お色気枠からオチャメな乙女おばさんに…まんぷく母・松坂慶子が魅せるウザいほどの“愛嬌力” | ジーコのブログ

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オリコンニュースより

実はそれまで清純派の役が多かったのだが、その前年(1978年)に映画『事件』に出演。殺人事件の被害者を演じ、初めてヌードを披露した同作はアカデミー賞最優秀作品賞を受賞したことから、松坂の「色気枠」としての道がスタートする。そして同年、ドラマ『青春の門・第二部(自立篇)』で娼婦・カオル役を体当たりで演じたことで、原作者・五木寛之がほれ込み、自らの作品をドラマにした『水中花』に抜擢。主題歌の作詞も手掛けたという経緯があった。

 さらに、深作欣二監督と出会い、映画『青春の門』(1981年)で大胆なヌードを披露し、日本アカデミー賞最優秀女優賞を受賞。さらに、翌年の『蒲田行進曲』では、風間杜夫演じる主人公に思いを寄せ、ひたすら尽くすキュートさの一方で、手荒く扱われながらも欲情する濃厚かつリアルなベッドシーンを見せ、大評判に。『道頓堀川』でも真田広之を相手に濃厚な濡れ場演技を披露する。そこから時を経て、2002年には、なかにし礼が原作・監修を手掛けた意欲的なヘアヌード写真集『さくら伝説』を出版。当時、50歳でありながらも変わらぬ体のライン、肌のなめらかさには、美しさと大人の色気が両立し、男性だけでなく女性からも絶賛されていた。
“30の壁”を乗り越え、体系の変化で“貫禄”を身に付け演技に幅が
 ところが、2000年代になり年を重ねるにつれて“お母さん役”が増えていく。『熟年離婚』(2005年)では、一回りほどしかトシの離れていない高島礼子が松坂慶子の娘役を演じた。親子というよりも姉妹のように見える違和感があったが、と同時に、松坂慶子の体型にふっくらした中年っぽさが漂い始めていることに、驚きを感じた視聴者は多かっただろう。

 しかし、「太った」ことはマイナスどころか、新たな路線の開拓にもつながる。映画『ホノカアボーイ』では、いつも何か食べている、食いしん坊でキュートな映画館の女主人・エデリーを好演。これまでの「色気」とは異なる、親しみやすい「おもしろ可愛いおばちゃん」として、貫禄ある演技を見せつけた。また、朝ドラ『ゲゲゲの女房』では、戦争で傷ついた夫を支え、たくましく生きる貸本屋の女主人を演じた。ヒロイン・松下奈緒の味方として、陽だまりのようなあたたかな包容力を放っていたのも印象的だった。この包容力も、体型変化がもたらした部分があるだろう。

松竹の専属女優として活躍していたときは、清純派路線だった松坂。30歳目前にして大胆な濡れ場や歌手活動などに果敢に挑戦したことが、作家や監督を夢中にさせ、視聴者の心をとらえ、現在になってさらに芸の幅を広げることにつながったのではないだろうか。

 かつての「美人」「色気」女優が、まさかここまで面白さと貫禄、さらに気品も感じさせる女優になるとは。一時期「太った」ことが注目された際も、本人がインタビューなどで「太った」と自ら語ったことがあるように、体型変化を苦にする様子もなく、あっけらかんとして明るく素敵だった。そうした明るさ、天真爛漫さは“お茶目で可愛いオバちゃん像”につながり、失うことのない誇り高さは“気高く上品な印象”を与えるのではないか。それこそまさに「ブシムス」の精神。思えば、『まんぷく』で演じる鈴のオチャメでかわいい演技は、まるであてがきされたようでもあり、間違いなく松坂の集大成だろう。今後どんな活躍を見せるのか、ますます楽しみだ。
(文:田幸和歌子)

 

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