譲渡会を開いていた頃、「この猫たちは何処からきたんですか?」と尋ねられる事がありました。

 

また、並んでいる猫と飼い猫の毛色が同じだと、「自宅からいなくなったうちの猫ではないか?」と不審に思う方もいらっしゃいました。

 

勿論、そんな偶然も幸運もある筈はなく、猫違いですが。

 

譲渡会に並ぶ猫のうち、餌やりさんからの依頼というのは、かなりの確率です。

 

猫の幸せとご自分の負担軽減のために、ご飯を運んでいる猫を譲渡したい

と考える餌やりさんは少なくありません。

 

先の長い子猫であれば尚更でしょう。

 

そして、色々なルートから、譲渡会をしているボランティアにたどり着きます。

 

引き受ける際、「もしこの子たちが人馴れせず、譲渡が厳しい

と判断した場合は元の場所にリリースしますが、宜しいですか?」

と念を押します。

 

2ヶ月位の子猫にそのような条件をつける事はありませんが、生後4~6ヵ月だと既に人馴れが難しい場合もあります。

 

譲渡出来ない猫が増えすぎるとスペースを塞ぎ、活動そのものがたち行かなくなるので、ご飯がきちんと貰えて安全な場所であれば、リリースもやむを得ない

と考えます。

 

1ヶ月位で判断したい

とお話しします。

あまり長く置くと情が移って手放し難くなりますので。

 

この月齢だと不妊去勢手術は可能なので、手術ワクチン、ウイルス検査済みでのリリースとなります。

 

この条件を了承しないと引き受けて貰えないので、餌やりさんは承諾します。

 

 

兄妹姉妹、全員馴れてるとか、或いは馴れていないのであれば決心しやすいのですが

難しいのは、何匹かいても馴れ具合が違う事です。

 

微妙だ

と思うこともあります。

 

ある日を境に馴れる子もいます。

 

迷いつつ、餌やりさんに今後の相談をすると、心の内を見透かされたように抵抗されます。

 

7年前の今頃、その年の春うまれの子猫ーといっても既に半年は経っている、二腹の兄妹、姉妹がやって来ました。各々4匹ずつです。

黄一の兄弟は、茶トラ(♂️)黒とら(♂️)キジトラ(♂️)グレー(♀️)

と毛色が全員違っていましたが、楓の姉妹は全てキジトラで♀️でした。

 

河べりの薮の中で産まれた黄一と玄(げん)の兄妹、駅周辺の住宅地で産まれた楓(かえで)の4姉妹はほぼ同じ頃に我が家にやってきました。

 

 
8匹の猫は捕獲と同時に不妊去勢手術とウィルス検査を行い、幸い陰性でした。

 

しかし、譲渡となるとどちらも厳しい状況でした。

 

せめて、半分はリリースしたい

と、電話で餌やりさんに相談を持ちかけたところ

楓の餌やりさんは無言になり、返答しません。緘黙状態が延々と続きます。

 

黄一の餌やりさんは、それでは…と、誰彼構わず貰い手を探そうとしました。

 

引き受けられない私にとやかく言う資格はないかもしれません。

 

しかし、元の場所ならこれまで通りご飯が貰えて、最低限の生活が保証されるだろうけど、間違った相手に渡されたらどうなるか分かりません。

 

結果、2人の餌やりさんに対して、「リリースはしない」

と回答しました。

 

こんな成り行きになることを実は私も

心のどこかで望んでいたのかもしれません。

 

季節は晩秋

これから益々寒くなるというのに、兄妹を選別して半分リリースするというのは、こちらも断腸の思いです。

 

餌やりさんが拒むんだから仕方ないじゃない

という自分への言い訳がたちます。

 

 

リリースしないと決意して1ヶ月後、黄一達を保護した現場で事件が起こりました。

 

キャットフードに毒を混ぜて、無差別に殺傷するという許しがたい行為により、何匹かの猫が犠牲になりました。

 

警察が動きマスコミにも取り上げられ、犯人も判明しました。

若い男性で面白半分だったようです。

過酷な状況で懸命に生きる命を奪って、何が面白いのでしょう。

 

あの時は、リリースを思い止まって良かった!

と心底思いました。

 

依頼人との間で交わされる

「譲渡が難しい場合はリリースしますよ」という脅し(?)のような約束ごとは、実は殆んど実行される事がありません。

 

自分の判断ひとつでリリース出来る現場の場合はやった事がありますが、いつまでも心に引っ掛かり、これでは手元に残した方がずっとまし

と思ってしまいます。

 

かくして、残留猫は増えていきました。

 

 
黄一たちの兄妹
 
 
楓の姉妹ふくはその年のクリスマスの日に、家族に迎えられました(何故か、一匹だけ馴れていました)

 

黄一と玄の兄妹は2匹、楓の姉妹は3匹譲渡されました。

 

黄一の兄弟ネルと楓の姉妹ディアは2匹一緒に迎えて頂きました。
2匹とも馴れ具合はいまいちの子たちでしたが、それを承知で時間を掛けて下さいました。感謝申し上げます。
 

 

残った3匹は今7才半

我が家の中堅どころです。

 

黄一は缶詰めタイムの時は触らせてくれますが、玄と楓には全く触れることはできません。

 

 

 

それでも他の猫達とはそれなりに仲良くし、我が家と思って寛いで暮らしているので善しとしましょう‼