雨だった。


信じられないほどの笑顔を、俺に見せてくれたのは


信じられないほどの雷雨の日だった。




駿  1



「やっばいな、この仕事今日中に片付くか?」


俺は駿一。27歳のサラリーマンだ。


明日は婚約者の春果とのデート。遠距離だから2か月ぶりに会う。

春果とは大学時代からの付き合いで、俺の3つ下の後輩にあたる。

そろそろ5年か、と思った時にプロポーズした。我ながらひどいものだったけど。


「明日は絶対休まないとな、春果に怒られるわ…」


そうつぶやいた矢先、窓ガラスに雨粒が落ちてきた。