あーくんはJRで園に通っていた。

電車が大好きなので毎日ご機嫌。


ただ、そのぶんこだわりもあって

赤い電車じゃないとイヤ、

いつもの時間・乗り場所じゃないとイヤ、

とあったが、

そのほかは言葉がしゃべれないので、

こだわりのポイントがわからず、

ちょっとでも違うと車内で

「ギャー」「〇〇(違う駅の名)いくー」と叫んでいた。

 

また、困った?ことに電車にのって嬉しいと興奮して

「じぇーあーる!じぇーあーる!」と叫んでいた。


機嫌が良くても悪くても、

他のお客さんにとってはうるさいお子様・・・??(^_^;)だった。

 



ある日、電車の連結にいると、あーくんがおとなしいことに気付いた。
よくみると、足元の樹脂(ビニール)の部分にすこし隙間があって、

レールが見えるのである。

 

電車は走っているので、枕木がどんどんかわっていくのが見える。
じーっと見ていた。

いつも大声で叫んでいたのが嘘のよう!
お友達も同じく自閉症で電車好きなので、

二人でじーっと連結部分にいた。
良い場所を見つけた!!と嬉しかった。




するとある時、

男性から声をかけられた。
「あの、私JR関係のものなんですけど、

子どもがそんなところにいると危ないので、

違うところに行ってもらえますか?」

 

 

私はスイッチが入った。
「この人になぜここにいるのか、理解してもらいたい!!」と。


世間からみれば、小さい子どもが連結にいれば危ないのかもしれない。
でも、毎日電車内で大声をあげて迷惑をかけていたあーくんが、

ようやく落ち着く場所をみつけ、

そして静かに電車に乗ることができている。

この場所はあーくんに必要な場所だと。


男性は言うだけ言うと、もといた場所に戻って行った。

なので、私は近づきこう伝えた。


「小さい子どもがあのような場所にいてすみません。

ただ、子どもは自閉症という障害があって、こだわりが強い子どもなのです」


「自閉症、知っていますよ」

 

(なら、なおさらわかってもらえる!!)


「毎日電車内で暴れて大声を出して他の方に迷惑ばかりかけていたのですが、

ようやく静かに乗っていられる場所をみつけました。

親がちゃんとついていますから、これからもこの場所にいてもいいですか?」


「私に言われても困るけど…」
 

言うだけ言ったので、私も男性から離れた。

そうだろうな~とも思ったので。

 

一緒にいたお友達のお母さんに

「よく言えたね~」と言われた。

 

 


全てを理解してもらおうと思うと、きっとしんどいと思う。
あーくんの世界が少しでも広がっていけばいいかな、

という思いから言いたいことはちゃんと伝える。

 


ときにはそれが人の迷惑?!になることもあるかもしれないけれど・・・
人は常に練習中なのだ。

 

できるだけポジティブな言葉で伝えるというスキルが必要だと、

今でも勉強中。