Garage Full Scale 奮闘記 - Amebaブログ

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LOTUS車のレストア記事。他に「Dr. AMP Lab.」名義の記事も収録。

「5B255M」と言う真空管について、かつての無線と実験(MJ)誌とかラジオ技術(ラ技)誌で取り上げられた記憶が無い。(もし掲載記事があったら教えて下さい)しかしネットの時代になって、風の噂に「音が良いらしい」と聞いて、主に国内のオークションでそこそこ集めていた。

英国製真空管となると、GEC/M.O.Valve製・Mullard製・BRIMER製辺りが一般的な所だが、第三極とも言うべき「STC/ITT系」の真空管も手に入る様になった。グローバル化の恩恵か?

改めて、「5B255M」の解説をネットから引用しよう。
5B/255M/CV391ビーム四極管は、HF帯および低VHF帯の送信機用途向けに設計されました。この設計は807と同じ定格です。
5B/255Mには姉妹真空管である5B/254Mがあり、これは陽極トップキャップを備えた807の小型エンベロープ版です。これらの真空管は、高周波電力供給に加え、オーディオ用パワーアンプとしても使用できるよう設計されていた。この場合、真空管はAB1級動作を行い、2本で全歪率3%において15ワットの出力を得ることになっていた。KB/Fは、このバルブが仕様K1001またはK1006に基づいて製造されたことを示し、Bは英国の機関による認定を示し、Fは製造元がペイントンのSTCであることを示します。
裏面にはCVTypeの表記と製造工場の詳細情報が記載されています。
ボックス型陽極は、ブライトビームプレートおよびグリッド巻線よりも短い。このグリッド巻線の小さなサンプルから判断すると、スクリーングリッドのピッチは制御グリッドのピッチと一致しており、両者はきちんと整列している。幅広のガラス管の直径は29mmで、B8Bベースピンを除くと高さは77mmです。参考文献:1040およびデータシート タイプ5B/255Mは1957年に初めて発表されました。1957年の 広告も参照してください。

おまけで規格表の蘊蓄書きから引用
これらの真空管は、電気的特性が5B/250A(807)型に類似した、信頼性の高い構造を持つ傍熱型ビーム出力四極管です。
5B/254Gは5B/254Mと同一の仕様ですが、回路へ直接配線するためのフレキシブル・リードを備えています。
高地での使用やアノード変調条件下での使用においては、ベース部分の絶縁上の観点から、両端子型(5B/254G、5B/254M、および5B/258M)の使用が推奨されます。


改めて外観を観察してみると、「EL34/6CA7」並にスリムな外見。しかし内部はビーム管構造。

 


致命的(!?)なのは、「SG<300V」縛りと、ソケットが「ロクタル管」な事だろうか?

ロクタル管用のソケットも入手できた事だし、機は熟せり。シャーシーは往年の鈴蘭堂「SL-550P」を使用する。

 

 


純正外装部品は入手できなかったが、代替品でカバーした。


出力管のサブプレートへのソケットの取り付けは、バヨネットを取り外し(Amphenol)自家固定にした。


パワートランスは、往年の平田電機製作所(TANGO)製「MS-330」のセカンドユーズ。チョークコイルは、同じく(TANGO)製「MC-350D」のセカンドユーズ。でもOPTの「X45-5」は当時私が購入した物。

ECC81による差動増幅回路が初段で、E80CCがドライバー段として続く。PTの2次側は「0~165V」端子を倍電圧整流して、プレートには430Vが供給される。そこから定電圧ダイオード(ZD,5W/50V×3)で280Vまで落としてSG電圧を供給。固定バイアスとして、Ip=50mA程度に調整した。

配線はいつもの如くだが、初段・次段セクションは、サトーの10P端子台が指定なのでこれを利用。見た目は綺麗に見えるが、抵抗素子をフルサイズに伸ばして配線するのもいかがな物か?

出力管周りは、サンハヤト製の端子台(既にディスコン)を利用。


配線完了と思ったらトラブルの連続で、対処に時間が掛かった。途中、盟友のK氏の訪問の折にアドバイスを戴き、解決の一助になった。組み立て開始から約1ヶ月でようやくデータも取れた。


専用のCNF端子を利用したフィードバック量は「-3dB(?)」とやや自信が無い。トータルのNFBは少し「-12dB」を試聴して、「-9dB」に訂正。低域も高域もかなり性能が良くて、高域の微分補正は僅か「39pF」で済んでしまった。

D.F.は簡易法で約3.0。歪み率<5%として最大出力は約「25W」と、近年では大出力な方。

愛機「Autograph」に繋いで音を出すと、何とも雄大で高域もナチュラルでパースペクティブも充分。特筆すべきは低域で、低DFもあって、製造後半世紀も経った「老MG15」をぶんぶん鳴らす。まさしく、近代的英国製真空管の面目躍如と言った所か。
これだから自作真空管アンプは止められない。

GEC/M.O.Valve製「KT44」シングルについては、2021-02-23に「SV-S1616D (KT44 version)」(https://ameblo.jp/renshaoyaji/entry-12658581899.html)として上梓済みであるので、そちらも参考にして頂ければ幸いである。

改めて、話は30年ほど前に遡る。
「QUAD Ⅱ」で名を挙げた「KT66」は、当時は甚だ入手困難であった(その後事情は激変するが)。そんな時に片田舎の球屋の親父に勧められたのが「KT44/45」であった。売り手も「KT66の親戚」程度の説明しかしないし、買い手も甚だ無頓着であったが、実の所ははかなり敷居の高かい球であった(が得られた経験も大)。

そもそも「KT44/45」がどんな真空管なのか、The VAlve Musseum では次の様な記述がある。

B7ベースを採用したビーム四極管KT44(および、それとほぼ同一のKT45)は、オーディオ用途とテレビのライン出力用途の両方に対応するよう設計されています。テレビ用途においては、8,000Vの正極性アノード・サージ電圧に耐えることが可能であり、主にその用途向けに仕様が策定されました。もっとも、KTシリーズは主にオーディオ用デバイスとして知られており、KT44はKT66をベースに開発された4Vヒーター仕様のモデルであったと考えられています。高いピーク・アノード電圧に耐えられるよう、アノード接続はトップキャップ(管頂端子)から引き出されています。その伝統的な形状のガラス管は、直径52mm、高さ130mm(B7ベースのピン部分を除く)という寸法です。参考文献:データシートおよび資料1043。KT44は1939年に初めて発表されました。1939年当時の広告も併せてご参照ください。

まず驚かされるのが、1939年当時、と言う事は第2次世界大戦前であるが、テレビの水平偏向出力管用途であった事。これは俄には信じがたい事だが、戦前の英国ではテレビ放送が行われており、ロンドンでも1万世帯位視聴者があったらしい。件の「KT66」は専ら音声増幅用途であったが、その兄弟管である「KT44/45」は水平変更出力管用途が主であった。敷居を上げる要因その①として、スクリーン・グリッド電圧が<300Vと縛りが掛かる。その②は英国特有の「B7G Socket」か。

その③としてトップ・プレート(10mm経)が加わる。結構がんじがらめになって来たでしょう。

待てば海路の日和ありではないが、30年近く手元で遊ばせている内に状況が好転してきた。まずは往年のMcMurd製の「B7G Socket」が入手できた事。後になって中華製のタイトソケットも入手できた。

もう一つ、これが大切な要因なのだが、Partlide製の5Kppトランス(角形ケース入り、TK7712)が入手できた事。5K/0-4-8-16Ωなので、カソード・フィード・バックが戻せそうだが、何ら保証は無い。電源トランスは、それこそ30年前に野口に特注製作済みである。機は熟した。


シャーシーは鈴蘭堂の「SL-7HG」、でその後のTAKACHIも含めてディスコンである。この上にかつての「QuadⅡ」に倣って各トランス類を配置すると、如何にもそれっぽく見える。これまたディスコンのオーディオ専科製埋め込みアダプターを少々改造して、MacMurdo製の「B7G」ソケットを仕込んで置いた。オーディオ専科製の埋め込みアダプターも、MacMurdo製の「B7G」ソケットも底を付いた。全てが奇跡の様な部品の集合体である。

初段兼位相反転段は、当然ながら「EF86/6267」2管となる。オリジナルに倣って、オートバランス型の様な信号をもらい受けても良いのだが、ここはマイナス電源を用意して、五極管による「差動増幅回路」を採用した。回路的にはオリジナルに酷似する。
当初、参考にした文献の定電流ダイオードの定数を流用したが、流石にバイアスが深すぎた。オリジナルでも2.2V@680+100Ω程度、SV-4では更に絞っている。ここは2管で「2mA」として良い結果が出せた。


プッシュプルのモノラルアンプなので、組み立てる方としては少々気楽な面がありそうだが、実際は悪夢のデジャビュ!?
途中で創意工夫があったとしても、もう片側に大胆に組み入れる事はできない。

などとブチブチ文句を呟いている内に出来上がってしまった。
通電して、B電圧チェック=360V程度であった。定電圧ダイオード(50V×2)に導かれたSG電圧は当然ながら260V。KT-44の自己バイアス電圧は、22V@510Ω(40mA)なので、充分に定格の範囲内。尤も、整流管としてB4ソケットの直熱整流管「VU39=MU14」を採用したのは行き過ぎか?オリジナルに倣って、GT-8Pinの傍熱3極管「GZ32」を採用していればもう少しB電圧も上昇し、出力も増していたに違いない。

その出力は、無帰還で約「11W」。
2次:0-4-8-16Ω端子の4Ωをアースに落としてカソードフィードバックを戻したら、帰還量は「約10dB」であった。そこからさらにトータルの帰還を「-6.5dB」戻して良しとした。10KHz方形波を観察するに、リンギングが全く見られないので、出力トランスの高域特性も推して知るべしである。

入出力特性も、歪み率も、周波数特性も、丹念に採取する気力が失せた。
ともかく「Autograph」に繋いでみよう。

約10Wとは思えないスケール感、細部のディテールの再現性にも優れる。
特筆すべきは、この管種のインプレッションで良く聞かれる「低域の力強さ」。
これは真空管の形状がもたらす物なのか?
とにかく「KT66」でも「KT88」でも得られない低音の豊かさである。
また英国古典球のランナップが増えた(^o^)。

 

2019年に英国製「B7G」ソケットを使用するアンプを何台か作った。

 

2019-01-24、「CV9/AL60 Single」

https://ameblo.jp/renshaoyaji/entry-12469695114.html
OPTは、PMF-10WS(SH:シルバー・ハンマーネット塗装)
https://www.gtrans.co.jp/SHOP/PMF-10WS.html
ハイライトコアー使用シングル用出力トランス、30年以上の販売実績を持つロングセラー商品
で、後になって判るのだが、「Western巻き採用、3極管及び3結無帰還での使用をお薦め」との事だった。そのせいか、カソード・フィード・バックはうまく戻せなかった。

CV-9/AL60シングルは、後年トランスを交換している。
2023-09-07、「Mullard CV9/AL60 Single(改)」

https://ameblo.jp/renshaoyaji/entry-12819494323.html
OPTをPMF-15WSに変更し、カソード・フィード・バック(-14dB)もうまく戻ってアンプとして仕上がった。

改めて、手元に「PMF-10SH(ペアー)」が残ったので、PT:PMC-170SH、CH:PMC-1030SHを買い足して、改めて「300B Single(Non-NFB)」を製作してみよう。


少々、拙速に進め過ぎた。PTは縦置きにしても余裕はあったし、直流点火部もVR基板とギリギリ。


それでも各部品も揃っていたので、約1週間でほぼ完了。各測定データー上梓。

よくある「6SN7GT」による2段増幅なので、無帰還でも音に癖がない。直流点火のお陰で、ハム音もほとんど気にならない。出て来た音は「CETRON 300B」使用で、ポピュラー系が元気な音。たかだか「5W」程度だが、申し分無いと言えよう。