<< 1へ >> << 2へ >> << 3へ >> << 4へ >>透明な猫を友人で獣医の守屋さんから預かることになった。
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猫を飼う準備なんてしているはずもないので、
動物病院にある一通りのものを借りて、ケージごと猫を預かった。
何か困ったことがあったらすぐ連絡してと守屋さんに言われたので
少しは気が楽だが不安には変わりない。
家に着いても猫はケージから出てこなかった。
車移動で驚いたようだし、さすがに見知らぬ場所は怖いのだろう。
その日は餌も食べず、水しか飲まなかった。
夜になっても包帯はケージの中から出てこなかったので
心配になり驚かさないよう慎重にゆっくりとおなかの辺りだと
思われる箇所に触れてみた。すると、どうやら寝ているらしく
すぅすぅとゆっくりお腹が浮き沈みしていた。
今日一日いろいろとあって疲れたのかもしれない。
猫はそのまま一晩ケージで寝ていた。
こっちは夜中何度も様子を見に行ったので全然眠れなかった。
そういえば、あの河童のような生物を拾ったときも同じだったな。
次の朝には大分慣れたようで、部屋の中を歩き回っていた。
子猫ではないがまだ若いらしく、活発に動き回り、
部屋のいろいろな場所を行ったりきたりしている。
元気なのはいいが、こうなると包帯があって本当に良かったと思う。
見えないので居場所がわからなくなるし、何かにじゃれたりすると
まるでポルターガイストのように見えてしまう。
餌もよく食べるようになった。口の中に入ると餌が消えるので
何もせずにどんどん餌が消えていくのがなんとも不思議だ。
餌を食べたら少し疲れたのか、動かなくなった。
だが寝ているのか寝ていないのかもよくわからない。
昨日も思ったが、猫の寝顔は癒しになると聞いたことがあるのに
それも見ることが出来ない。ちょっと損した気分になる。
ふと、この猫はどんな模様でどんな顔をしているのだろうかと
少し気になった。
そうこうしているうちに、その日は一日中猫の観察と世話で
終わってしまった。観察と言っても見えないのだけれど。
そして、そのときにはもう透明ということに少し慣れ始めていた。
たぶん続く
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