「ねぇ、本当にこのへんでいいの?」
柚季が心配そうにそう呟くのも無理はない。
三十分で着くはずだと踏んでいたのだが、僕の予想はどうやら甘かったようだ。
現在十七時。このままで、果たして純乃に会えるのだろうか。
「確か、このへんのはずなんだけどな」
幾度も眺めた年賀状に新たな何かを見つけるように、僕はなおも食い入るようにそれを見つめる。
「年賀状だけが手がかりってユルすぎ。やっぱ作戦とか練らなきゃねっ」
「作戦?」
「十八歳、青春真っ盛りの女子が、五時なんかに家で大人しく勉強してると思う?」
確かに十八歳の女子が家に大人しく籠もっているとも思わないが、
だからと言って、ゲームセンターというのはどうなのだ。
そう言うにも言えず、僕はただ、異様にはしゃぎ回る柚季に圧倒されるばかりだった。
「あっねぇ見てこのマスコット可愛い! あっ、知ってるこのプリクラ? つけまもらえるのっ」
「つけまなんてどこで付けんだよ! それよりほら、例の」
僕はそれとなく煽ってみたが、もはや柚季の脳内はプリクラで占められてしまっている様子。
やがてとうとうプリクラに僕を引きずり込もうとし始めた柚季に、僕は諭してみた。
「目的間違えてないか? なぁ」
「ちぇ」
「ちぇ、って」
「年代的に言えば、あの辺? あの人とか、それっぽくない?」
「それっぽくないって、おいおい」
柚季が示す高校生カップルを見やって、僕は内心溜め息を吐いた。
あんな金髪でピアスした奴と、純乃が一緒にいる訳ないじゃないか。
確かに純乃はオレンジが好きでその子もオレンジのアクセに身を固めているけれど、
マスコットもシュシュも全部オレンジで統一されているけれど、
確かに華奢で顔も小さくて白い歯並びを見せつけるように笑っているけれど、
そしてほら、茶に染めたベリーショートはどうしようもなく癖っ毛だけれど――
――って、
え?
「純乃……?」
呼びかけるように発したその声に、茶髪の彼女はごく自然に振り向いた。
何、蓮都?
純乃じゃないでしょ。お姉さんでしょ。
そんな声が聞こえてくるようだった。
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次回最終回です!
コメよろです ( ・(ェ)・)/