心豊かに暮らしていきたいもの
御 教 歌
足る事を しれば金持ち たることを
しらねば金が あれど貧乏
足ることを知って暮らしていけば、心に富を得るのであるが、足ることを知らなければ、幾らお金があっても心に富を得ることはないのである。
このように仰せの御教歌です。
私たちが考える金持ちといいますと、財産家で地位・名誉・権力を手に入れて何不自由なく暮らしている人を想像しますが、それだけでは「本当の金持ち」とはいえません。
財力があるに越したことはありませんが、なくても心豊かに暮らしていくことは出来ます。
御指南に
「金が敵(かたき)といふも不知足(ふちそく)の心があだといふことなり。貧乏金持は人の心に有りて金になし。」
このように教えてあります。
「金が敵」ということわざがありますように、大金をもったために不和や反目を生じたり、また災いを招いたり身を滅ぼしたりもすることもあります。
金さえなければ無事でいられたものが、金を持ったために不幸になった人も中にはいます。
その金が敵となる因は足ることを知らない心にあり、貧乏・金持ちは人の心にあってお金そのものにあるのではない。
このように教えていただいています。
更に
「貧富(ひんぷ)は心によりて事相(じそう)に顕はる。金持にはあらねども分際(ぶんさい)分応にまかせて、ゆたかにくらすを福人と云ふ。金持にてもへらぬ様の番をして物毎(ものごと)不自由に、けちけちくらすを貧人と云ふ。」
「本当の貧富(ひんぷ)は心にあって姿・形に顕われてくるものである。たとえ金持ちではなくても分相応に心豊かに暮らす人をまことの福人と云う。逆に金持ちであっても金が減らぬよう物事にけちけちしながら暮らすをまことの貧人と云う。」
このように、足ることを知って日々を心豊かに暮らしていけるまことの福人となっていく大切さをお示しです。