僕が伝えたかった言葉にならない思いを全て察したように、
沙織は照れ臭そうな微笑を湛えて、ちょこっと首を傾げてみせた。
「線香花火、しよっか?」
「うん。じゃ、どっちの花火が長く燃えていられるか賭けよう」
「何それ」
そう彼女は柔らかい笑みを放つ。
「普通、競争しよう、とかじゃないの?」
「そうかもね。じゃあ僕は、沙織の線香花火の方に賭ける」
「それも、何それ」
今度は弾かれるように、彼女は笑った。
そんな沙織を見て、僕も心から微笑を浮かべる。
沙織が食い入るように視線を注ぐ中、僕自身も視線を浴びせかけながら、
風に揺れる二つの線香花火に火を灯す。
刹那の光を放ち、小さな炎が燃え上がった。
線香花火が短い一生をたった一つの笑顔に捧げるように、
星が闇夜を照らし出すためだけに光り続けるように、
僕もまた、刹那の輝きを、大切な君へ捧げて生きていこう。
火薬が尽き、超新星爆発を迎えるその日まで。
「沙織。冬になったら、ベテルギウス二人で見よう」
「うん」
「その次も。次の次の冬も。ずっとずっと先も」
ずっとずっと。
その日まで、永遠に。
僕は、君の未来を照らし続ける。