エキサイトニュースより
そういえば、夜中の2時に泥酔しながら街中を歩いていても財布や携帯電話を盗られたことはない。しかし、電車に乗ればチカンに遭う。よくよく考えればなんだかおかしいぞ。外国人の方は日本をどう思っているのだろう。本書では、電車や病院などの『場所』や、お金やあいさつなどの『生活』、ラブホテルや風俗などの『アダルト』など、8つのカテゴリに分けて、外国人の意見を紹介している。
ここでいくつか挙げてみよう。
●電車 / 寝ている人がたくさんいるのにビックリ！財布盗まれるかもとか考えないのかなぁ？（イタリア 男性）
●病院 / 病院にいる高齢者の多さにびっくり！何かイベントでもあるのかと思った（ドイツ 女性）
●CM / トミー・リー・ジョーンズは日本で一体何をやってるんだ！？（アメリカ 男性）
普段何気なく見ている光景が外国人の方にとっては驚くようなことであったり、不思議に感じられるらしい。
また、日本についての憤りの意見も見られたので、いくつかピックアップしてみよう。
●病院 / 医者の言う「ストレスが原因ですね」は聞き飽きた。…
なんでもかんでもストレスのせいにしすぎだろ（カナダ 男性）
●季節 / いちいち「あなたの国に四季はありますか？」とか聞かないでよ！あるよ！（オランダ 女性）
「ストレス社会」という言葉が蔓延している日本では、不調をきたして病院に行くとよく言われる言葉だ。
日本人の私も辟易していたのだが、外国人の方も同じように思っていたとは！ また、「日本には四季の美しさがある」と学校などで徹底して教え込まれているせいか、「日本にしか四季がない」ととらえがちのようだ。このオランダの女性には申し訳ないが、率直な物言いに思わず笑ってしまった。
本書の編集を担当された長廻さんへ出版の経緯を伺ってみた。
「観光で来日する外国人、または日本に住む外国人が急増しています。外国人から見た日本語ということで『厚切りジェイソン』さんのような芸人さんも現れ、益々日本文化について発信する外国人が増えています。そんな彼らは日本の社会を実際に見聞きし、どう感じたか。外国人の目を通して我々日本人が気付かない日本文化の特性を改めて認識すると面白いはずだと思い出版に至りました」。
5年後には東京オリンピックの開催を控えており、今後ますます外国人の来日が増えるだろう。本書には外国人の率直な意見が詰まっており、読んでいると改めて日本の良い点やおかしな点を認識できる。最後に、本書をお薦めしたい方について、前述の長廻さんへ伺ってみた。
「老若男女、どなたが読まれても面白いので気軽に読んでいただければと思います。…
たいていの日本人は『外国人が日本のことをどう思っているのだろう？気に入ってもらえるといいな』と思っている（気になっている）に違いありません。東京オリンピックに向けて、一層、来日外国人が増えてきます。各地の観光客招致にも役立てていただけると嬉しい限りです」。
本書が全ての外国人の方の意見というわけではなく、あくまでも個人的な意見であり、国や性別が異なれば違った意見も出てくるだろう。
しかし、ずっと日本にいては分からないような、思わず「ハッ！」とさせられる言葉もあり、とても興味深い内容だった。本書を読んだ後は視界が少し広がるかもしれない。
（薄井恭子／boox）