忍辱の修行は肝心要 | 人として生きる上で大切なこと 「こころのものさし」

忍辱の修行は肝心要

 

                 御 教 歌

 

         何ごとも 気に入らぬこと おほしかな

 

            これがうきよと 観念をせよ

 

 

 この世の中は、思い通りにならないこと・気に入らないことが実に多いものであるが、それが世の常の習いだと受け止めて、耐え忍ぶところは耐え忍んでいけるようになっていくことの大切さを教えていただいた御教歌です。

 

私たちが生活をしていく中で、嫌なこと・辛いこと・我慢出来ないような事柄は、次から次へと起こってくるものです。

 

「故に娑婆(しゃば)を忍土(にんど)と云ふ」

 

という言葉がありますように、私達の住む世界(娑婆)は、まことに耐え忍んでいかなければいけない処であるというのです。

 

思い通りに、何事も事が進んでいけば、苦労も悩みもないのかもしれませんが、実際にはそういう訳にはいかないものです。

 

時には挫折しそうになったり、くじけたり、あるいは諦めかけたり・・・と、想像もしなかった出来事が次から次へと起こってきたりするものです。

 

そのような出来事が起こってきた時、仏さまは

 

「当(まさ)に忍辱(にんにく)の鎧(よろい)を著(き)るべし」

 

と云われてますように「耐え忍ぶ」という鎧のかぶとを着ての修行が大事であることを教えていただいています。

 

また、お祖師さまは

 

「如何(いか)なる大願もこの忍の一字より成就す。いかなる善根も瞋(しん)の一字よりやぶるる事、塔を立てかけて一時に倒すが如し、功徳の利をやく事大火よりも甚(はなはだ)し。」

 

「どのような大願であっても、耐え忍ぶところから成就していくのであって、逆にカッとなる怒りの心を持って今まで積み上げてきた功徳も全て失ってしまうのである。」

 

とこのように、「耐え忍ぶ」ことの大切さと「瞋恚(いかり)」の心を起こすことの怖さを教えていただいているのです。

 

大尊師(長松清風)は御指南に

 

「いやな事をつとめて仕(し)い、つらき事をしのびてするにあらざれば何の道にも上達しがたし。」

 

とありますように、嫌なこと、辛いことを耐え忍んでするようでなければ、どんな道でも大成することはあり得ないのである・・・というのです。

 

更に

 

「忍は則(すなわ)ち修行門の最極の重宝也。」

 

いかに、「耐え忍ぶ」ことが大事なことであるのかを仰せであると同時に、何事も気に入らないことが多い世の中だからこそ、忍辱の鎧を着て精進していきたいものです。