頼んであったコンタクトを受け取りに、眼科の窓口に診察券を出した時だった。

待合室にあるテレビが速報で東北地方で2:46に地震がありましたと伝えるのを見ていたら、すぐに大きな揺れがやってきた。
花粉症のせいか、待合室は大勢の老人で混雑していて、逃げ出そうにも元から足腰がおぼつかず、普通に立っているだけでもよろめく揺れに混乱していた。

入口近くに立っていた俺は、最後の婆さんを支えながら外に出した瞬間、目の前の家の瓦が崩れ出したのを見て、やっとこの地震がただ事ではないと認識した。

ただし自分の身に起きるまで、阪神淡路や新潟中越などの災害は、どこか他人事の、まるで映画の中の出来事の様に感じていたし、この時点ではまだ楽観していた。

車で待っていた彼女に、職場その他に連絡を取る様に伝えたが、既に電話が繋がらない状況にある事は知った上での事だったので、すぐに職場へ向かわせた。
彼女の職場はネットカフェなので、客の避難などに手間取って問題が起きてる可能性があったし、店長としての責任もあるからだ。

眼科医院の中は、様々な物が散乱し大変な状態だったが、元々コンタクトを受け取りに来ただけだったので、老人達の混乱が収まるのを待って窓口でそれを受け取り、彼女の職場まで歩いて向かった。


つづく

秀吉と利休のように
転がった拍子に
大きな部屋に引っ越せるのなら・・・
(CMより)


契約更新の通知が届いた。

このアパートに来て
4年経つのかぁ
早いなぁ

でもちょっと待て

ここに引っ越してきたのは
忘れもしない7月1日

ってことは
契約満了が6月30日

いくらなんでも
更新早くね?

2月18日までに返送しろとな?
なんでそんなに早く?

調べてみたら
前回は4月末頃に更新してる。

なんでかなぁ
と思いながらも

もう少し広い所に引っ越したいと
考えていたので
返送はせずにほっといた。

昨日
今と同じ管理会社の物件であれば
色々と特典があるようなので
そこのサイトで部屋探しを
していたら
今住んでいるアパートが出てきた。

正確に言うと探し当てた。
今住んでいる部屋のダイニングの広さが
どれくらいなのか調べて
それと他の部屋を比べたかったからだ。


なんとびっくり
家賃が1万円も下がってる。


築年数のこともあるだろうが
近隣には大手企業の工場が多く
関連会社や会社内の移動などで
短期の出入りが多いアパートなのだが
おそらく不況のあおりで
移動自体も減って
空き部屋が目立つように
なったのも大きな要因だろう。

それはわかる。
空いたままにしておくよりも
家賃を安くしてでも
入居してもらわないと
大家も管理会社も困るのだから。

俺が目を見張ったのは
その情報がアップされたのが
2月20日だということ。

家賃を下げること自体は
違法でもなんでもないし
それによって既存の入居者の家賃を
下げなければいけないって法もない。

こちらに出来るのは
だったらウチも下げてくれよって
交渉してみることぐらい。

あちらにしてみれば
嫌なら出てくか
黙って家賃を払えってなもんだ。

契約期間中でも交渉は出来るけど
更新時の方が言いやすいし
ある意味大家と店子の関係がフェアに
近くなる時期でもある。
新たな入居者を探すより
過去確実に家賃を払ってくれている
店子の方が安心だろう。


となるとだ

だから今回は更新を急いだのか?

家賃を下げたことを知られるまえに
更新を済ませてしまいたかったのか?

もちろん
偶然重なったのかもしれない。

だとしたら
なぜ4カ月も前に更新させようとする?

どうもセコイ手を使って
言いくるめようとされているようで
気分が悪い

この会社の管理部の車が
駐車中の俺の車にぶつかったのを
何もなかったことにしてやったのも
今からゴネてやろうかとも
考えてしまう。


管理部が動く週明けに
納得のいく説明があるかどうか
乞うご期待。








たまごかけ専用醤油とか
TVで話題になったりしますが

気にして買ったこともなく
醤油の違いって
あまり感じずにいたのだけど

こんなに違うものなのか!と
非常に驚いた。

それは
コンビニなのかスーパーなのか
名前だけではよくわからなくなりそうな
大手PB(プライベートブランド)商品

安いからね
つい買っちゃった。

俺だけだろうか

素材の味を
すべて台無しにしてくれる
変な臭いと
不快な苦み

ヤマサの醤油などを
なんの抵抗もなく使ってたけど
スゴイんだね
だてに老舗じゃない
なんて
変にヤマサに関心しながら
そのPB商品は即捨てた。

安いとはいえ
もったいなかったけどね
耐えきれない不味さなんだもの。

ついでに言うと
同じPBのチーズも
ヒドイもんだった。


じゃぁ逆に
すげぇ旨い醤油ってのも
あるんだろうなと
行ってみたのが

黒澤醤油店

最近見かけなくなった
髭男爵がTVで紹介していたのを
なんとなく見ていて
気になっていた。

ところが
二度行って二度とも休み

今度こそとの
三度目も休み・・・

駐車場で車を回して
出て行こうと思ったら

どこからか
粋なスーツを着こなすイケメンが
出てきて
こちらに頭を下げている。

車の窓を開けると

「どうぞ良かったら入ってみてください」

休みでわ?

「休みなんですが
ちょうど送って帰ってきたので
どうぞどうぞ」

誰をどこに送ってきたのかは
不明だが
遠慮なく入らせて頂いた。

外から見る敷地や外観からの
印象に対して
販売スペースは狭かったが
非常に趣のある店内。

どうやらこのイケメンは
何代目かの主人らしいが

非常に腰が低く
丁寧に気持ちよく
商品の説明をしてくれた。

「どんなお料理に使われるんですか?」

料理?

刺身とか冷奴などと
言いかけたが
それは俺が調理する訳じゃないし
餃子も違うしなぁ

どう答えて良いかわからずに
ごにょごにょ言って
ごまかした。

とりあえず
スタンダードだといわれた
富士仁を2本
醤蔵を1本
それぞれを購入。
ただし1番小さいやつ。

以前にTVで
ヤックンが
「醤油も冷蔵庫に入れとかないと
風味が逃げますよ」
と言っていたのを思い出し

他のは大きくて
冷蔵庫に入らないので
小さいのにした

TVの情報はとりあえず
鵜呑みにしてみる
バカ中年なのだ。

富士仁を1本
近所に住む友人宅に持ってって
そのまま
酒盛りに突入。

酒も食事もやまほど用意され
350円の醤油1本で
こんなに歓迎してもらえるなら
非常にお得だななんてな会話を
しつつ

さっそく
冷奴でその醤油をいただいた。

豆腐は男前豆腐店の・・・
なんだか忘れた。

食してみての二人の会話は

うん旨い。

なんて言うか濃いね。

うん。

ちゃんと醤油って感じがする。

そうだね。旨いね。

こんなに違うもんなんだね。


ともに40を超えたオヤジ達は
味に関するボキャブラリーに
乏しかった・・・・

でも
40年以上生きてきて
こんなに醤油で
味が違うものかと
感動したのも事実。

その一方で
塩分を控えなきゃならない
年齢なのも事実
悲しい

「そういえば!この前すんげぇ
不味い醤油あったんだよ」

突然友人が興奮した口調で言い出した。

「あれ!なんだっけ?どこだっけ?」

友人はキッチンに立つ嫁に問いかけた。

「○ブン○○ミアムだよ」

ああ
やっぱり。