手鏡
御 教 歌
ますかがみ とがぬ時には 光なし
ひかりなければ 物もうつらず
澄み切った鏡も、磨かなければ輝きもなくなり、やがては曇り、物を映さなくなるように、おのが心を絶えず磨くことの大切さを教えていただいた御教歌です。
さて「ますかがみ」とありますが、この歌をお詠みになった時代の鏡は、青銅の表面を梅酢などを使って絶えず磨いていたようです。
その「ますかがみ」は、絶えず磨かないと曇り、錆びがつき、物を映さなくなるようになります。
そのように、私達の心も絶えず磨いていかないと、煩悩という錆びがつき、そのために「心の鏡」が曇ってしまい、物事を正しく映し出すことが出来なくなるのです。
ところで、仏さまは私達の心には煩悩欲があることを云われてます。
その煩悩欲に執着してしまうと、「心の鏡」が曇ってしまい、錆びがつき、人としての正しい振る舞いや、物の考え方・捉え方が間違った方向に行きやすくなるというのです。
御指南に
「心の師となるとも、心を師とせざれ。」
という教えがありますように、
煩悩欲の強い心を師匠として生活していくのではなく、煩悩欲の強い心を戒めていくことの大切さを教えてあります。
また、どのように磨いていくかと言いますと、「ますかがみ」は研ぎ師(とぎし)という職人が磨いていったように、「こころ」を磨いていくためには、我流ではなく仏さまの教えを「ものさし」にしていきたいものです。
その教えに基づいて磨いていき、「人をおもいやる」「人を大事にしていける」・・・そういう心を身に付けていくことの大切さをお示しです。