荒れ果てた城内は兵たちによりあらかた片付けられ、物言わぬ存在となってしまったこの城の住民たちは一箇所に集められ葬儀の準備を待っていた。
質素だが重厚なつくりの会議室に集まった人数は、先日のそれと比べると三分の一になってしまっていた。
そして、その時の出席者は真紅の姫君のみだった。
出席しているのは、当面の首座であるウィルへルミナ王女、軍の要マウリッツ将軍、将軍の副官でもある次男のルディ、いつのまにか城内にいたヴァシュタール伯爵と王国顧問学士フォーグラー博士、なし崩し的に混ざり混んでいる僕自身の六名だった。
議題は当然これからのこと。
リッツ叔父さんが口火を切った。
「では今の状況だが、麦の国の兵を野戦にていちどはおいはらったわけだが、増援の部隊がすでに差し向けられているようだ。」
とき華々しい戦果をあげたその宵の口である。
城内では先ほどまでの喧騒と打って変わって静寂が支配している。
皆が会議の行方を気にしている。
街道に配していた斥候の話では、敵軍の規模は四千、歩兵混じりの部隊なので到着は四日後と考えられるとのことだった。
ミナちゃんアクビしてる。
しょうがないよね、突然の敵襲に初めての実戦に陣頭指揮。
と、目が合った・・・何かすごく怒った顔してる。
よくわからないけど、あまり触れない方が良さそう・・・。
「そして、我が方の兵力は近隣の兵を集めても400、近くに傭兵団もいないからこれがやっとだろう。東の国境線の砦まで行けば1000から成る傭兵団との混成部隊が組織出来る。だがここから救援をよんでも一週間以上はかかる。」
言葉を切り、一度仕切り直してから選択を突きつけるように宣言する。
「我々の行動はほぼ3つに限定される、即ち城に立て籠もり迎撃するか、東へと逃げるか・・・降伏するかだ」
リッツ叔父さんが、言葉を切り場が静寂に包まれる。
「その名も高き銀の盾マウリッツ王弟将軍がいらっしゃるのだ、この城に立て籠もり、以前のように麦の国をたたき返せばいいじゃないか!!実際に今日の戦略も素晴らしかった。何も迷うことはありますまい」
口火を切ったのは以外にもヴァシュタール伯爵だった。
これだから・・・籠城戦とは基本的に他からの増援が見込めるときにのみ取るべき戦術だ。
そもそも戦略と戦術を取り違えている・・・仕方ない。
「我々の兵力は先ほどマウリッツ将軍がおっしゃった様に400です。対して敵方は、4000と10倍にも上るのです、城攻めの基本とは3~4倍の兵力を揃えよとは軍学の基本。敵はその要件を2倍以上でみたしています。籠城による防衛ならびに迎撃は不可能と考えられます。」
僕がしゃべろうとしたことを、ルディが代弁してくれた。
素晴らしい戦術眼を持っている、これは兄貴の方がぐれちゃったのも仕方ないかも。
「ではルディ殿はどうするべきだと言うのだ?我らが本城を明け渡して逃げ出せとおっしゃるのか?」
ヴァシュタール伯爵の鼻息も荒い。
「しかし勝算の無い戦いに身を投じる様なことはすべきではないかと思います。」
「ルディ殿はまこと騎士なのか?そのような臆病風に吹かれ、戦から逃げ出そうなどと騎士の風上にも置けない!まったくマウリッツ王弟殿下のご子息とは思えませんな」
とはなで笑っている。
何もせず隠れていた貴族に言いたい放題されて頭にくるなと言う方が難しい。
「伯爵、貴方は正々堂々と城に立て籠もり敵を向かい打てとおっしゃっていますが、どれほどの期間耐えれば敵は退却して行くのでしょうか?また10倍する敵に対してどのような戦術案をお持ちなのでしょうか?」
答えなどあるはずも無いのにあえて聞く僕も大人げないと少し思うが、こういう手合いは大嫌いなんだ。
「そんなものは東に1000名の兵がいるのだろう、そいつらを待てば良いではないか」
矛先が僕に向いて来た。
「4000の敵兵相手に、1000名が増援にやってくると、どうなるでしょう?考えるまでもなく各個撃破のお手本になるでしょうね」
はじめからその1000名が城内にいたと仮定するなら話はまったく変わってくるけれどね。と心の中で付け加えた。
「だいたい其方は何者なのだ?どのような許しを得てこの場にいるのだ?無礼にもほどがある、出ていけ!!」
激昂している伯爵をどう料理しようか考えていると
「前線に立つ勇気無き者が、騎士の誇りを説くな!!引くべき時に引かぬは勇気ではなく愚かな蛮勇だ!!挙句此度の戦いにて功多きアキを捕まえて出ていけだと。この痴れ者め、貴様こそ出ていくがいい!!」
リッツ叔父さんの一喝が響き渡る。
震え上がる伯爵に静かに腰を下ろすリッツ叔父さん。
再び場が静寂に包まれそうになった時、赤く仰々しい服装で手に錫杖、頭には十字をもした長帽子をかぶった男がこれからマジックショウを始めるかのように、両手を開きながら会議場に乱入してきた。
「では、私が4つ目の提案をさせていただきましょう。」
聖職者様のご登場だった。
質素だが重厚なつくりの会議室に集まった人数は、先日のそれと比べると三分の一になってしまっていた。
そして、その時の出席者は真紅の姫君のみだった。
出席しているのは、当面の首座であるウィルへルミナ王女、軍の要マウリッツ将軍、将軍の副官でもある次男のルディ、いつのまにか城内にいたヴァシュタール伯爵と王国顧問学士フォーグラー博士、なし崩し的に混ざり混んでいる僕自身の六名だった。
議題は当然これからのこと。
リッツ叔父さんが口火を切った。
「では今の状況だが、麦の国の兵を野戦にていちどはおいはらったわけだが、増援の部隊がすでに差し向けられているようだ。」
とき華々しい戦果をあげたその宵の口である。
城内では先ほどまでの喧騒と打って変わって静寂が支配している。
皆が会議の行方を気にしている。
街道に配していた斥候の話では、敵軍の規模は四千、歩兵混じりの部隊なので到着は四日後と考えられるとのことだった。
ミナちゃんアクビしてる。
しょうがないよね、突然の敵襲に初めての実戦に陣頭指揮。
と、目が合った・・・何かすごく怒った顔してる。
よくわからないけど、あまり触れない方が良さそう・・・。
「そして、我が方の兵力は近隣の兵を集めても400、近くに傭兵団もいないからこれがやっとだろう。東の国境線の砦まで行けば1000から成る傭兵団との混成部隊が組織出来る。だがここから救援をよんでも一週間以上はかかる。」
言葉を切り、一度仕切り直してから選択を突きつけるように宣言する。
「我々の行動はほぼ3つに限定される、即ち城に立て籠もり迎撃するか、東へと逃げるか・・・降伏するかだ」
リッツ叔父さんが、言葉を切り場が静寂に包まれる。
「その名も高き銀の盾マウリッツ王弟将軍がいらっしゃるのだ、この城に立て籠もり、以前のように麦の国をたたき返せばいいじゃないか!!実際に今日の戦略も素晴らしかった。何も迷うことはありますまい」
口火を切ったのは以外にもヴァシュタール伯爵だった。
これだから・・・籠城戦とは基本的に他からの増援が見込めるときにのみ取るべき戦術だ。
そもそも戦略と戦術を取り違えている・・・仕方ない。
「我々の兵力は先ほどマウリッツ将軍がおっしゃった様に400です。対して敵方は、4000と10倍にも上るのです、城攻めの基本とは3~4倍の兵力を揃えよとは軍学の基本。敵はその要件を2倍以上でみたしています。籠城による防衛ならびに迎撃は不可能と考えられます。」
僕がしゃべろうとしたことを、ルディが代弁してくれた。
素晴らしい戦術眼を持っている、これは兄貴の方がぐれちゃったのも仕方ないかも。
「ではルディ殿はどうするべきだと言うのだ?我らが本城を明け渡して逃げ出せとおっしゃるのか?」
ヴァシュタール伯爵の鼻息も荒い。
「しかし勝算の無い戦いに身を投じる様なことはすべきではないかと思います。」
「ルディ殿はまこと騎士なのか?そのような臆病風に吹かれ、戦から逃げ出そうなどと騎士の風上にも置けない!まったくマウリッツ王弟殿下のご子息とは思えませんな」
とはなで笑っている。
何もせず隠れていた貴族に言いたい放題されて頭にくるなと言う方が難しい。
「伯爵、貴方は正々堂々と城に立て籠もり敵を向かい打てとおっしゃっていますが、どれほどの期間耐えれば敵は退却して行くのでしょうか?また10倍する敵に対してどのような戦術案をお持ちなのでしょうか?」
答えなどあるはずも無いのにあえて聞く僕も大人げないと少し思うが、こういう手合いは大嫌いなんだ。
「そんなものは東に1000名の兵がいるのだろう、そいつらを待てば良いではないか」
矛先が僕に向いて来た。
「4000の敵兵相手に、1000名が増援にやってくると、どうなるでしょう?考えるまでもなく各個撃破のお手本になるでしょうね」
はじめからその1000名が城内にいたと仮定するなら話はまったく変わってくるけれどね。と心の中で付け加えた。
「だいたい其方は何者なのだ?どのような許しを得てこの場にいるのだ?無礼にもほどがある、出ていけ!!」
激昂している伯爵をどう料理しようか考えていると
「前線に立つ勇気無き者が、騎士の誇りを説くな!!引くべき時に引かぬは勇気ではなく愚かな蛮勇だ!!挙句此度の戦いにて功多きアキを捕まえて出ていけだと。この痴れ者め、貴様こそ出ていくがいい!!」
リッツ叔父さんの一喝が響き渡る。
震え上がる伯爵に静かに腰を下ろすリッツ叔父さん。
再び場が静寂に包まれそうになった時、赤く仰々しい服装で手に錫杖、頭には十字をもした長帽子をかぶった男がこれからマジックショウを始めるかのように、両手を開きながら会議場に乱入してきた。
「では、私が4つ目の提案をさせていただきましょう。」
聖職者様のご登場だった。