side Kの続きです。
本日は蓮誕!!
おめでとうございます♪
*******************
『敦賀さん、胸と足、どちらがお好きですか?』
二人で過ごす、とある日の休日。
突然の彼女からのとんでもない質問に、俺は飲んでいたコーヒーを吹き出した。
彼女――最上さんに想いを告げて、俺達は念願の恋人同士となった。
『歩く純情さん』な彼女との恋愛はとてもゆったりとしたもので。
「彼女を大切にしたい」という思いと「全てが欲しい」という思いが交差し、俺は恋人同士になってからも、一人葛藤する日々が続いていた。
もうすぐ、俺の誕生日。
最上さんと恋人同士になってから、初めてのイベントだ。
この機会に、少しだけ関係を進展させても良いのではないだろうか。
そう思っていた矢先の、彼女からのこの質問。
結局『鶏肉の部位』の話題だった訳だが…。
俺は、自分の欲にまみれたこの脳内で、都合の良い勘違いをしてしまったのだった。
***
―――誕生日、当日。
遊びに来てくれた最上さんは、朝から俺のことなどほったらかしで丸々とした鶏肉を相手にしていた。
俺のために料理をしてくれるのは嬉しいのだが…。
こうもないがしろにされると、鶏肉にすら嫉妬を覚える。
手持ち無沙汰な俺は、最上さんの様子を見にキッチンに足を踏み入れた。
最上さんは、持ち主である俺ですら使ったことのないオーブンに鶏肉を入れるところだった。
ゆっくりと、近付く。
料理に夢中な彼女は、俺がキッチンに来たことにすら気が付いていない。
……君はどれだけ…。
背後にまで近付き、可愛らしいフリルのエプロンを着た彼女の袖の辺りをくいっと軽く引っ張る。
振り返った最上さんは、驚いた表情で俺の顔を見上げていた。
「敦賀さ…」
「最上さんは、一体鶏肉と俺のどちらが好きなの…?」
こんなしょうもない質問を繰り出した俺は、どうやら相当情けない顔で立っていたようだ。
***
「敦賀さん…ごめんなさい。
私、特別な日にしようと躍起になって…」
最上さん曰く『子犬のような表情』で立っていた俺と一緒にリビングに戻り、話しだした彼女。
「折角の記念日なんだからーって、一つのミスもしないように考えていたのに。
大切な敦賀さんを放っておくなんて、一番大きなミスをしちゃいました…。」
あぁ、違うのに。
そんな顔をさせたかった訳じゃない。
「最上さん…。
最上さんが謝ることじゃないんだ。
ただ俺が鶏肉に最上さんを取られたような気分になっただけで…」
「鶏肉に?それって…」
「うん、つまらない嫉妬、だよ。
俺は最上さんには鶏肉にすら嫉妬するほどの心の狭い人間なんだよ」
こうなったら、全て話そう。
「それだけじゃない。
以前最上さんが聞いてくれた『鶏肉の胸と足のどちらが好きか』…。
俺は鶏肉の胸と足より、それより寧ろ最上さんを食べたいんだ」
「えっ…!んな、何を…!?」
ボッと顔を赤くして、大きめのリアクションを返してくれる。
「あ、でもそれは追々で…。
って、そうじゃなくって。
俺が言いたいのは、最上さんさえそばにいてくれるなら俺にとっては毎日が特別なんだ。
美味しい料理ももちろん嬉しいけど、例えどんな食事でも最上さんと一緒なら美味しいと思えるだろうし。
だから、俺の前ではそんなに頑張らないで?」
さっきの俺の暴露も忘れたように、まっすぐ俺を見て話を聞いてくれる最上さん。
あぁ、こんなに純粋だから、俺はいつまでも手を出せないでいるんだよ。
話し終えた俺に、最上さんが答える。
「敦賀さん、ありがとうございます…。
今日のお祝い、もう一度やり直させていただいても、良いですか…?」
「もちろん」
「じゃあ…」
そう言うと、最上さんはソファからスッと立ち上がり、俺の前に立ったかと思うと、急に俺の両肩に手をおき中腰で顔を近づけてきた。
え…これは。
まさか…、最上さんから…!?
期待に胸を弾ませ、目を見開いたまま固まる俺。
最上さんはそのまま唇………を通り過ぎ、耳元に顔を寄せて小さな声で耳打ちした。
「私も、誰よりも、何よりも、敦賀さんが好きですよ」
顔を見ると、赤い顔ではにかんでいて。
やっぱり俺は今後も彼女の一挙手一投足に振り回されて葛藤する日々が続くのだと、改めて思ったのだった。
おわり
*******************
シリアスな表情で語るギャグ、というのを目指してみましたw
蓮誕はギャグばかりですねorz
因みに昨年の蓮誕はコチラ→夜の帝王
本日は蓮誕!!
おめでとうございます♪
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『敦賀さん、胸と足、どちらがお好きですか?』
二人で過ごす、とある日の休日。
突然の彼女からのとんでもない質問に、俺は飲んでいたコーヒーを吹き出した。
彼女――最上さんに想いを告げて、俺達は念願の恋人同士となった。
『歩く純情さん』な彼女との恋愛はとてもゆったりとしたもので。
「彼女を大切にしたい」という思いと「全てが欲しい」という思いが交差し、俺は恋人同士になってからも、一人葛藤する日々が続いていた。
もうすぐ、俺の誕生日。
最上さんと恋人同士になってから、初めてのイベントだ。
この機会に、少しだけ関係を進展させても良いのではないだろうか。
そう思っていた矢先の、彼女からのこの質問。
結局『鶏肉の部位』の話題だった訳だが…。
俺は、自分の欲にまみれたこの脳内で、都合の良い勘違いをしてしまったのだった。
***
―――誕生日、当日。
遊びに来てくれた最上さんは、朝から俺のことなどほったらかしで丸々とした鶏肉を相手にしていた。
俺のために料理をしてくれるのは嬉しいのだが…。
こうもないがしろにされると、鶏肉にすら嫉妬を覚える。
手持ち無沙汰な俺は、最上さんの様子を見にキッチンに足を踏み入れた。
最上さんは、持ち主である俺ですら使ったことのないオーブンに鶏肉を入れるところだった。
ゆっくりと、近付く。
料理に夢中な彼女は、俺がキッチンに来たことにすら気が付いていない。
……君はどれだけ…。
背後にまで近付き、可愛らしいフリルのエプロンを着た彼女の袖の辺りをくいっと軽く引っ張る。
振り返った最上さんは、驚いた表情で俺の顔を見上げていた。
「敦賀さ…」
「最上さんは、一体鶏肉と俺のどちらが好きなの…?」
こんなしょうもない質問を繰り出した俺は、どうやら相当情けない顔で立っていたようだ。
***
「敦賀さん…ごめんなさい。
私、特別な日にしようと躍起になって…」
最上さん曰く『子犬のような表情』で立っていた俺と一緒にリビングに戻り、話しだした彼女。
「折角の記念日なんだからーって、一つのミスもしないように考えていたのに。
大切な敦賀さんを放っておくなんて、一番大きなミスをしちゃいました…。」
あぁ、違うのに。
そんな顔をさせたかった訳じゃない。
「最上さん…。
最上さんが謝ることじゃないんだ。
ただ俺が鶏肉に最上さんを取られたような気分になっただけで…」
「鶏肉に?それって…」
「うん、つまらない嫉妬、だよ。
俺は最上さんには鶏肉にすら嫉妬するほどの心の狭い人間なんだよ」
こうなったら、全て話そう。
「それだけじゃない。
以前最上さんが聞いてくれた『鶏肉の胸と足のどちらが好きか』…。
俺は鶏肉の胸と足より、それより寧ろ最上さんを食べたいんだ」
「えっ…!んな、何を…!?」
ボッと顔を赤くして、大きめのリアクションを返してくれる。
「あ、でもそれは追々で…。
って、そうじゃなくって。
俺が言いたいのは、最上さんさえそばにいてくれるなら俺にとっては毎日が特別なんだ。
美味しい料理ももちろん嬉しいけど、例えどんな食事でも最上さんと一緒なら美味しいと思えるだろうし。
だから、俺の前ではそんなに頑張らないで?」
さっきの俺の暴露も忘れたように、まっすぐ俺を見て話を聞いてくれる最上さん。
あぁ、こんなに純粋だから、俺はいつまでも手を出せないでいるんだよ。
話し終えた俺に、最上さんが答える。
「敦賀さん、ありがとうございます…。
今日のお祝い、もう一度やり直させていただいても、良いですか…?」
「もちろん」
「じゃあ…」
そう言うと、最上さんはソファからスッと立ち上がり、俺の前に立ったかと思うと、急に俺の両肩に手をおき中腰で顔を近づけてきた。
え…これは。
まさか…、最上さんから…!?
期待に胸を弾ませ、目を見開いたまま固まる俺。
最上さんはそのまま唇………を通り過ぎ、耳元に顔を寄せて小さな声で耳打ちした。
「私も、誰よりも、何よりも、敦賀さんが好きですよ」
顔を見ると、赤い顔ではにかんでいて。
やっぱり俺は今後も彼女の一挙手一投足に振り回されて葛藤する日々が続くのだと、改めて思ったのだった。
おわり
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シリアスな表情で語るギャグ、というのを目指してみましたw
蓮誕はギャグばかりですねorz
因みに昨年の蓮誕はコチラ→夜の帝王