとえばもし、そこまで人が歩けるとしたら、なんてね





さてそれが可能だとすれば、徒歩で月にたどり着くまでにどのくらいの時間がかかると思います?以下ア〜オの中からこれだと思うものを一つ選んでみてください。








11

95

158

770

10032












月までの距離はおよそ38万キロ。ぴんと来ないかもしれませんね。これは時速300㎞で進む新幹線で53日間。歩いたら11年。つまり正解はア。地球からもっとも近い惑星までの距離が歩行の速度で11年。中学1年生で一念発起して歩き始め、高校生活の3年間、大学生としての4年間、すべてを費やしてもまだ1年足りないくらいの時間、ひたすら歩み続けると月に到達するわけです。これを近いと見るか遠いと見るか。宇宙論的な規模で言うなら異常なほど近いし、僕たちの日常的な感覚で言えばとんでもなく遠い場所ということにでもなるのでしょうか。










でもさ。同じ38万キロなら地球の上を歩き続けるより、月に向かって歩いていく方がなんだか涼しげだよね。






ゆっくり、ゆっくり、確実に

一足ごとに宇宙論的な恋人に近づいていく




そんなふうに、月に向かってゆっくりゆっくり空を歩く自分を想像するのも、夏の夜を楽しむ風流なのかもしれません。







サイダーの泡立ちて消ゆ夏の月

種田山頭火



















ぷはーっ( ´Д`)y━・~~