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実鳥森の少年47:僕は人間なの?(最終回)

実鳥森の少年47:僕は人間なの?(最終回)


虹色の魚に人間の匂いがしないと言われてから

僕は、人間ではないのかな?

少なくとも半分は人間のはずなのに・・・

気にしないようにしようと思いながらも

頭から離れないジンです。


ペリドやマイと川で遊びながらも

心がいつものように晴れてこないジンです。


もっと父さんのことを知るといいのかな。

母さんに聞いてみよう。


そもそも母さんはどうして

父さんと結婚する気になったんだろう。

普通は見えないはずだし

あ、緑石のペンダントを持っているから

母さんにも見えるのか。


僕は、緑石を身につけなくても

普通に、みんなから見えてるから

やっぱり人間だよ。うん。人間だもの。

でも・・・


「ジン、ジン?」

マイが、呼んでいます。


「あ、ああ」


「どうしたの?元気ないよね。

疲れたよね。森の精人界から帰ったばかりだったよね。

ごめんなさい。気づかずに・・」

マイがあやまります。


「いや、体はちっとも疲れてないから大丈夫だよ。

ただ、僕って・・」

いいよどむジンです。


「何?」

首をかしげながら見つめるマイです。


「いや、僕って人間に見える?森の精人に見える?」

思い切って聞いてみます。


「あ、虹色の魚さんが言ったことを気にしているの?

ジンは、ジンだよ。人間だよ。そして森の精人界にも

行けるから森の精人でもあると思う。

両方を行き来できるってうらやましいよ。

私も森の精人界に行ってみたいもの・・」

遠くを見る目でマイが言います。


うらやましいと言われて、びっくりしながらも

マイの優しさを感じるジンです。

「マイ、ありがとう。

そうだよね。僕は僕だね。

森の精人界に、いっしょに遊びに行けたら

もっといいのにね。無理なのかな?」


(う~~ん、たぶん無理だ。大昔は行き来できたらしいけどね。

森の精人界は、人間界に比べてかなり大気が薄くなっちゃったのさ。

もし、結界を超えれたとしても生きてもどれない確率が高い。

森の精人の方は、体力があるから3日くらいは人間界でも

生きていけるけどね・・もっと先はわからないけど)

ペリドが説明します。


「そうなんだ。大昔は行き来できてたのね」

また、マイが遠くを見ながら言いました。


「ジン、人間界にずっといてね」

マイが、ジンの目を見つめて言います。


マイの目を見ながら、ドキドキするジンです。

嬉しくて顔がどんどん赤くなって耳まで真っ赤です。


「うん・・・僕、人間界にずっといるよ。

マイといっしょにここで生きていきたいから・・」

マイの方をじっと見てつぶやくジンです。


マイも、顔が真っ赤になってうつむいています。

「ありがとう・・・うれしい」


(ジン、良かったな。思いが通じたな)

ペリドが、嬉しそうにふたりの上を飛びます。


川に反射した夕日がキラキラと

ふたりと一羽を包み込んでいました。(完)






*エピローグ*


それから10年後、ふたりは結婚します。

実鳥森のすぐ近くの家で幸せに暮らしています。

可愛い女の子が生まれて「愛」と名付けました。


ジンとマイは、愛のお父さんとお母さんなのです。


愛の小さい頃の思い出のお話に続きます。
こちらからどうぞ
>>>愛とボンの出会い編1へ続く
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<追記>
次回作など、まだ決まっていないです。
書きたくなったら、また、このブログで
書きたいと思います。

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実鳥森の少年46:川で出会った虹色の魚

実鳥森の少年46:川で出会った虹色の魚


川に到着したジンとマイとペリドは

のんびりと過ごします。


そういえば、前にもこんなのどかな日があったなと

ジンは、懐かしく思い出していました。


マイも同じ思いのようです。

幸せそうにほほえみながら

「なんだか懐かしいよね」


「うん、あれから、どれくらいたったんだろう」

遠くを見ながらつぶやくジンです。


(おい、魚が泳いでいるぞ)

ペリドが、マイペースで話しかけます。


「ほんとね。きれいな色の魚さん。虹色に見えるわ」


「え~~虹色?そんな魚がいたかな」


(もしかして、こいつも迷子かな?)


「もしかして、森の精人界の魚なの?」

マイが聞きます。


(こちらで見かけない魚なら、そうだよ。

俺は、森の精人界でよく見るから

見慣れているから)


「そうか。迷子か~~。帰りたいかな?」

ジンがつぶやきます。


(なじんでるみたいに見えるけどね)

「目立ってたらつかまったりしないかしら」


(う~~ん。聞いてみるかい?)


「ペリドって魚とも話せるの?」


「すごいな~」


(いや、すごくないさ。普通だよ)

照れたように言いながら

虹色の魚の方へ飛びながら声をかけています。


(こんにちは、君は、森の精人界の魚じゃないのかい?)


(そうだよ。なぜだい?)

魚が川面に口をつき出して

ペリドに答えます。


(なぜ、人間界の川で泳いでいるのかな?)


(ここは、人間界なのか?なんかおかしいとは思っていたんだ)


(気づいてなかったのか・・)


(まぁね。ここも快適ではあるよ。うん。運命は受け入れるさ)


「運命って?」

黙って聞いていたジンが聞きます。


(なんだ、私の声が聞こえる森の精人もいるじゃないか。

ここは、やっぱり森の精人界だろ?騙すなよ)


「あ、僕は人間なんだ」


(嘘だろ。人間の匂いがしないよ)


その声を聞きながら、

「あの、私も聞こえますよ。魚さん」

マイが静かに言います。


(なんと、こちらは人間の匂いがする。

人間は森の精人界に入れるわけがないから

やはり、ここは人間界か・・)

ぼやくようにつぶやく虹色の魚です。


(だから、そう言ってるだろ。戻りたいなら

連れていくよ。すぐじゃないけどな)

ペリドが言います。


(いや、ここでのんびり暮らすよ。

平和な場所だしね。では、失礼)

虹色の魚は、つぶやくとすーっと川の上流に消えていきました。


「魚さんがしゃべっていたわね・・・」

驚き顔のマイです。


ジンは、森の精人界から帰ったばかりだからか

不思議なことに慣れすぎてしまって

驚く力も出てきていない様子です。


ただ、あぜんとしながら魚の行き先を眺めていました。


そして人間の匂いがしないと言われたことに

少なからずショックを受けていました。

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実鳥森の少年45:帰ってきた

実鳥森の少年45:帰ってきた


ペリドの誘導で再び、森の精人界と

実鳥森の結界部分にやってきます。


マリモも時間設定のためついてきています。

「よし、時間軸を元の時間にあわせたよ。

じゃあ、ピンフォーも待ってるし

ここでね。また遊びにおいで。

今度はもっとゆっくり案内するよ」

手にしている小さな箱のようなものの

ボタンをクリックしながら言います。


「うん、ありがとう。また

遊びにくるよ。ところでこのペンダントを

握ったまま、この木の後ろにまわればいいだけ?」


「そう。簡単だよ。木の後ろにまわる時に

念のため、実鳥森をイメージするといいよ」

マリモが教えます。


(じゃあ、いくか)ペリドが言います。

ジンの肩に乗って準備しています。


「また、会おう」

マリモが手を降ります。


ジンも手を降りながら、ペンダントを手にして

木の後ろへ回り込みながら実鳥森を念じようとしながら

マイのことを考えていました。


ペンダントの石から薄い緑の光が輝き始めます。

まぶしくて目を閉じた瞬間、

ゴンッと何かにぶつかりました。


「いた~~」

ジンが顔をあげます。


するとマイの頭が目の前にあります。


マイも頭を押さえながらも振り返って

笑顔です。そして

「あ~~ジン、良かった。一瞬消えたから

探そうと思って木の周りをまわっていたのよ」

ほっとしたように言います。


ジンもほっとして、ペンダントをマイの首にかけます。

見つめ合う形になって

お互いの目の位置がかなり近いことに気づいて

真っ赤になって思わず飛び退くジンです。

マイも真っ赤です。


そのとき

(マイ、ジンを無事連れてきたからな)


「ペリド、ありがとう」


「やっぱり、森の精人界に行っていたの?

一瞬だけ?」


そこで今までのことをジンがマイに話します。

目を丸くして驚きながらも聞いています。


「私も、ピンフォーって見てみたいな。

マリモさん、元気だったのね。会いたいな」


「そのうち、人間界にも、またくるっていってたよ」

ジンは言いながら考えていました。


マイは、人間だから森の精人界へは

行けないって言ってたな。

見せたら喜びそうなのに、残念だな。


(さぁ、今度は川にでもいくか)

ペリドの声で現実に戻るジンです。


「じゃあ、行こうか」

ジンがマイに手を出します。


マイは、ちょっと驚きながらも

手を繋ぎます。


そこへペリドが飛んできて

マイの肩に乗ります。


(よし、行こう。)


笑いながらふたりと一羽は

川へ向かいます。

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