今の時期になると思い出すことがあります。

 

それは長男の初節句で、夫の実家にいた時。

西鉄バスジャックのニュースをリアルタイムで見ていました。今から24年前。

当時何が起こったのか、わかりませんでした。

不幸にも犠牲となられた塚本達子さんのことを知ったのは
事件後出版されたこの本でした。


『お母さんわが子の成長が見えますか』


初めての子育てで、何をどうすればよいかわからない私に

塚本さんのされていた「幼児室」でのお便りをまとめられたというこの本がとても参考になりました。


本には具体的な事例、

どういうシチュエーションでどんなやりとり、会話があり、

どこがどう悪いのか、
どういった言葉がけなら良いか、その根拠…

が丁寧に書かれています。

 

 


まだ子育てスタート地点にいた私は、とても参考になりました。
これらは、モンテッソーリ教育がベースにあるとのことでした。


モンテッソーリ???
当時まだネットの環境ではなかったので、調べたくても調べることができなかったです。
(高校の同級生で保育士になった子がいて、その子に聞くと知っている、というくらいしか情報がなかった。)



小学校の教員をされていた塚本さんは47才で幼児教育の重要性を感じて退職。

モンテッソーリ教育の勉強をしに、佐賀市から北九州へ通いモンテッソーリ教師養成コース修了。

佐賀市内に「幼児室」を開設。
モンテッソーリ教育では、幼児といえど、自由意志を持った一人の人格。
自分でその人格を作り上げていく力を備え持つ。という考えがベースにあるようです。


幼児はいつも一人でやりたい、だから一人でできるように助けて欲しいと願っています。
できる限り、たくさん子どもに成功する機会を与えましょう。
失敗にはふれず、うまくいったことについてほめてあげましょう。
特別なことをした時ではなくて、子どもが、自分からしたいと思い始めた作業を完成させた時、
ママも一緒に喜んであげましょう。
「よかったね」ただ一言だけで、充分褒めた言葉になるのです。



兄弟の接し方、
お兄ちゃんだから、妹だから、と我慢させるという声かけは×。
今、この子が求める発達に必要な仕事は何かを知るために観察することが大事。
いつかくる思春期のために、逆算して2,3才の子にどう接するとよいか。
自分の気持ちを満たしてあげる環境を作り自分でやりたいという意欲を大事にしました。


特にあーくんを育てるうえで

「幼児といえど、自由意志を持った一人の人格。自分でその人格を作り上げていく力を備え持つ」

という考えは、私の土台になっていて、障がいがあろうがなかろうがとにかく子どもが自分でしたい!

という意思があればそれを大事に、芽を摘まないようしっかり観察しながら接してきました(できる範囲で(^-^;)
逆にいえば、塚本さんの本のおかげであーくんへの切り替えが早かったのかもしれないですね。

 



この本を読んで改めてネットでモンテッソーリを検索するとビックリしました。


wikiによると
20世紀初頭にマリア・モンテッソーリによって考案された教育法。
イタリアのローマで医師として精神病院で働いていたモンテッソーリは知的障害児へ感覚教育法を施し知的水準を上げるという効果を見せ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象とした保育施設「子どもの家」において、その独特な教育法を完成させた。以後、モンテッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになる。

日本におけるモンテッソーリ教育
子どもの自主性、独立心、知的好奇心などを育み、社会に貢献する人物となること(モンテッソーリ教育の終了は24歳)を目的とするモンテッソーリ教育は、欧米ではオルタナティブ教育として評価されている。一方、日本においては潜在能力を引き出す、知的能力をあげる、小学校のお受験対策といった英才教育や早期教育として注目され、幼児教育だと誤解されることが多く、マリア・モンテッソーリが、知的・発達障害の治療教育、貧困家庭の子供たちへの教育から、発展させてきた教育法であることはあまり知られていない。


えーーー!!とひっくり返りそうになりました(笑)
知的・発達障がい児の療育からスタートしたんだ~と。
あーくんを迎える準備はばっちりだったのだ~と思うと嬉しい♪

そしてちょっと話がそれるけれど・・・
モンテッソーリ教育を受けた著名人の欄には、あの将棋の藤井聡太くんの名が・・・そうそう、頭が良い?!人になるための教育というイメージも無きにしもあらずだったけれど、モンテッソーリ教育に親近感が湧きました。



塚本さんの本は、塚本さんがたくさんの経験から導きだされた塚本さんの幼児教育論です。
とっても愛情を感じる良い一冊です。

 

おわりに、塚本さんの旦那様である塚本平さんの文があります。


「私の役割は、乳幼児の自然の発達を援助することとお母さんたちの幼児観を正しい方向に変えていくことです。幼児教育にとって、最も大切なことは、成功感、充実感を繰り返し味わわせてやることです。
まず、お母さん方にそのことを知ってほしい。
また、子どもがひとつのことに集中するということはとても大切なことで、そのためには、その子の発達に応じた教具を用意し、静かな環境をつくることが大事だと話していました。そして、母親は子どもを客観的に見ることによって子どもとの接し方について考えるきっかけをつかんでほしいとも話ていました。
乳幼児の環境がいかに大切であるかを痛感していた妻は、教育問題を『かわら版』という形でまとめ、
街角に一人立って、道行く人に配っていました。これは今から四年半くらい前まで続きました(1996年頃)
教育はすぐ効果が現れるものではありません。幼児期の環境が大きく影響し、その結果は15~16年先でないとわからないとよく話していたものです。
『幼児室』を開設した妻の志が、一般の方々、子育て中のお母さん、子育てに悩まれているお母さん方の
少しでもお役に立てれば、この上ない幸せに存じます。2000年10月」



また、はじめには息子である塚本猪一郎さんの文もあります。

「母の残した原稿を手にした時、母の声が、笑顔が浮かび、涙が止まりませんでした。この本には、母の信念と願いが詰まっています。子ども達と接した日々の感動があります。きっと今、実際に子育てをされているお母様方の良きアドバイザーとなることと思います。」


子どもが成長したいと思う気持ちを損ねることなくどうやって接していけばいいのか。
モンテッソーリ教育という、私は学んだことのない学問をわかりやすく解説してくれた

塚本さんの言葉をぜひみなさんにも知っていただきたいと思っています。