物の見方
御 教 歌
さかさまに ものを見るゆゑ よき事を
わろしとおもふ 人あはれなり
時に物事を逆さに見てしまい、善と悪を履き違えてしまうのがお互いの心であることをお示しの御教歌です。
「凡夫顛倒(ぼんぶてんどう)」という言葉があり、
「顛倒(てんどう)の凡夫損と思ふことは徳也、徳と思ふことは損也。」
「我々凡夫は、損と思うことが徳であったり、徳だと思ったことが損であったりすること。」
このような教えがある位ですから、私達の物の見方・捉え方ほどいい加減で当てにならないものです。
では、何故逆さまに物を見てしまうのか?
それは煩悩欲のためだと。
本来「心の鏡」は、物がはっきり映し出されるものですが、煩悩欲という霞(かすみ)が掛かっているため正しく照らし出されないのです。
煩悩欲とは、我が心を「煩(わずら)わし悩ませる欲」のことをいいます。
この煩悩欲に執着してしまうと、「心の鏡」に霞が掛かり、正しい物の判断が出来にくくなるようです。
生活向上のための欲は大事ですが、何が何でも欲しいという心が強くなっていくところに、道を間違う危険性もあります。
ですから、欲はホドホドに・・・ということを心掛けての生活をしていき、「心の鏡」を曇らすことがないようにしていきたいものです。