<< 1へ >>獣医師の守屋さんから珍しく電話があった。
相談があるので動物病院まで来て欲しいというので行くことにした。
------------------------------------
動物病院に着くと彼女は相変わらずの姿で出迎えてくれた。
美人でスタイルも良いのだがとても男らしい性格で
いつもほとんど化粧をしていない。
髪はお世辞にも綺麗にしているとは言いがたく、
長くなってきたので邪魔だから束ねているというのが見て明らかだ。
腕にはもちろんのこと、顔にまで動物の引っかき傷がある。
仕事熱心で情に厚く、動物を何よりも愛しているらしい。
忙しいのであまり連絡は取らないが、獣医としてだけではなく
人としても信頼できる良き友人だ。
ちなみに結婚もしていなければ彼氏もいない。
よく周りからせっかく美人なのにもったいないと言われているが、
強がりでもなんでもなく彼氏なんてものはいらないと一蹴している。
「いや、急に悪いね。早速だけどこっち。入って。」
そう言って奥に招かれた。
その途中の廊下で改めて事情を聞いてみる。
「簡単に言うと軽い怪我をしてた動物を拾ったんだけど・・・。」
「動物って・・・何の?」
「たぶん猫。」
「なんだ猫か。っていうかたぶんって・・・獣医が猫かどうかも
わかんないのかよ。」
「うーん、断定はできない。手触りとか泣き声で猫だと思う。」
ますますわけがわからない。まるで箱の中身はなんでしょう?だ。
奥の部屋に入ると処置台に一つの動物用ケージが置いてあった。
割りと小さめで中には何も入っていない。
「で、そのたぶん猫とやらはどこ?」
「ここ。」
とその何も入っていないケージを指差した。
一瞬、守屋さんがどうかしてしまったかと思ったが、そのとき
何も入っていないケージから猫の鳴き声が聞こえた。
台の下にいるのかと思い、覗いたが何も無い。
そして、ケージの中をよく見てみると何も入ってないと思った
そこには空中に浮かぶように少し血のにじんだ包帯が
まるで透明な何かに巻かれた状態で動いていた。
いや、まさに透明な何かに巻かれていたのだった。
たぶん続く。
<< 3へ >>